13%急落から9.9%反発 マイクロン株を動かすAIメモリ需給の現在地

2026年の株式市場では、引き続きAI関連銘柄が投資家の注目を集めています。その中心に位置する企業の一つが、DRAMやNAND、HBMなどを手がけるメモリ大手のマイクロン・テクノロジー(MU)です。

マイクロン株は2026年に入ってから大幅に上昇してきましたが、直近では急落と急反発を繰り返す不安定な値動きとなっています。

こうした乱高下は、AI半導体相場の終わりを示しているのでしょうか。それとも、長期的な成長局面における一時的な調整なのでしょうか。

今回は、マイクロン株の値動きとアナリストの評価をもとに、AIメモリ市場の将来性について考えます。

年初来233%上昇後に13%急落

マイクロン株は2026年に入ってから233%上昇し、AI関連株の中でも特に高いパフォーマンスを記録しています。

株価上昇の背景にあるのは、AIデータセンター向けメモリ需要の拡大です。生成AIの学習や推論には大量のデータを高速で処理する必要があり、DRAMやHBMなどの高性能メモリが欠かせません。

一方、先週金曜、6月5日の取引ではマイクロン株が13%下落し、2025年4月以来の大幅な下落となりました。

売りのきっかけになったのは、半導体大手ブロードコム(AVGO)が示した売上見通しです。市場が期待していたほど強い内容ではなかったことから、AI関連銘柄全体に利益確定売りが広がりました。

ただし、この下落だけを見てAI需要が失速したと判断するのは早計です。

マイクロン株は短期間で200%を超えて上昇していたため、わずかな懸念材料でも利益確定売りが発生しやすい状況でした。今回の13%安は、業績悪化を直接反映したものというより、過熱した株価を調整する動きと考えることもできます。

9.9%急反発で示された押し目買い意欲

マイクロン株は急落した次の営業日である6月8日に9.9%上昇し、さらに翌9日のプレマーケットでも4.4%上昇しました。プレマーケットでは990.46ドルを付けています。

急落後すぐに買いが入ったことは、投資家がマイクロンの成長見通しを依然として高く評価していることを示しています。

9日のプレマーケット時点でも、株価は急落前の6月3日の終値を約8%下回っています。AIメモリ需要の見通しが大きく変わっていないと考える投資家にとって、この価格差が押し目買いの機会として意識された可能性があります。

ただし、急反発したからといって株価が直ちに最高値へ戻るとは限りません。大幅上昇後の銘柄は値動きが激しくなりやすく、今後も半導体企業の決算や設備投資計画によって株価が大きく変動する可能性があります。

UBSは目標株価1,625ドルを維持

UBSのアナリストであるニコラ・ゴドワ氏は6月8日付けのリサーチノートで、今回のマイクロン株の下落を投資機会と評価しました。

同氏はマイクロン株の投資判断を「買い」とし、目標株価を1,625ドルに設定しています。約990ドルの株価を基準にすると、約64%の上昇余地を見込んでいる計算です。

この強気判断を支える要因として挙げられているのが、自律型AIとも呼ばれる「AIエージェント」の普及です。

従来の生成AIは、利用者からの質問や指示に対して回答する用途が中心でした。一方、AIエージェントは目的に応じて複数の作業を計画し、必要な情報を集めながら自律的にタスクを実行することを目指しています。

こうしたAIが普及すれば、推論処理の回数や扱うデータ量が増加し、サーバーに搭載されるメモリ容量も拡大すると予想されます。

AIの進化は、GPUだけでなく、HBMやDRAMなどのメモリ製品に対する需要を長期的に押し上げる可能性があります。

メモリ業界全体に広がる成長期待

UBSはマイクロンだけでなく、サムスン電子、SKハイニックス、キオクシア、ナンヤ・テクノロジーなどのメモリメーカーも前向きに評価しています。

特にトップピックにはサムスン電子が選ばれました。

複数のメモリメーカーが同時に評価されている点は、現在の需要拡大が特定企業だけの成長材料ではなく、業界全体に関係する構造的な変化であることを示しています。

AI向けHBMは、高度な製造技術と品質管理が求められる製品です。短期間で生産能力を大幅に増やすことが難しいため、需要が供給を上回る状況が続けば、メモリ価格や各社の利益率を押し上げる要因になります。

一方で、メモリ業界は過去にも需要拡大を受けて各社が設備投資を増やし、その後に供給過剰へ転じるサイクルを繰り返してきました。

投資家はAI需要の成長だけでなく、各社の設備投資、生産能力、在庫水準、メモリ価格の推移も確認する必要があります。

マイクロン株には上昇余地が残されているのか

今回のマイクロン株の急落は、ブロードコムの売上見通しをきっかけに、急上昇していたAI関連株への利益確定売りが広がったものです。

その後に株価が急反発したことから、市場ではAI向けメモリの成長期待が依然として根強いことが分かります。

今後、AIエージェントが企業や個人向けサービスに普及すれば、データセンターで必要とされる計算能力とメモリ容量はさらに増加する可能性があります。この流れは、マイクロンをはじめとするメモリメーカーにとって中長期的な成長材料になります。

ただし、年初来で233%上昇した株価には、将来の成長期待が相当程度織り込まれている可能性もあります。

マイクロン株への投資を検討する際は、目標株価だけに注目するのではなく、HBMの供給状況、メモリ価格、設備投資、顧客企業のAIインフラ投資が継続しているかを確認することが重要です。

情報ソース: Barron’s: “Micron Stock Selloff Was a ‘Buying Opportunity’—and There’s Still Room to Run” (By George Glover, June 09, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「AIメモリ相場に異変 マイクロン急反発と韓国半導体株急落が示す次の主役

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