✨ この記事でわかること
- マーケットウォッチが選定した、予想PER8.1倍以下で取引される米国株11銘柄と、2028年までの売上高・利益成長予想
- スーパーマイクロの最新決算やファースト・ソーラーなど、成長期待に対して株価評価が低い企業の特徴
- 低PERが投資機会になる場合と、業績悪化を織り込んだ「割安の罠」になる場合の見分け方
米国株市場では、AI関連の大型成長株に注目が集まる一方、比較的低い株価収益率(PER)で取引されながら、高い成長が期待される企業も存在します。
マーケットウォッチが2026年11月3日に更新した記事では、米国の大型・中型株を中心とするラッセル1000バリュー指数から、予想PERと将来の売上高成長率を使って11銘柄を抽出しています。
今回の特徴は、単に株価が安い企業ではなく、2028年までの成長期待を併せて評価している点です。中には、予想PERが7倍前後でありながら、売上高の年平均成長率が20%を超えると予想される企業も含まれています。
割安株が成長株を上回る2026年の米国市場
2026年の米国株市場では、バリュー株がグロース株を上回る場面が目立っています。
マーケットウォッチによると、ラッセル1000バリュー指数は6月26日の銘柄構成見直し後も相対的に好調で、10月初めから11月3日までの配当込みリターンは4.3%でした。
同じ期間の比較は以下のとおりです。
| 指数 | 騰落率 |
|---|---|
| ラッセル1000バリュー指数 | +4.3% |
| ラッセル1000グロース指数 | -2.4% |
| ラッセル1000指数 | +1.1% |
| S&P500 | +1.0% |
出典:MarketWatch、FactSet。2026年10月初め~11月3日、配当再投資込み。
成長株と割安株の評価が変化している背景には、AI関連企業の設備投資負担や将来の収益性に対する市場の警戒があります。
ただし、バリュー株なら何でも上昇するわけではありません。今回の銘柄選定では、割安性に加えて将来の売上高成長に注目しています。
869銘柄から11銘柄を選んだ条件
マーケットウォッチは、ラッセル1000バリュー指数の構成銘柄869社を対象に、ファクトセットのアナリスト予想を使ってスクリーニングを実施しました。
割安性の基準となったのは、同指数に連動するETF「iシェアーズ・ラッセル1000バリューETF(IWD)」です。
同ETFの予想PERは17.26倍で、その半分となる8.63倍未満を割安性の条件としました。
さらに、同ETFの2026年から2028年までの予想売上高成長率が年平均4.6%であることから、その2倍に当たる9.2%以上を成長性の条件としています。
PERの条件で79銘柄まで絞り、最終的に11銘柄が掲載されました。
選ばれた米国割安株11銘柄
以下がマーケットウォッチに掲載された11銘柄です。数値は2026年11月3日更新記事のファクトセット集計に基づいています。
| 企業名(ティッカー) | 予想PER | 売上高CAGR | EPS CAGR |
|---|---|---|---|
| エクイタブル・ホールディングス(EQH) | 6.3倍 | 9.7% | 21.6% |
| シフト4ペイメンツ(FOUR) | 6.3倍 | 10.7% | 18.6% |
| SLM(SLM) | 6.6倍 | 9.7% | 31.5% |
| ワンメイン・ホールディングス(OMF) | 7.0倍 | 11.7% | 18.4% |
| スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI) | 7.0倍 | 26.6% | 19.3% |
| XP(XP) | 7.1倍 | 13.2% | 13.8% |
| UWMホールディングス(UWMC) | 7.6倍 | 6.6% | 62.1% |
| アヴネット(AVT) | 7.7倍 | 13.4% | 24.8% |
| ファースト・ソーラー(FSLR) | 7.9倍 | 15.1% | 29.7% |
| アルモンティ・インダストリーズ(ALM) | 8.0倍 | 114.3% | 71.8% |
| カーライル・グループ(CG) | 8.1倍 | 23.6% | 29.7% |
CAGRは2026~2028年の予想年平均成長率、PERは今後12カ月の予想EPSに基づく数値です。
なお、UWMホールディングスの売上高CAGRは6.6%で、記事に記載された9.2%以上という選定条件と一致していません。上表ではマーケットウォッチ掲載値をそのまま使用しています。
注目したいのは、11社すべてが低PERでありながら、成長性や事業内容には大きな違いがあることです。
金融サービス、決済、AIサーバー、太陽光発電、資源開発など、複数の業界に分散しています。
スーパーマイクロ:予想PER7倍で売上高26.6%成長
11銘柄の中で、AI関連企業として特に注目したいのがスーパー・マイクロ・コンピュータです。
同社の予想PERは7.0倍ですが、2026年から2028年までの予想売上高CAGRは26.6%と、一般的な低成長のバリュー株とは異なる数字になっています。
さらに、11月3日に発表された2027年度第1四半期(2026年7~9月期)決算では、AIサーバー需要の急拡大を裏付ける実績が明らかになりました。
売上高は前年同期比約298%増の199億4,583万ドルに達し、調整後EPSは1.81ドルと市場予想の1.23ドルを大幅に上回りました。
同社は2027年度通期の売上高見通しも、従来の650億~720億ドルから720億~820億ドルへ引き上げています。
一方、収益性については慎重な評価が必要です。
GAAP粗利益率は前年同期の9.3%から12.7%に改善しましたが、前四半期の17.5%からは低下しました。
また、営業キャッシュフローは4億3,400万ドルのマイナスとなっています。会計上の利益が急増する一方、営業活動では資金が流出したことになります。
今回の決算は、予想PER7倍という低い株価評価と高い成長期待を考えるうえで重要な材料です。
ただし、マーケットウォッチが掲載した予想PERや成長率は決算発表前の市場予想を含むため、今回の決算を受けて数値が変化する可能性があります。
今後の株価を左右するのは、AIサーバー需要の持続性に加えて、利益率とキャッシュフローの改善です。
11月4日に公開した以下の記事では、今回の決算について、売上高の急増、通期見通しの引き上げ、利益率の変化、キャッシュフローの問題を詳しく分析しています。
関連記事:スーパーマイクロ決算、売上高が約4倍に急増!AIサーバー需要爆発で通期予想を最大820億ドルに引き上げ
ファースト・ソーラー:再生可能エネルギー分野の割安株
ファースト・ソーラーも興味深い企業です。
予想PERは7.9倍、2026年から2028年までの売上高CAGRは15.1%、EPS CAGRは29.7%とされています。
同社が10月29日に発表した2026年第3四半期決算では、売上高が前年同期比23%減の12億3,000万ドルだった一方、希薄化後EPSは25%増の5.30ドルとなりました。
また、9月末時点の契約済み販売残高は44.0GWに達しています。
この数字からは、短期的な売上高の変動と、中長期的な受注基盤を分けて評価する必要があることがわかります。
今後は、米国の製造業支援政策、太陽光発電設備の需要、受注残高の売上計上ペースが重要になります。
成長率114.3%のアルモンティには注意が必要
11銘柄の中で最も突出した売上高成長率が予想されているのは、アルモンティ・インダストリーズです。
2026年から2028年までの予想売上高CAGRは114.3%、EPS CAGRも71.8%に達しています。
同社はタングステンを中心とする重要鉱物の開発・生産に取り組んでいます。
タングステンは産業用工具や航空宇宙、防衛分野などで使われる金属です。重要鉱物の供給網を多様化する動きが、事業拡大の機会につながる可能性があります。
ただし、年平均114.3%という成長率は、通常の成熟企業とは大きく異なります。
新規事業や鉱山開発の立ち上がりによって売上高が急増する予測には、生産開始時期、設備稼働率、資源価格などの不確実性があります。
予想PER8.0倍という数値だけで割安と判断するのは危険です。
金融関連株が多いことにも注目
今回の11銘柄には、エクイタブル・ホールディングス、SLM、ワンメイン・ホールディングス、XP、UWMホールディングス、カーライル・グループなど、金融関連企業が多く含まれています。
金融企業の利益は、金利、信用コスト、融資需要、資産運用市場の動向などによって大きく変化します。
例えば、融資事業を手掛ける企業では、景気が悪化すると貸倒損失が増える可能性があります。
一方、カーライル・グループのようなオルタナティブ資産運用会社では、運用資産の拡大や投資案件の売却が業績を左右します。
同じ低PERでも、AIサーバー企業と金融企業ではリスクの性質がまったく異なります。
低PERが本当の投資機会になる条件
今回の11銘柄を評価するうえで、特に重要なのは次の3点です。
- 将来の売上高成長予想を裏付ける実際の受注や需要の確認
- 売上高の増加に伴う利益率やキャッシュフローの改善状況
- 一時的な高利益によって予想PERが低く見えている可能性の検証
特に注意したいのは、将来の利益予想が下方修正された場合です。
例えば、株価が変わらなくても予想EPSが半分になれば、予想PERは2倍になります。
低PERは株価の割安性を示す手掛かりですが、それだけで株価の下落余地が小さいことを意味するものではありません。
今回のスーパーマイクロの決算は、その判断の難しさを示す具体例です。
売上高が前年同期の約4倍になったにもかかわらず、前四半期比では粗利益率が低下し、営業キャッシュフローもマイナスとなりました。
高い成長率と低PERの組み合わせは魅力的ですが、成長の質まで確認する必要があります。
まとめ
今回のマーケットウォッチの調査は、米国株市場で割安性と成長性を組み合わせて投資対象を探す方法を示しています。
AI関連のスーパーマイクロ、再生可能エネルギー関連のファースト・ソーラー、重要鉱物関連のアルモンティなど、成長分野の企業も低PER銘柄に含まれています。
特にスーパーマイクロは、11月3日に発表した決算で売上高が前年同期比約298%増加し、2027年度の通期売上高見通しも最大820億ドルへ引き上げました。
こうした業績拡大は、AI関連需要の強さを示す材料です。
一方、粗利益率の変動や営業キャッシュフローのマイナスを考慮すると、低PERという理由だけで投資判断を下すことはできません。
金融関連企業についても、景気や金利の変化が利益に大きく影響します。
投資家にとって重要なのは、11銘柄の中から最もPERが低い企業を探すことではありません。
将来の成長予想に十分な根拠があり、その成長が利益やキャッシュフローに結びつく企業を見極めることです。
関連記事:S&P500は割高でも狙える!エヌビディア・オラクルなど「割安な成長株」11銘柄
情報ソース
企業公式資料・一次情報
- LSEG:Looking ahead to the December 2026 Russell US Indexes reconstitution
- Supermicro:Supermicro Announces First Quarter of Fiscal Year 2027 Financial Results
- First Solar:First Solar, Inc. Announces Third Quarter 2026 Financial Results, Updates Guidance, and Announces $500 Million Share Repurchase Program
報道・市場情報
- MarketWatch:11 bargain-priced stocks of companies that have huge growth potential over the next two years
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。