AIデータセンターの電力需要が急拡大 恩恵を受ける天然ガス株2銘柄

  • 2026年9月24日
  • 2026年9月24日
  • BS余話

AI投資の拡大は、半導体やデータセンターだけでなく、それを動かす電力と天然ガスの供給網にも新たな需要を生み出しています。

バロンズが9月23日の記事で取り上げたのは、米国の天然ガスなどを輸送する中流、いわゆるミッドストリーム企業です。中でもキンダー・モルガン(KMI)とウィリアムズ・カンパニーズ(WMB)は、AIデータセンター向け電力需要とLNG輸出という2つの成長材料に関わる企業として注目されています。

AI投資を見るうえでは、GPUを誰が作るのかだけでなく、そのGPUを24時間稼働させるエネルギーを誰が運ぶのかという視点も重要になっています。

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AIデータセンター拡大で天然ガス輸送の重要性が高まる

AIの計算能力を拡大するためには、多数のデータセンターを稼働させる必要があります。データセンターではサービス停止を避けることが重要になるため、安定した電力供給が欠かせません。

バロンズの記事では、こうした電力需要を背景に、天然ガス火力発電が多くの地域で重要な選択肢になっていると説明しています。

ここで恩恵を受ける可能性があるのが天然ガスを発電所などへ運ぶパイプライン企業です。

ミッドストリーム企業は、石油や天然ガスの生産そのものではなく、生産地から発電所、製油所、石油化学施設などへエネルギーを運ぶ役割を担います。AIによって天然ガス需要が増えれば、その輸送インフラの利用需要にも波及する構図です。

投資家の視点では、AIの成長がエネルギー需要を通じて従来型インフラ企業にも広がっている点が重要です。

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キンダー・モルガンはAI電力とLNGの両方に関与

ミリアスのアナリスト、ジェームズ・ウェスト氏は、キンダー・モルガンとウィリアムズ・カンパニーズについて新たに「買い」でカバレッジを開始しました。一方、エナジー・トランスファー(ET)とエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)は「ホールド」としています。

ウェスト氏は、キンダー・モルガンについて、データセンターの負荷増加に伴う発電需要とLNG輸出向け天然ガス需要という2つの構造的な成長要因に最も直接的に関わる企業と評価しています。

さらに同社のキャッシュフローの大部分は、長期間でインフレ連動型の契約から生み出されているとされています。

中でも重要なのが「テイク・オア・ペイ」と呼ばれる契約です。顧客が実際に設備を使用したかどうかにかかわらず料金を受け取れる仕組みで、利用量だけに収益が左右されにくい特徴があります。

AI関連企業の成長率とは異なる形で、長期契約による収益の安定性を持ちながらAIインフラ拡大の恩恵を受けられる可能性がある点が、キンダー・モルガンの特徴と考えられます。

目標株価38ドルでも重要なのは長期需要

ウェスト氏はキンダー・モルガンの目標株価を38ドルとしており、記事掲載時点から約16%の上昇余地を見込んでいます。

ただし、これはアナリストによる予想であり、将来の株価を保証するものではありません。

むしろ長期投資家が確認したいのは、目標株価そのものよりもAI向け発電需要がどこまで継続し、その結果として天然ガス輸送量や新規契約が増えていくのかという点です。

AIデータセンターへの投資が拡大しても、それがパイプライン企業の長期契約やキャッシュフロー増加につながらなければ、期待された恩恵は限定的になる可能性があります。

ウィリアムズ・カンパニーズは発電事業まで踏み込む点が特徴

もう1社の注目企業がウィリアムズ・カンパニーズです。

ウェスト氏は同社の目標株価を84ドルとし、記事掲載時点から約14%のリターンを見込んでいます。

同氏が注目しているのは、ウィリアムズ・カンパニーズが今回取り上げた4社の中で唯一、電力を自ら保有し販売する事業にも関与している点です。

天然ガスを単に輸送するだけでなく、その先にある発電にも関わることで、AIデータセンターの電力需要をより直接的に取り込める可能性があります。

一方、発電事業は天然ガス輸送だけを行うモデルより資本を必要とします。記事では、ブラックストーン(BX)との合弁事業によって、バランスシートへの負担や株式の希薄化を抑えながら進められるとウェスト氏が評価しています。

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LNG輸出もパイプライン需要を支える材料

パイプライン企業にとって追い風となる可能性があるのはAIだけではありません。

ウェスト氏は、米国のLNG輸出拡大にも注目しています。記事によると、天然ガスを輸送するミッドストリームのパイプラインは高い稼働水準にあり、同氏は輸出増加だけでも米国内のその他の市場を上回る追加需要を生み出す可能性があるとみています。

また、欧州とアジアからの需要について2030年までに30%増加するとの予測を示しています。

これはあくまで将来予測ですが、海外企業との長期契約が増えれば、パイプラインの利用を長期間確保しやすくなる可能性があります。

AI向け発電とLNG輸出という異なる需要源を持つことは、天然ガスインフラ企業を見るうえで重要なポイントです。

AI需要だけを前提にしすぎないことも重要

一方で、AIデータセンター需要が拡大しているからといって、パイプライン企業の利益が自動的に増えるわけではありません。

発電所の建設、データセンターの立地、新しい天然ガス輸送契約、LNG輸出などが実際の設備利用につながる必要があります。

また、キンダー・モルガンとウィリアムズ・カンパニーズに対する38ドルと84ドルという目標株価も、ウェスト氏の分析に基づく評価です。投資判断では、アナリストの目標株価だけではなく、長期契約の増加や実際のキャッシュフローへの反映を確認することが重要になります。

AIという成長テーマだけで評価するのではなく、インフラ企業としての収益安定性と資本投資のバランスを見る必要があります。

まとめ

今回の重要なポイントは、AI投資の恩恵が半導体やクラウドから、天然ガスを運ぶパイプラインまで広がっていることです。

キンダー・モルガンは、データセンター向け発電需要とLNG輸出の両方に関わり、長期契約によるキャッシュフローの安定性が特徴です。ウィリアムズ・カンパニーズは天然ガス輸送に加え、発電事業まで踏み込んでいる点が注目されます。

一方、アナリストの目標株価や需要予測はあくまで将来予想です。

今後は、AIデータセンター向けの天然ガス需要が実際にどの程度増えるのか、LNG輸出の拡大が継続するのか、そして新たな需要が長期契約とキャッシュフローにどこまで結び付くのかを確認することが重要になります。

AI時代の投資先を考える際には、「AIを作る企業」だけでなく、「AIを動かすエネルギーを運ぶ企業」にも注目する価値があります。

情報ソース: Barron’s: “Pipelines Are Pumping AI’s Power. 2 Winning Stocks to Buy.” (By Teresa Rivas, Sep. 23, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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