SKハイニックス株はなぜ急落?過去最高益でも売られた3つの理由

SKハイニックス(SKHY)が韓国時間7月29日に発表した第2四半期決算は、AIインフラ投資の拡大を背景に、売上高と営業利益が過去最高を更新する歴史的な内容となりました。

主な決算数値は以下の通りです。

・売上高:79兆3200億ウォン(前年同期比257%増)
・営業利益:60兆5400億ウォン(前年同期比557%増)
・営業利益率:76%
・純利益:93兆9200億ウォン

業績を牽引したのは、HBM(広帯域メモリ)、AIサーバー向けDRAM、企業向けSSD(eSSD)などの高付加価値製品です。

AIデータセンター向け需要の急増に加え、メモリ価格の上昇が利益を大きく押し上げました。AI向け製品だけでなく、一般的なDRAMやNAND型フラッシュメモリの需要も回復傾向にあり、メモリ市場全体が改善していることがうかがえます。

さらに同社は、主要な戦略的パートナーを含む約10社の顧客と長期供給契約(LTA)を締結したことも明らかにしました。需要の不透明感が大きかった従来のメモリ業界と比べ、将来の販売数量や収益を見通しやすい事業構造へ変化しつつあります。

過去最高益でも株価が下落した理由

これほど強い決算を発表したにもかかわらず、決算発表後の株価は下落しました。米国市場で取引されるADRは時間外取引で11%安と大きく売られ、韓国市場でも軟調な値動きとなりました。

背景にあるのは、業績悪化ではなく、市場期待の高さです。

前年同期比で売上高が約3.5倍、営業利益が約6.5倍に拡大しても株価が下落したという事実は、AI関連企業に対する投資家の期待が極端な水準に達していたことを示しています。

株価は決算の絶対的な良し悪しではなく、市場予想との差によって動きます。今回のSKハイニックスは、業績そのものは非常に好調だった一方で、一部の投資家が期待していたほどの上振れではなかったと受け止められました。

ただし、短期的な失望売りと事業の実態は分けて考える必要があります。これほど急速なV字回復を実現した収益力や、AIデータセンター向けメモリ需要の強さは、同社の競争力が本物であることを示しています。

低いPERに映るピークアウトへの警戒

株価は6月につけた高値から大きく下落し、今後12カ月の予想EPSに基づくPERも低い水準まで低下しています。

AI関連企業として見ると割安感が強いものの、市場が評価を抑えているのには理由があります。

投資家の多くは、現在の高い利益率がメモリサイクルの頂点であり、今後は供給増加や価格下落によって利益が縮小すると警戒しています。

メモリ半導体は、需要が増えると各社が設備投資を拡大し、数年後には供給過剰に陥るというサイクルを繰り返してきました。そのため、過去の経験則では「利益率が最も高い時期が株価のピーク」と判断されやすい傾向があります。

現在の低いPERは単純な割安評価ではなく、将来の利益減少を織り込んだ結果とも考えられます。

一方で、AI向けメモリ市場では従来と異なる構造変化が進んでいます。この変化が持続するのであれば、過去のサイクル理論だけで現在のSKハイニックスを評価することは難しくなります。

長期供給契約がメモリ市場を変える可能性

従来のメモリサイクルを変える可能性がある最大の要因は、大手テクノロジー企業との長期供給契約です。

報道によると、SKハイニックスはエヌビディア(NVDA)との間で総額5000億ドル規模の双方向供給契約を締結し、アルファベット(GOOGL)も約5000億ドル規模の長期供給契約を追加しています。

オープンAIやアンソロピックをはじめとするAI企業の開発競争が続く中、計算資源やデータセンターへの投資は拡大しています。AIモデルの大規模化が続く限り、高性能GPUだけでなく、GPUと組み合わせて使用されるHBMの需要も増加する可能性があります。

長期供給契約の拡大は、メモリメーカーにとって大きな意味を持ちます。

第一に、数年先までの需要を見通しやすくなります。需要変動の影響を受けやすかった従来のビジネスモデルと比べ、売上高や設備投資計画の安定性が高まります。

第二に、価格交渉力が強まる可能性があります。特にHBMは製造難易度が高く、供給できる企業が限られています。高性能製品で主導権を握る企業は、顧客との価格交渉で有利な立場を維持しやすくなります。

サイクル銘柄から構造的成長企業へ変われるか

市場は現在もSKハイニックスを、景気や需給によって業績が大きく変動するメモリサイクル銘柄として評価しています。

しかし、AI向けHBMの拡大や約10社の顧客との長期供給契約は、同社の事業構造が過去とは異なる段階へ進んでいることを示しています。

注目すべきなのは、現在の利益率が維持されるかどうかだけではありません。AI向けメモリが売上全体に占める割合、長期契約による需要の安定性、競合他社に対する技術的な優位性を継続できるかが重要です。

短期的には、期待値の高さや半導体株全体の調整によって株価の変動が続く可能性があります。一方、中長期的には、SKハイニックスが従来型のメモリメーカーから、AIインフラを支える構造的成長企業へ脱皮できるかが評価の分岐点となります。

今回の決算は、メモリ市場が再び過去と同じサイクルを繰り返すのか、それともAI需要によって新たな成長局面に入ったのかを見極める重要な材料となりました。

情報ソース: Barron’s: “SK Hynix Stock Drops on Disappointing Earnings” (By Adam Levine, July 28, 2026)
情報ソース: The Korea Herald: “SK hynix posts record Q2 profit of W60.5tr as AI memory prices surge” (By Moon Joon-hyun, July 29, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら SKハイニックス SKHY

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