中国のメモリー半導体メーカー、長鑫存儲技術(CXMT)がNANDフラッシュメモリー分野への進出を計画しています。DRAMを主力としてきた中国企業がNANDにも事業領域を広げれば、世界のメモリー半導体市場の競争構造が変化する可能性があります。
ロイターが2026年9月18日に報じたところによると、CXMTは北京市の新工場にNANDフラッシュメモリーの研究開発・生産ラインを設置する計画です。ただし、現時点では商業生産の開始時期は確認されておらず、量産開始も正式には発表されていません。
投資家にとって重要なのは、中国企業の参入というニュースだけで判断するのではなく、現在のNAND市場の成長速度や競争環境と合わせて考えることです。
CXMTがDRAMからNANDへ事業を拡大
CXMTはこれまでDRAMを中心に成長してきた中国のメモリー半導体メーカーです。DRAMはコンピューターやAIサーバーが処理中のデータを扱うためのメモリーで、NANDはデータを長期間保存するために使われます。
そのCXMTがNANDへ進出すれば、主要なメモリー分野を複数手掛けることになります。
ただし、研究開発ラインを設置することと、世界市場で大量生産してシェアを獲得することには大きな違いがあります。
今後の焦点は、量産開始の時期、生産能力、顧客獲得、そして実際の市場シェアです。現段階では「競争相手が直ちに増える」というより、中長期的な競争要因が新たに加わったと見るのが適切です。
中国にはすでにYMTCという有力企業
NAND市場では、中国の長江存儲科技(YMTC)がすでに大きな存在感を持っています。
カウンターポイント・リサーチによると、2026年第2四半期の世界NAND市場では、サムスン電子が28%で首位、SKハイニックス(SKHY)が19%、マイクロン・テクノロジー(MU)が約15%、YMTCが14%、サンディスク(SNDK)が11%でした。
YMTCの14%というシェアは、マイクロン・テクノロジーの約15%に迫っています。
ここへCXMTが加わった場合、米国企業や韓国企業との競争だけでなく、中国企業同士の競争も激しくなる可能性があります。
特に注目したいのは中国国内市場です。CXMTがまず中国の顧客を中心にNANDを販売する場合、直接的な競争相手はYMTCになる可能性があります。
マイクロンへの影響は現時点では限定的
マイクロン・テクノロジーとSKハイニックスは、いずれも売上高のおよそ4分の1をNANDから得ています。
したがって、NANDメーカーが増加することは中長期的には無視できないリスクです。供給能力が増えれば、将来的に価格競争につながる可能性もあります。
一方、現時点でマイクロン・テクノロジーの業績に大きな影響が出ると判断する材料は十分ではありません。
CXMTについて確認されているのは研究開発・生産ラインの計画であり、商業生産の開始時期さえ明らかになっていないためです。
メモリー半導体市場への影響を見るには、研究開発、量産開始、生産能力拡大、市場シェア獲得という段階を追う必要があります。
NAND市場は前四半期比70%成長
もう1つ重要なのが、市場そのものの急成長です。
カウンターポイント・リサーチによると、2026年第2四半期のDRAM市場は前四半期比57%増加し、NAND市場は70%増加しました。
市場がこれほど大きく拡大している局面では、新規企業が参入しても、既存企業の売上高が直ちに減少するとは限りません。
AIサーバーやデータセンターなどによるメモリー需要の拡大が続けば、新規参入企業と既存企業が同時に成長できる余地があります。
むしろ注意すべきなのは、市場成長が鈍化した後です。需要の伸びが落ち着いた状態で生産能力だけが増加すれば、供給過剰や価格下落につながる可能性があります。
CXMTのNAND参入は、短期業績よりも数年先の需給バランスを見るうえで重要な材料と考えています。
9月18日の株価はマイクロンが+3.92%
今回のニュースが伝わった9月18日の株式市場では、メモリー関連株が売られる展開にはなりませんでした。
CXMTは55.54元で取引を終え、前日比3.87%上昇しました。マイクロン・テクノロジーは1,015.80ドルで終了し、3.92%上昇しました。SKハイニックスの米国ADRも187.79ドルで終了し、2.62%上昇しています。
また、サンディスクは1,791.82ドルと10.99%上昇しました。
少なくとも9月18日の株価を見る限り、市場はCXMTのNAND参入計画を、既存メーカーの収益を直ちに脅かす材料として大きく警戒したわけではないことがうかがえます。
マイクロン投資で今後確認したいポイント
今回のニュースだけを理由に、マイクロン・テクノロジーへの投資判断を大きく変更する必要性は低いと考えます。
今後確認したいのは、CXMTが本当に商業生産へ移行するのか、どの程度の生産能力を持つのか、そしてYMTCを含めた市場シェアがどう変化するのかです。
マイクロン・テクノロジーにとってNANDは売上高のおよそ4分の1を占めるため、中国勢の生産能力拡大は継続的に監視する必要があります。
ただし、現在はDRAMとNANDの双方で市場が大きく拡大しています。「中国メーカーの参入=マイクロン・テクノロジーにマイナス」と単純に考えるのではなく、市場全体の需要、生産能力、価格、各社のシェアを総合的に見ることが重要です。
CXMTのNAND計画は、マイクロン・テクノロジーの短期的な業績リスクというより、今後数年のメモリー半導体市場の勢力図を左右する可能性がある動きとして注目しています。
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情報ソース: Barron’s: “Micron Faces Growing China Threat. It’s a Bigger Problem for Memory-Chip Rivals.” (By Adam Clark, Sept. 18, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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