GEベルノバが米原子力競争で先行 BWRX-300が2030年代の成長柱へ

  • 2026年9月30日
  • 2026年9月30日
  • BS余話

AIデータセンターの急増によって米国の電力需要が拡大するなか、原子力発電への関心が再び高まっています。その次世代原子力発電を巡る競争で、有力な位置につきつつあるのがGEベルノバ(GEV)です。

バロンズは9月29日付の記事で、GEベルノバと日立製作所(6501)が共同開発する小型モジュール炉「BWRX-300」に注目しています。

GEベルノバは現在、AIデータセンター向けの電力需要増加を背景に天然ガスタービン事業が好調ですが、2030年代には原子力が新たな成長の柱になる可能性があります。

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米国でBWRX-300の建設許可を取得

米原子力規制委員会(NRC)は、テネシー州クリンチ・リバーで計画されているBWRX-300について建設許可を承認しました。

建設予定地を管理するのは、米連邦政府所有の電力会社であるテネシー川流域開発公社(TVA)です。

バロンズによると、今回の審査は約14カ月で完了し、当初の予定より約4カ月早い承認となりました。

米国では原子力発電所の許認可に長い時間がかかることが、新規建設を難しくする要因の1つとなっています。今回の審査期間短縮は、小型原子炉を普及させるうえで重要な動きです。

ただし、建設許可を取得したからといって、実際の建設が確定したわけではありません。TVAは建設費の負担を抑えるため、プロジェクトに参加するパートナーを探しています。

大量の電力を必要とするデータセンターなどが、その候補になる可能性があります。

BWRX-300は300MWの小型原子炉

BWRX-300は、GEが長年手掛けてきた沸騰水型原子炉の技術をベースにした小型モジュール炉です。

発電能力は約300MWで、バロンズによると約30万世帯分の電力に相当します。従来型の大型原子炉には1,000MWを超えるものも多く、BWRX-300は大幅に小型化されています。

小型モジュール炉の利点として期待されているのが、建設工程の標準化です。

原子炉の部品を工場などで事前に製造し、建設現場で組み立てる方式を増やすことで、工期の短縮や建設費の抑制を目指します。

大型原子力発電所では、建設期間の長期化やコスト超過が大きな問題となってきました。BWRX-300が同じ設計で繰り返し建設されれば、こうした課題を軽減できる可能性があります。

カナダで建設が進み、テキサスでも計画

BWRX-300は米国だけで進められている計画ではありません。

カナダのオンタリオ州ではすでにBWRX-300の建設が進んでおり、最大4基を導入する計画があります。

さらに米国テキサス州では、原子力発電事業者のブルー・エナジーがBWRX-300の建設許可を申請しています。

GEベルノバにとって重要なのは、同じ設計の原子炉が複数の地域で採用されることです。

原子力発電所は最初の1基を建設する際にはコストが高くなりやすい一方、同じ設計を繰り返し使えば、設計や施工のノウハウを蓄積できます。

バロンズによると、カナダでは4基目のBWRX-300の建設費について、1基目より33~40%程度安くなるとの見通しがあります。

このコスト低下が実現すれば、BWRX-300の競争力は大きく高まります。

AIデータセンターの電力需要と相性

BWRX-300を考えるうえで注目したいのが、AIデータセンターとの関係です。

AI向けデータセンターは大量の電力を24時間安定して必要とするため、電力確保が大きな課題になっています。

AIブームが半導体から電力インフラへ広がっている状況については、過去の記事でもGEベルノバを代表的な関連企業として取り上げています。

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現在、GEベルノバは天然ガスタービン需要の拡大から恩恵を受けています。AIデータセンターの建設ラッシュによって、短期間で新たな発電能力を確保したい電力会社や企業からの需要が高まっているためです。

一方、原子力発電は建設までに長い時間が必要です。そのため、BWRX-300がGEベルノバの業績に本格的に寄与するとしても、より長期の話になります。

短中期では天然ガスタービン、2030年代には原子力という形で、GEベルノバの成長分野が広がる可能性があります。

GEベルノバのガスタービンを巡っては、AIデータセンター向け電力設備の供給不足そのものが新たな競争を生み始めています。

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原子力だけで株価を判断する段階ではない

もっとも、現時点では原子力事業だけを理由にGEベルノバ株を評価するのは早い段階です。

GEベルノバも日立製作所も、売上高の大部分は原子力以外の事業から得ています。

さらに原子力発電は、他の発電方式と比べて建設費が高くなりやすいという大きな課題があります。

建設許可を取得しても、資金調達や建設コストの問題によって計画が延期されたり、中止されたりする可能性があります。

今回の建設許可は、直ちに利益を大きく押し上げる材料というより、2030年代の成長につながる可能性を示した出来事として見る必要があります。

天然ガスの次に原子力が成長の柱となるか

GEベルノバの現在の成長ストーリーを支えているのは、AIデータセンターを背景とした電力需要の拡大です。

現時点では天然ガスタービンがその恩恵を受けていますが、将来は原子力が次の成長分野に加わる可能性があります。

今後の焦点は、カナダ、テネシー、テキサスなどでBWRX-300の導入が広がり、同じ設計の原子炉を繰り返し建設することでコスト低下を実現できるかです。

それが実現すれば、GEベルノバは天然ガスタービンだけでなく、次世代原子力市場でも有力企業となる可能性があります。

AIによる電力需要の増加が一時的なテーマではなく長期的に続くのであれば、GEベルノバの成長ストーリーも天然ガスから原子力へと、さらに長期化していく可能性があります。

情報ソース: Barron’s: “How GE Vernova Has Jumped Into the Lead in the Nuclear Race” (By Avi Salzman, Sept. 29, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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