S&P500は2027年に20%下落するのか 市場が警戒する4つのリスク

  • 2026年9月25日
  • 2026年9月25日
  • BS余話

米国株市場はAI関連株を中心に高値圏で推移していますが、2027年には大きな調整局面を迎える可能性があるとの警戒も出ています。

マーケットウォッチは9月24日、オルタナティブ資産運用・アドバイザリー会社クロックタワーのチーフ・マクロ経済ストラテジスト、エリック・ウォーラースタイン氏の見通しを紹介しました。

同氏は現在の米国株について、企業業績や経済環境が順調に進むことを強く織り込んだ「完璧を前提とした価格」になっているとみています。

そのため、企業利益や金利、エネルギー価格などに少し変化が生じるだけでも、株価が大きく調整する可能性があると警戒しています。

S&P500が6,300まで下落するシナリオ

ウォーラースタイン氏が想定する弱気シナリオでは、S&P500が2027年に6,300付近まで下落する可能性があります。

マーケットウォッチの記事掲載時の水準からみると、約20%の下落です。

同氏は金融危機のような極端な状況ではなく、一般的な弱気相場が発生する可能性が高まりつつあるとみています。また、この弱気シナリオが実現する確率を50%程度としています。

背景にあるのは、企業利益の減速、金利上昇、エネルギー価格の上昇、AI投資をめぐる不確実性です。

企業利益への期待が高すぎる可能性

現在の米国株を支えている最大の要因の1つが企業利益の成長です。

しかしウォーラースタイン氏は、市場が織り込んでいる利益成長への期待が高すぎる可能性を指摘しています。

企業業績が市場予想を下回れば、利益予想の引き下げに加えて、株価収益率(PER)も低下する可能性があります。

同氏は金利上昇などを背景に、S&P500の予想PERが15倍程度まで低下するシナリオを想定しています。

現在の株価は企業利益が高い成長を続けることを前提としているため、利益成長が少し鈍化するだけでも株価への影響が大きくなる可能性があります。

原油高と利上げが重なるリスク

もう1つの大きな懸念がエネルギー価格です。

原油価格の上昇は企業コストを押し上げるだけでなく、インフレを再加速させる要因になります。

インフレが再び強まれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げを行う可能性も高まります。

ウォーラースタイン氏が警戒しているのは、原油高と金融引き締めが同時に進む状況です。

2022年にも、エネルギー価格の上昇と各国中央銀行による利上げが重なり、株式と債券がともに大きく下落しました。

同じような環境が再び発生すれば、企業利益と株価評価の両方に下押し圧力がかかる可能性があります。

米国政府の利払い負担も拡大

高金利の影響は企業だけではありません。

マーケットウォッチによると、米国政府の利払い費はGDP比で3.15%と記録的な水準に達しています。

金利がさらに上昇すれば、国債の利払い負担も増え、財政政策の自由度が低下する可能性があります。

また、投資家が米国債に対してより高い利回りを求めれば、長期金利が高止まりする可能性があります。

長期金利の上昇は、特に将来の高成長を前提として評価されているグロース株にとって逆風になります。

AI投資ブームにも注意が必要

今回の見通しで特に注目したいのがAI投資への警戒です。

現在の米国株市場では、エヌビディア(NVDA)をはじめとしたAI関連企業が利益成長を牽引しています。

半導体だけでなく、クラウド、データセンター、電力設備などにも巨額の資金が投入されています。

関連記事:エヌビディアは「AI帝国」を築く?1,000億ドル超の投資戦略から読み解くNVDAの将来性

一方でウォーラースタイン氏は、AI設備投資を支える信用環境にもリスクがあるとみています。

AIインフラへの投資が需要を先回りしすぎれば、投資額に見合った収益を得られない企業やプロジェクトが出てくる可能性があります。

これはAIの成長そのものを否定する話ではありません。

AIの需要拡大が続けば、データセンター建設やGPUへの投資がエヌビディアの成長をさらに押し上げる可能性もあります。

関連記事:エヌビディアに6,000億ドルの巨大商機 オープンAIのデータセンター計画が生むGPU需要

一方で、AI企業への投資とGPU需要が相互に拡大する構造については、資金循環の持続性を見る必要があります。

関連記事:エヌビディア「350億ドルAI経済圏」の正体、投資家が警戒すべき新たなリスク

2000年前後の通信インフラ投資でも、インターネットはその後大きく普及しましたが、その過程では過剰投資が企業業績や株価の大幅な調整につながりました。

AIでも、長期的な技術成長と短期的な株価が必ずしも同じ方向に動くとは限りません。

外国人投資家の動向にも注目

ウォーラースタイン氏は、外国人投資家による米国株保有の増加にも注目しています。

記事によると、外国人投資家の米国株保有額は2021年以降に倍増し、約3.1兆ドルに達しています。

米ドルが下落すれば、外国人投資家にとって米国株の魅力が低下し、資金流出につながる可能性があります。

さらに企業による自社株買いが減少すれば、これまで株価を支えてきた需給面の追い風も弱まります。

今後は企業利益だけでなく、米国株を誰が買い続けるのかという資金フローも重要になります。

20%下落予想をどう見るか

今回示されたS&P500の6,300という予想値を、そのまま投資判断に使う必要はありません。

重要なのは、なぜ約20%の下落シナリオが想定されているのかを理解することです。

企業利益の減速、長期金利の上昇、原油高、AI設備投資の過熱、米ドル安、外国人投資家の売却、自社株買いの減少といった要因が重なれば、現在の高い株価評価を維持することが難しくなる可能性があります。

一方で、AI投資が高い収益につながり、企業利益が成長を続け、インフレが落ち着けば、この弱気シナリオが実現しない可能性もあります。

エヌビディアを中心としたAI関連株についても、「AIは成長するか」という視点だけでなく、その成長を実現するために投入されている資金と、最終的に得られる利益のバランスを見ることが重要です。

今後の米国株を見るうえでは、AI関連企業の成長だけでなく、企業利益、長期金利、原油価格、AI設備投資の資金調達環境をあわせて確認することが重要です。

情報ソース: MarketWatch: “With the stock market ‘priced for perfection,’ the S&P 500 is in danger of a 20% slump next year” (By Barbara Kollmeyer, Sept. 24, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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