生成AI「Claude」を開発するアンソロピックが、最大1GW規模のデータセンターを直接借りる方向で協議していると、ジ・インフォメーションが報じました。
実現すれば、アンソロピックにとって過去最大級のデータセンター契約になる可能性があります。
今回の動きで注目したいのは、単純にAI向けの計算能力を増やすだけではありません。これまでアマゾン(AMZN)のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)や、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルなどから計算能力を確保してきたアンソロピックが、自らデータセンターとAI半導体を確保し、計算基盤を直接管理する方向へ動いている点です。
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最大1GWのデータセンターを直接利用へ
ジ・インフォメーションによると、アンソロピックは米データセンター開発会社ストリーム・データ・センターズが開発する施設について、最大1GW規模の計算能力を利用する契約を協議しています。
ストリーム・データ・センターズは米国で20カ所以上のデータセンターを開発してきた企業で、アポロ・グローバル・マネジメント(APO)が過半数の株式を保有しています。
ただし、交渉はまだ初期段階です。最終的な契約容量や取引条件は決まっておらず、契約まで数カ月かかる可能性があるほか、協議がまとまらない可能性もあります。
それでも最大1GWという規模は、アンソロピックが必要としているAI計算能力の大きさを示しています。
TPUとエヌビディアGPUの両方を検討
データセンターに導入されるAI半導体も重要なポイントです。
記事によると、アンソロピックはグーグルとブロードコム(AVGO)が関与するTPUを施設に配置する案を検討しています。
TPUはグーグルがAI計算向けに開発している専用プロセッサーです。クラウド事業者からサーバーを借りるのではなく、アンソロピックがAI半導体を直接確保できれば、コストや設備構成をより柔軟に管理できる可能性があります。
一方、エヌビディア(NVDA)のGPUを導入する可能性もあるとされています。
アンソロピックは特定のAI半導体だけに依存するのではなく、TPUやGPUを用途や価格、供給状況に応じて使い分ける戦略を進めていると考えられます。
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1GWには400億ドル以上の投資が必要
1GW規模のAIデータセンターを整備するには巨額の資金が必要です。
ジ・インフォメーションでは、データセンター開発関係者の見方として、1GWの計算能力を整備するには少なくとも400億ドルの資本投資が必要になるとしています。
そのため、アンソロピックだけで資金を負担するのではなく、金融機関やテクノロジー企業との連携が重要になります。
今回の計画では、グーグルが信用保証を提供する可能性についても協議されています。
AIデータセンターへの投資額が数百億ドル規模になるなか、AI企業、半導体企業、クラウド企業、金融機関が連携して計算能力を確保する構造が広がっています。
クラウド依存を減らしてコストを抑える
アンソロピックは現在、大部分の計算能力をクラウド事業者から借りています。
しかし、クラウド事業者を通じてAIサーバーを利用する場合、利用料金にはクラウド企業側の利益も含まれます。
データセンターを直接借り、そこに自社が選んだAI半導体やサーバーを設置すれば、設備投資の負担は増える一方、長期的には計算コストを抑えられる可能性があります。
アンソロピックはすでに、ハット8(HUT)やテラウルフ(WULF)が運営する比較的小規模な施設についても契約しています。
今回の1GW規模の計画は、こうした直接利用型のAIインフラ戦略をさらに拡大する動きといえます。
2GW規模のAI半導体契約も確保
アンソロピックはAI半導体の調達先も広げています。
記事によると、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とは2GW分のAI半導体に関する契約を結んでいます。
さらに、アポロ・グローバル・マネジメントとブラックストーン(BX)が関与する特別目的会社を通じ、約350億ドル規模でTPUを利用する契約も進めています。
ブロードコムは金融機関などと協力し、20GWを超える計算能力に必要なAI半導体の資金調達を目指しているとされています。
アンソロピックが必要としている計算能力は、すでに一般的なデータセンター投資とは比較できないほどの規模に拡大しています。
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オープンAIとの計算能力確保競争
背景にあるのがオープンAIとの競争です。
高性能な生成AIモデルを開発するには、大量のAI半導体だけでなく、それを動かす電力、土地、データセンター、ネットワーク設備が必要になります。
しかし、大規模データセンターを建設できる場所や電力供給には限りがあります。
このためAI企業にとっては、最新の半導体を確保するだけでなく、数年先までの電力とデータセンター容量を押さえることが競争力を左右する重要な要素になっています。
ジ・インフォメーションによると、アンソロピックは過去11カ月で合計5,310億ドル相当の計算能力に関する契約を結んでいるとされています。
生成AI競争は、AIモデルの性能だけを競う段階から、巨大なインフラをいかに確保するかを競う段階へ移りつつあります。
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米国株投資家が注目したいポイント
今回の報道はアンソロピックに関するものですが、米国株投資家にとってはAIインフラ関連企業への波及も重要です。
AI企業がデータセンターを直接借り、AI半導体を自ら調達する流れが広がれば、エヌビディア、AMD、ブロードコムだけでなく、電力設備、ネットワーク、冷却設備、データセンター開発などにも需要が広がる可能性があります。
一方、数百億ドル規模の設備投資を継続するには、AIサービスから十分な収益を生み出す必要があります。
AIインフラ投資の急拡大は関連企業にとって大きな成長材料ですが、資金調達負担やAI投資の採算性も同時に確認していく必要があります。
まとめ
アンソロピックが最大1GW規模のデータセンターを直接利用する計画は、AI業界の競争構造が大きく変わりつつあることを示しています。
これまでAI企業はクラウド事業者から計算能力を借りる立場でしたが、今後はデータセンター、AI半導体、電力まで自ら確保する方向へ進む可能性があります。
アンソロピックとオープンAIによる計算能力確保競争が激しくなれば、エヌビディア、AMD、ブロードコムをはじめとするAIインフラ関連企業にとって、長期的な需要拡大につながる可能性があります。
AI競争を見るうえでは、モデル性能だけでなく、その裏側にあるデータセンター、半導体、電力、資金調達の動きにも注目していく必要があります。
情報ソース: The Information: “Anthropic in Talks for 1-Gigawatt Data Center Lease With Apollo-Backed Developer” (By Valida Pau and Amir Efrati, Sep. 22, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。