マイクロン・テクノロジー(MU)は9月30日の米国市場終了後、2026年度第4四半期決算を発表しました。
AIデータセンター向けメモリー需要の拡大を背景に、売上高、利益ともに市場予想を上回る非常に強い内容となりました。
バロンズは今回の決算について、マイクロンの業績が過去最高水準に達する一方、ウォール街では依然として「この成長はどこまで続くのか」という慎重な見方が残っている点に注目しています。
まず今回の決算内容を整理し、その後、投資家が注目すべきポイントを考えてみます。
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売上高は540億ドル、前年同期比379%増
マイクロンの2026年度第4四半期売上高は540億ドルとなりました。
市場予想の510億ドルを上回り、前年同期比では379%増という大幅な伸びです。
AIデータセンター向けを中心とするメモリーとストレージ製品への需要拡大が業績を押し上げました。
AIサーバーでは高性能なメモリーが大量に必要となるため、世界的なAIインフラ投資の拡大がマイクロンに強い追い風となっています。
調整後EPSは33.42ドル
調整後1株利益は33.42ドルとなり、市場予想の31.72ドルを上回りました。
前年同期は3.03ドルだったため、利益は1年間で大きく拡大しています。
メモリー価格の上昇と高付加価値製品の販売拡大によって、売上高の増加以上に利益が伸びる状況になっています。
前回の第3四半期決算でも、AIデータセンター需要を背景に売上高と利益が市場予想を大きく上回っていました。今回の決算は、その成長がさらに加速した形です。
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粗利益率は87%に上昇
今回の決算で特に目を引いたのが、87%という粗利益率です。
売上高の伸びとともに、マイクロンとして過去最高水準となりました。
現在のメモリー市場では需要が供給を大幅に上回っており、価格上昇が続いています。
AIデータセンター向けだけではなく、その供給不足の影響は一般のコンシューマー向け製品にも広がっています。
AI向けHBMの生産には通常のDRAMより多くの製造能力が必要になるため、HBM需要の拡大が汎用メモリーの供給を引き締める構造も生まれています。
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2027年度と2028年度も需給逼迫を予想
サンジェイ・メロートラCEOは決算説明会で、業界の需要が前回の決算発表時よりさらに強まったとの認識を示しました。
会社側は2027年度と2028年度について、メモリーとストレージの需給環境が2026年度以上に逼迫すると予想しています。
現在の供給不足が短期間で解消する可能性は高くないとみていることになります。
新しいメモリー工場の本格稼働も2027年半ば以降になる見通しで、供給能力の増加には時間がかかります。
マイクロン株を考えるうえでは、AI需要そのものだけではなく、この供給不足が2027年以降まで続くかが重要になっています。
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好決算でも株価評価は低い
これほど好調な業績にもかかわらず、マイクロン株に対するウォール街の評価は依然として低い状態です。
バロンズによると、ウォール街は2027年度の調整後EPSを約160ドルと予想しています。
この予想をもとにすると、マイクロンの予想PERは約6.6倍です。
S&P500の予想PER約18.5倍と比べると、大幅に低い水準です。
通常であれば、売上高が急増し、利益率も過去最高となっている企業には高い評価が与えられても不思議ではありません。
それでもマイクロンのPERが低いのは、市場が現在の利益水準をそのまま将来まで続くとは考えていないためです。
市場が警戒する「メモリーサイクル」
メモリー業界はこれまで、好況と不況を繰り返してきました。
需要が増加するとメモリー価格が上昇し、メーカー各社が設備投資を拡大します。
その後、新工場が稼働して供給量が増えると、今度は供給過剰となり、メモリー価格が下落します。
価格下落によってメーカーの売上高や利益率も急低下するという流れです。
そのため、メモリー株では業績が最も良い時期が、株式市場では逆に「ピークが近い」と警戒されることがあります。
今回、粗利益率が87%まで上昇したことも、強さを示す一方で「これ以上改善する余地がどれだけ残されているのか」という疑問につながります。
第1四半期について会社側が売上高成長率や粗利益率の若干の低下を見込んでいることも、慎重な見方を強める要因となっています。
5年契約が従来のメモリーサイクルを変える可能性
一方、今回最も注目したいのが、マイクロンが長期供給契約を急速に増やしていることです。
従来のメモリー取引では1年間程度の契約が一般的でした。
しかし現在、マイクロンは顧客との最大5年間の長期契約を増やしています。
こうした契約は前四半期の16件から36件へ増加し、2030年までの売上高の約3分の1をカバーする規模になりました。
契約には購入に関する拘束力があり、価格にも一定の範囲が設定されています。さらに顧客から預託金を受け取るケースもあります。
これは非常に重要な変化です。
将来メモリー価格が下落しても、長期契約によって一定の販売量や価格を確保できれば、従来ほど業績が急激に悪化しない可能性があります。
この長期供給契約については、6月の決算後にもマイクロンの「脱シクリカル戦略」として取り上げています。今回、契約数がさらに増えたことで、その戦略が一段と具体化してきました。
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マイクロンが目指すのはPERの再評価
マイクロンが長期契約を増やしている理由は、単に製品を長期間販売するためだけではありません。
業績の安定性を高めることで、「典型的な景気循環株」という市場の評価そのものを変えようとしていると考えられます。
現在のような6倍台のPERには、将来再びメモリー不況が訪れ、利益が大きく減少することがある程度織り込まれています。
もしマイクロンが長期契約によって景気循環による利益変動を小さくできれば、市場が同社に付与するPERが上昇する可能性があります。
その場合、株価には「利益の増加」に加えて「PERの上昇」という2つの上昇要因が生まれます。
フリーキャッシュフローも急拡大
財務面も大きく改善しています。
2026年度のフリーキャッシュフローは590億ドルとなりました。
マイクロンは100億ドルの債務を返済し、負債残高を50億ドルまで減らしています。
さらに自社株買いも開始しました。
ウォール街では2027年度のフリーキャッシュフローが1,290億ドルに達するとの予想もあります。
AIメモリー需要が高水準を維持できれば、設備投資だけでなく、財務改善や株主還元にも大きな余力が生まれます。
今後は「好決算」よりも利益の持続性が重要
今回のマイクロン決算は、売上高540億ドル、調整後EPS33.42ドル、粗利益率87%という非常に強い内容でした。
しかし株式市場がこれから確認したいのは、次の四半期の数字だけではありません。
最大の焦点は、現在のAIメモリー需要が一時的な好況なのか、それともメモリー業界の収益構造そのものを変える長期的な変化なのかという点です。
特に注目したいのは、2027年以降の新工場稼働による供給増加、AIデータセンター投資の持続性、長期供給契約の拡大です。
マイクロンが高水準の利益を維持しながら業績の変動幅を小さくできれば、現在の6倍台というPERが見直される可能性があります。
今回の決算は「マイクロンの利益がどこまで増えるのか」だけでなく、「メモリー株は本当に景気循環株のままなのか」を考える決算になったといえます。
情報ソース:Barron’s: “Micron Reports Another Dazzling Quarter. The Bears Remain Unconvinced.” Updated Sept. 30, 2026
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