✨ この記事でわかること
- 2026年7〜9月期の営業利益は前年同期比5.8%減の127億500万ドルとなり、保険事業の不振が業績を押し下げたこと
- 鉄道・エネルギー・製造業が増益となる一方、GEICOの保険引受利益が約45%減少した背景
- 96億ドルの自社株買いと巨額の手元資金が、グレッグ・アベルCEOの経営方針を考える重要な材料になったこと
バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)は2026年11月7日、2026年第3四半期(7〜9月期)の決算を発表しました。
営業利益は前年同期比5.8%減少しましたが、今回の決算で投資家の注目を集めたのは利益の減少だけではありません。
同社は四半期中に約96億ドルの自社株買いを実施しました。ウォーレン・バフェット氏から経営を引き継いだグレッグ・アベルCEOの下で、巨額の資金を株主還元に振り向ける動きが鮮明になっています。
営業利益は5.8%減、純利益は28.2%減
今回発表された主要な業績は以下のとおりです。
| 項目 | 2026年Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約1,056億5,000万ドル | 約11%増 |
| 営業利益(投資損益等を除く) | 127億500万ドル | 5.8%減 |
| GAAP純利益 | 221億1,200万ドル | 28.2%減 |
| B株1株当たりGAAP利益 | 10.33ドル | 27.7%減 |
| 投資利益(税引後) | 94億700万ドル | 45.7%減 |
バークシャーの営業利益は、保有株式の評価損益などを除いた独自のNon-GAAP指標で、一般企業の営業利益とは定義が異なります。
GAAP純利益が大幅に減少した主な理由は、保有株式に関する投資利益の縮小です。投資利益は前年同期の173億1,100万ドルから94億700万ドルに減少しました。
バークシャー自身も、株式の未実現損益が含まれる四半期純利益だけで企業の経営実態を評価することには注意を促しています。
したがって、今回の決算を理解するうえでは、純利益の28%減少よりも、各事業の営業利益の変化を詳しく見ることが重要です。
保険事業の利益が急減、GEICOの収益性が悪化
営業利益を最も大きく押し下げたのは保険事業です。
保険引受利益は前年同期の23億6,900万ドルから13億5,200万ドルへ42.9%減少しました。保険事業の投資収益も31億8,100万ドルから27億3,400万ドルへ14.1%減少しています。
特に自動車保険子会社GEICOの業績悪化が目立ちました。
GEICOの税引前保険引受利益は前年同期の17億7,300万ドルから9億8,200万ドルへ44.6%減少しました。
同社では、契約1件当たりの平均保険料低下に加えて、事故発生頻度や保険金請求額の増加が収益を圧迫しています。
保険料収入に対する保険金支払いなどの割合を示す損害率は、前年同期の71.5%から76.6%へ悪化しました。また、広告費や手数料などの引受費用も増加しています。
GEICOは顧客獲得に向けた取り組みを進めていますが、短期的には利益率低下という代償が表れています。
一方、保険契約から生じる運用可能な資金である保険フロートは、9月末時点で約1,785億ドルに達しました。2025年末から約21億ドル増加しており、保険事業が持つ資金調達上の強みは維持されています。
鉄道・エネルギー・製造業は堅調に成長
保険事業とは対照的に、鉄道、エネルギー、製造・サービス・小売事業は増益を確保しました。
| 事業部門 | 2026年Q3営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 保険引受 | 13億5,200万ドル | 42.9%減 |
| 保険投資収益 | 27億3,400万ドル | 14.1%減 |
| BNSF鉄道 | 17億2,900万ドル | 19.3%増 |
| バークシャー・ハサウェイ・エナジー | 16億1,200万ドル | 8.3%増 |
| 製造・サービス・小売 | 40億4,200万ドル | 11.8%増 |
| その他(為替損益等を含む) | 12億3,600万ドル | 10.5%減 |
| 営業利益合計 | 127億500万ドル | 5.8%減 |
※営業利益は税引後で、バークシャーの定義による数値です。「その他」には為替損益などが含まれます。
BNSF鉄道は輸送量の増加などを背景に19.3%増益となりました。エネルギー事業も8.3%増益、製造・サービス・小売部門も11.8%増益となっています。
保険以外の主要事業がそろって成長していることは、バークシャーの事業分散が機能していることを示しています。
ただし、景気の影響を受けやすい製造業や小売業については、今後の米国経済の減速が収益に与える影響にも注意が必要です。
96億ドルの自社株買いが示すアベルCEOの資本配分戦略
今回の決算で特に重要なのが、自社株買いの規模です。
バークシャーは第3四半期に約96億ドルの自社株を取得しました。2026年1〜9月の累計自社株買い額は約144億ドルに達しています。
バークシャーの自社株買いは、経営陣が保守的に評価した企業の本源的価値を株価が下回っていると判断した場合に実施される仕組みです。
そのため、大規模な買い戻しは、経営陣が実施価格を魅力的と判断していたことを示唆します。
ただし、自社株買いの実施は将来の株価上昇を保証するものではありません。
グレッグ・アベルCEOの下で、バークシャーが手元資金をどの程度積極的に活用するのかは、今後の投資家にとって大きな注目点となっています。
巨額の手元資金は今後どう使われるのか
バークシャーは9月末時点でも、巨額の現金や短期米国債を保有しています。
保険・その他事業における現金および現金同等物は約360億ドル、短期米国債は約3,367億ドルでした。
この2項目の合計だけで約3,728億ドルに達します。ただし、短期米国債には決済未了の購入分なども含まれるため、報道で使用される現金・短期国債の集計値とは差が生じます。
豊富な流動性は、大型買収、市場急落時の投資機会、自社株買いなどに対応できる財務上の強みです。
一方で、短期金利が低下すれば米国債の運用収益が減少する可能性があります。実際、今回の決算でも保険投資収益の減少が営業利益を押し下げました。
今後は資金を保有し続けることによる安全性と、買収・投資・自社株買いに活用することによる資本効率のバランスが重要になります。
株価の反応と今後の注目点
バークシャーのB株は、決算発表前の11月6日の通常取引を570.89ドルで終えました。
決算発表は11月7日(土)だったため、発表後の米国株通常取引はまだ行われていません。実際の市場評価は11月9日(月)以降の株価反応で確認する必要があります。
バロンズは今回の決算について、保険事業の減益と大規模な自社株買いの対比に注目しています。
今後の焦点は、GEICOの損害率と広告費が改善するか、鉄道・エネルギーなどの増益が続くか、そしてアベルCEOが自社株買いや買収にどの程度資金を振り向けるかという点です。
バークシャーは、一般的な企業のような詳細な四半期EPSガイダンスを公表していません。そのため、次回決算では個別事業の収益性と資金配分の実績が重要な判断材料になります。
まとめ
今回のバークシャー・ハサウェイ決算は、保険事業の収益悪化によって営業利益が減少した一方、鉄道・エネルギー・製造業の成長と大規模な自社株買いが確認された内容でした。
とりわけ96億ドルの自社株買いは、アベルCEOの下で進む資本配分の変化を考えるうえで重要です。
一方で、GEICOの利益率悪化と金利低下による投資収益減少は、引き続き注意すべき課題です。
今後は利益総額だけでなく、各事業の収益力、保険フロートの動向、巨額の資金がどのように活用されるかを継続して確認することが重要になります。
情報ソース
企業公式資料・一次情報
- Berkshire Hathaway — Third Quarter 2026 Earnings Release(2026年11月7日)
- Berkshire Hathaway — Third Quarter 2026 Form 10-Q
報道・市場情報
- Barron’s — Berkshire’s Operating Earnings Fell 6%. Buybacks Hit $9.6B.
- Reuters — Berkshire Hathaway speeds up stock buybacks, though profit falls
- Associated Press — Berkshire Hathaway buys back $9.6 billion of its own stock but its profits declined
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。