サンディスク株にウォール街が強気 目標株価2,250ドルと「NAND市場7倍」の衝撃

  • 2026年8月15日
  • 2026年8月15日
  • BS余話

前回の記事「メモリ産業に「新たな黄金期」到来か サンディスクが狙う粗利80%の世界」では、サンディスク(SNDK)が進める新しいビジネスモデル契約(NBM)や、粗利益率80%という異例の長期目標、さらにAI推論市場で期待される高帯域幅フラッシュ(HBF)について紹介しました。

では、こうしたサンディスクの戦略をウォール街はどのように評価しているのでしょうか。

2026年8月14日の米国市場では、サンディスク株が一時6.49%高の1,628.19ドルとなり、S&P 500構成銘柄の中で上昇率トップとなりました。

注目したいのは、単にインベスター・デーの内容が好感されただけではありません。アナリストの評価を見ると、サンディスクを従来の「景気循環型のNANDメーカー」ではなく、「AIインフラを支える企業」として評価し直す動きが始まっています。

NAND市場はAIによって別の産業になる可能性

今回、ウォール街が特に注目しているのがNAND市場そのものの急拡大です。

JPモルガンの予測では、2025年に約700億ドルだったNAND市場は、2026年に3,000億ドルを超え、2027年には5,000億ドル近くまで拡大する可能性があります。

これが実現すれば、わずか2年間で市場規模が約7倍になる計算です。

これまでNAND需要を左右してきたのは、PCやスマートフォンなどでした。しかしAIデータセンターでは、GPUで計算するだけではなく、膨大なデータを保存し、必要な情報を高速に読み出す必要があります。

特にAIの中心がモデルの「学習」から実際にサービスを利用する「推論」へ広がるほど、ストレージの重要性も高まります。

つまりNANDは、単なるデータ保存用の汎用部品から、AIコンピューティングを支える重要なインフラへと変わる可能性があるのです。

JPモルガンが目標株価2,250ドルを提示

こうした変化を受け、JPモルガンはサンディスクのカバレッジを「オーバーウェイト」で再開し、目標株価を2,250ドルに設定しました。

シティ・リサーチも「買い」を継続し、目標株価を2,100ドルとしています。

8月14日の終値1,628.19ドルと比較すると、JPモルガンの目標株価までは約38%、シティの目標株価までは約29%の上昇余地があります。

ここで重要なのは目標株価そのものよりも、その評価の前提です。

サンディスクは2028年度から2030年度にかけて売上高を年率10%台半ば〜後半で成長させ、調整後粗利益率を約80%に維持する目標を掲げています。

前回の記事で紹介したNBMによって長期的な販売数量や価格の予測可能性が高まれば、従来のメモリ企業とは異なる収益構造を作れる可能性があります。

ウォール街は、この変化に対して従来より高い企業価値評価を与える余地があると考え始めているようです。

株価上昇がマイクロンやストレージ株にも波及

さらに興味深いのは、サンディスクだけが買われているわけではないことです。

8月14日の市場では、マイクロン・テクノロジー(MU)をはじめ、ウエスタンデジタル(WDC)やシーゲイト・テクノロジー・ホールディングス(STX)など、メモリ・ストレージ関連銘柄にも買いが広がりました。

市場がサンディスクの成長戦略を、1社だけの特殊な出来事ではなく、AIによるメモリ・ストレージ需要拡大という業界全体の変化として見始めている可能性があります。

これまでAI投資の主役はエヌビディア(NVDA)のGPUや、SKハイニックス(SKHY)やマイクロンが供給するHBMでした。

しかしAIデータセンターが巨大化すれば、必要になるのは計算用半導体だけではありません。

ネットワーク、電力、冷却、そしてデータを保存するストレージにも巨額の投資が必要になります。

NANDは、この「AIインフラの第2波」で恩恵を受ける分野の1つになる可能性があります。

最大の焦点は「高収益が持続するか」

もちろん、サンディスクの強気な長期計画には注意すべき点もあります。

メモリ業界では過去にも、需要拡大によって価格が急上昇した後、メーカーの増産によって供給過剰となり、価格と利益率が急低下する局面が何度もありました。

今回も「AI需要だから今回は違う」と簡単に決めつけることはできません。

今後確認すべきなのは、NBMによる長期契約が本当にメモリサイクルの変動を抑えられるのか、そしてAI向け高付加価値製品の拡大によって高い粗利益率を維持できるのかという点です。

四半期ごとの粗利益率、データセンター向け売上高、NBM契約比率、NAND価格などが重要なチェックポイントになります。

サンディスクの本当の変化は「評価軸」にある

前回の記事では、NBMとHBFによってサンディスクの事業モデルが変わる可能性を取り上げました。

今回のウォール街の反応を見ると、次の段階として「株式市場がサンディスクを何の会社として評価するのか」という変化が始まっているように見えます。

従来の景気循環型メモリメーカーとして評価されるのか、それともAIデータセンターを支える高収益インフラ企業として評価されるのか。

この違いは将来の株価評価に大きな影響を与えます。

粗利益率80%という目標が実際の数字として証明され、NBMによって収益の予測可能性が高まれば、サンディスクだけでなくメモリ・ストレージセクター全体の評価が切り上がる可能性があります。

今後の焦点は、NAND価格が上昇するかどうかだけではありません。

「メモリ産業そのものがAIによって別の産業へ変わりつつあるのか」。

サンディスクの今後数四半期の業績は、その答えを確認する重要な材料になりそうです。

情報ソース: Barron’s: “Sandisk Stock Tops the S&P 500 Today as Analysts Rally Behind Its AI Expansion” (By Mackenzie Tatananni, Aug 14, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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