AIエージェントが商品検索から比較、購入までを代行する「エージェント型コマース」が広がり始めています。メタ・プラットフォームズ(META)の「ミューズ」やオープンAIの「Dots」などが登場したことで、アマゾン(AMZN)のオンラインショッピング事業や広告事業が打撃を受けるのではないかとの懸念も出ています。
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しかし、バロンズが2026年9月30日に掲載した記事では、こうした懸念は過大評価されている可能性があるとの見方が紹介されています。
ローゼンブラット証券のアナリストは、アマゾンがAIエージェント時代でも強い競争力を維持できるとして、目標株価を335ドルから360ドルへ引き上げました。
アマゾン株に46%の上昇余地
ローゼンブラット証券のスコット・デビット氏は、アマゾン株の投資判断「買い」を維持し、目標株価を360ドルに引き上げました。
9月29日の終値246.67ドルを基準にすると、約46%の上昇余地を見込んでいる計算です。
アマゾン株は8月3日に284.02ドルの直近高値をつけた後、9月29日までに約13%下落しました。一方で、年初来では約7%上昇しています。
株価が高値から調整している局面でも、ローゼンブラット証券はアマゾンの長期的な競争力を高く評価しています。
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AIエージェントがアマゾンを脅かすとの見方
AIショッピングを巡る最大の懸念は、消費者がアマゾンのサイトやアプリを直接利用する機会が減る可能性です。
これまではユーザーがアマゾンで商品を検索し、検索結果や広告を見ながら購入商品を選ぶ流れが一般的でした。
しかし、AIエージェントが普及すれば、「この条件で最も良い商品を探して購入して」と依頼するだけで、検索、比較、購入までをAIが代行する世界が現実味を帯びてきます。
その場合、消費者がアマゾンの検索結果を見る回数が減り、広告収入にも影響が出るとの懸念があります。
特にミューズやDotsのような第三者AIが買い物の入口を握れば、アマゾンと消費者との直接的な接点が弱くなる可能性があります。
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アマゾン自身もAIショッピングを強化
一方で、アマゾンもAIエージェント時代への対応を進めています。
バロンズの記事によると、同社はAIを使った購買体験の中にスポンサー広告を組み込み始めています。また、「Alexa for Shopping」などを通じて、商品の発見から購入までを自社サービス内で完結させる仕組みを強化しています。
つまり、AIエージェントが普及することと、アマゾンがショッピング市場で主導権を失うことは必ずしも同じではありません。
従来の検索画面がAIとの会話に置き換わっても、購入そのものがアマゾンのエコシステム内で行われれば、同社は引き続き大きな利益を得られます。
アマゾンには豊富な購買データがある
アマゾンの大きな強みは、膨大なショッピングデータを保有していることです。
購入履歴、価格、在庫、配送状況、商品レビューなど、消費者が商品を購入するために必要な情報を幅広く持っています。
第三者のAIエージェントが優れた商品提案を行えても、アマゾンと十分に連携できなければ、正確な価格やリアルタイムの在庫情報を取得できない場合があります。
これに対して、アマゾン自身のAIであれば自社データを直接活用できます。
AI時代ではAIモデルそのものの性能だけでなく、どの企業が実際の購買データを持っているかも競争力を左右する重要な要素になります。
ミューズをブロックした狙い
記事では、アマゾンがメタのミューズからのアクセスを制限した判断についても取り上げています。
ローゼンブラット証券は、これをアマゾンが自社のショッピングエコシステムを守るための合理的な対応と評価しています。
AIエージェント時代には、「どの企業が消費者との最初の接点を持つか」が重要になります。
第三者AIが商品の検索や比較をすべて担当するようになると、アマゾンは単なる商品の供給先に近づく可能性があります。
そのため、顧客データや商品情報を外部AIにどこまで開放するのかは、アマゾンにとって重要な戦略課題になっています。
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クリック減少でも売上が伸びる可能性
興味深いのは、AIエージェントによってクリック数が減っても、それが必ずしもアマゾンにとって悪材料ではないという点です。
AIが消費者の希望に合った商品を高い精度で提示できれば、検索や比較の回数が減る一方で、実際の購入につながる確率は高まる可能性があります。
クリック数が減っても、1回のアクセスから得られる売上や取引額が増えれば、アマゾン全体としてはプラスになります。
AI時代には、従来の検索回数やクリック数だけでオンライン小売企業の強さを判断することが難しくなりそうです。
AIエージェントはアマゾンの成長機会にもなる
メタのミューズやオープンAIのDotsの登場は、オンラインショッピングの形を大きく変える可能性があります。
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アマゾンにとって一定のリスクがあることは確かですが、同社には巨大な顧客基盤、商品データ、在庫情報、物流網、広告事業があります。
これらの強みをAIエージェントと組み合わせることができれば、エージェント型コマースは脅威ではなく、新たな成長機会になる可能性もあります。
今後の焦点は「AIがアマゾンを脅かすか」だけではありません。アマゾン自身がAIを活用し、商品の発見から決済、配送までをどこまで便利にできるかが重要です。
ローゼンブラット証券が示した360ドルという目標株価は、AIショッピング時代になってもアマゾンの競争優位は簡単には崩れないとの見方を反映しています。
情報ソース: Barron’s: “Amazon Stock Has 46% Upside. Muse and Dots Threats Are ‘Overstated.’” (By Kit Norton, Sept. 30, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。