マイクロン・テクノロジー(MU)が発表した2026年度第4四半期決算については、前の記事で詳しく取り上げました。
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前の記事では、売上高や利益の大幅な増加、粗利益率87%、AIメモリー需要の強さ、長期供給契約の拡大などを確認しました。一方で、これほど強い決算にもかかわらず、市場がマイクロン株を慎重に評価している点も紹介しました。
その後、バロンズが改めて注目したのが「粗利益率87%」です。
一見すると驚異的な数字ですが、市場が気にしたのは87%という高さではなく、次の四半期に86.25%へ低下する見通しでした。
今回は、なぜわずか0.75ポイントの低下がマイクロン株の重荷になっているのかを考えてみます。
87%という粗利益率が新たなハードルに
前の記事でも紹介したように、マイクロンの2026年度第4四半期の粗利益率は87%に達しました。
バロンズは、エヌビディア(NVDA)の粗利益率が約75%であることと比較しています。AI半導体市場で高い収益力を誇るエヌビディアを上回る水準です。
通常であれば、これほど高い利益率は株価にとって大きなプラス材料になります。
しかし、マイクロンの場合は事情が異なります。
粗利益率が87%まで上昇したことで、投資家の関心は「どこまで上がるのか」から「この水準を維持できるのか」へ移り始めています。
好業績が続いた結果、87%という数字自体が新たなハードルになったとも考えられます。
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市場が反応したのは0.75ポイントの低下
マイクロンは現在の四半期について、粗利益率が86.25%になるとの見通しを示しました。
前四半期の87%からは0.75ポイントの低下にすぎません。
86.25%という粗利益率は依然として極めて高く、この数字だけを見て業績悪化と判断する状況ではありません。
会社側も、この低下には従業員への報酬など一時的な要因が含まれており、その後は再び粗利益率が上昇すると説明しています。
それでも株式市場が敏感に反応した背景には、現在のマイクロン株に極めて高い期待が織り込まれていることがあります。
バロンズによると、マイクロン株は過去12カ月で約6倍に上昇しました。
これだけ株価が上昇すると、投資家は単なる好業績では満足しなくなります。売上高や利益が増えるだけでなく、市場予想を上回り続け、利益率についても改善を続けることが期待されます。
前の記事で指摘した「メモリーサイクル」が再び焦点に
前の記事では、マイクロンの予想PERが約6.6倍と低い背景として、市場が従来の「メモリーサイクル」を警戒していることを取り上げました。
今回の粗利益率見通しも、まさにこの問題につながっています。
メモリー業界では、需要が拡大すると価格が上昇し、メーカーの利益率も急速に改善します。しかし、生産能力の拡大によって供給が増えると、今度は価格が下落して利益率が急低下するというサイクルを繰り返してきました。
そのため、粗利益率が87%という異例の水準に達すると、市場では「これ以上良くなる余地がどれだけ残されているのか」という疑問が生まれます。
今回の86.25%という見通しは小幅な低下ですが、投資家にとっては業績のピークを考えるきっかけになった可能性があります。
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2027年供給量の75%はすでに販売先を確保
ただし、マイクロンを従来のメモリーサイクルだけで判断してよいのかという疑問も残ります。
バロンズによると、サンジェイ・メロートラCEOは、2027年のメモリー供給量の約75%について、すでに販売先を確保していると説明しました。
さらに顧客との供給契約は2031年まで延び始めています。
前の記事でも、マイクロンが長期供給契約を増やしていることを取り上げました。
これは現在のメモリー市場を考えるうえで非常に重要です。
過去のメモリーサイクルでは、価格が下落するとメーカーの売上高や利益も急速に悪化しました。しかし、長期契約によって販売量や価格をある程度確保できるようになれば、従来ほど激しい業績変動が起きない可能性があります。
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メモリー不足の終わりはまだ見えない
メロートラCEOは、メモリー市場で供給と需要がいつ均衡するのかについて、現時点では明確な見通しがないとの認識を示しています。
AIデータセンターへの投資が続くなか、HBMをはじめとする高性能メモリーの需要は依然として強い状態です。
供給不足が長期化すれば、マイクロンは販売数量を増やすだけでなく、価格面でも有利な状況を維持できます。
つまり、87%という粗利益率が永続するかではなく、過去のメモリーサイクルと比べて高い利益率をどこまで長く維持できるのかが重要になっています。
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UBSは目標株価1,625ドルを維持
バロンズの記事では、UBSのアナリストであるティモシー・アーキュリ氏の見方も紹介されています。
同氏はマイクロンの目標株価1,625ドルを維持しています。
長期供給契約についても、メモリー価格が大幅に下落しない限り、顧客が契約から離脱する可能性は低いと分析しています。
マイクロン株に対して市場が警戒しているのは、現在の業績が弱いためではありません。
むしろ、現在の利益率があまりにも高いため、「いつピークを迎えるのか」という疑問が強くなっています。
注目すべきは87%より高収益が続く期間
前の記事では、マイクロンの記録的な決算と、それでもPERが6倍台にとどまっている理由を取り上げました。
今回のバロンズの記事は、その問題をさらに一歩掘り下げています。
粗利益率が87%から86.25%へ低下すること自体は、マイクロンの業績にとって大きな問題ではありません。
本当に重要なのは、この小幅な低下が「利益率のピーク」を意味するのか、それとも一時的な調整にすぎないのかという点です。
2027年の供給量の約75%にすでに販売先があり、2031年までの長期契約も出てきていることを考えると、今回のAIメモリー需要は過去のメモリーブームとは異なる可能性があります。
今後のマイクロン株を見るうえでは、87%という1つの数字を追うだけでなく、AIメモリー需要、長期供給契約、供給不足という3つの要因によって高収益をどこまで長く維持できるのかを確認していくことが重要です。
情報ソース: Barron’s: “Why Micron’s 87% Gross Margin Is a Problem” (By Adam Clark, Oct. 1, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。