AIブームが加速する中、市場の注目はエヌビディアなどのチップメーカーに集中しがちですが、今、再評価されているのが、ハードウェアの巨人としてのデル・テクノロジーズ(DELL)です。
最新の市場データとアナリストの評価を紐解くと、同社が抱える成長の源泉と、現在の株価に潜むギャップが見えてきます。
1. 「期待」と「現実」の乖離がチャンスを生む
2025年のデルの株価は9.2%の上昇に留まり、ナスダック総合指数(COMP)の20%増と比較すると、明らかに出遅れの状態にありました。2025年10月以降、株価が25%以上下落しているという事実は、一見するとネガティブに映ります。
しかし、バークレイズやゴールドマン・サックスといった大手金融機関は、この状況をむしろ買いの好機と捉えています。特にバークレイズが格付けをオーバーウェイトに引き上げ、目標株価を148ドルに設定している点は、2026年1月15日の終値(119.66ドル)が実力に対して過小評価されている可能性を示唆しています。
2. AIサーバー事業:圧倒的なスケール感
デルの将来性を語る上で欠かせないのが、AIサーバーの圧倒的な出荷量です。同社は第4四半期だけで約94億ドルのAIサーバー出荷を計画しており、年間では250億ドルという巨額の規模に達する見込みです。
一部では、メモリチップ等のコスト上昇による利益率の圧迫が懸念されていましたが、最新の四半期実績では売上総利益率21.1%を確保しました。市場の予想を裏切るレジリエンス(回復力)を見せています。これは、同社が単に製品を売るだけでなく、コスト管理と価格転嫁を巧みに行えるポジションにいることを証明しています。
3. 「70%の旧世代」という巨大な埋蔵金
投資家が意外と見落としがちなのが、既存の伝統的サーバーの更新需要です。現在、デルが抱える既存顧客のインストールベースのうち、70%が旧世代の製品で構成されています。
AIの導入を進める企業にとって、基盤となるインフラの刷新は不可避です。この膨大な旧世代ユーザーが最新のAI対応サーバーやストレージへと移行し始める時、デルは新規顧客の獲得コストを抑えつつ、巨大なアップグレード特需を享受できる立場にあると分析できます。
4. 「筋肉質な経営」が支えるEPS成長
デルの強みは、トップライン(売上)の伸びだけではありません。第3四半期において、営業費用を2%削減しながら営業利益を11%増加させた実績は、同社の経営陣が非常に高い規律を持っていることを示しています。
バークレイズが予測する2027年度に向けて20%以上のEPS(1株当たり利益)成長というシナリオは、この売上増とコスト削減の両輪が噛み合うことで、現実味を帯びてくると考えられます。
結論:今は「嵐の前の静けさ」か
デルは今、単なるPCメーカーから、AIインフラのCompounder(複利で成長する企業)へと変貌を遂げる過渡期にあります。
2025年の株価停滞は、将来の爆発的な成長に向けたエネルギーを蓄えている期間だったと言えそうです。サーバーの更新サイクル、AI開発需要の具現化、および徹底したコスト管理。これら全てが揃った今、デルはAIサイクルにおける真の勝者としての道を歩み始めているのかもしれません。
情報ソース: Barron’s: “Dell Stock Has Been a Victim of AI. These Analysts Say It’s a Winner.” (By Mackenzie Tatananni, Jan. 15, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら デル・テクノロジーズ DELL
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