デル株はまだ上がる?AIサーバーの次に注目される「ストレージ事業」の成長力

AIデータセンターへの巨額投資が続く中、デル・テクノロジーズ(DELL)はAIサーバー市場の主要企業として存在感を高めています。エヌビディア製GPUを搭載したAIサーバー需要の拡大によって、投資家の関心もAIコンピューティング事業へ集中しています。

しかし、2026年8月21日付のバロンズが紹介したエバコア ISIのアナリストレポートでは、デルの成長力を考えるうえで、AIサーバーとは別の事業にも注目する必要があると指摘されています。

それがストレージ事業です。

AIの普及によって企業が扱うデータ量が急増する中、データを処理するサーバーだけでなく、そのデータを保存・管理するストレージの重要性も高まっています。今回はバロンズの記事で紹介された内容をもとに、デルのAIインフラ戦略とストレージ事業の可能性について整理します。

AIサーバーの陰に隠れたストレージ事業

現在、デルを評価するうえで最も注目されているのはAIサーバー事業です。

生成AIの普及に伴い、企業やクラウド事業者によるGPUサーバーへの投資が拡大しており、デルもその恩恵を受けています。

一方、エバコアは、デルのストレージ事業について市場から十分な評価を受けていない可能性があるとみています。

特に注目されているのが、企業のITシステムを再び自社設備へ戻す動きです。

これまで企業は大量のデータや業務システムをクラウドへ移行してきましたが、コストやセキュリティ、処理速度などを理由に、一部のワークロードをオンプレミス環境へ戻すケースもあります。

こうした動きが拡大すれば、サーバーだけでなく企業向けストレージの需要増加にもつながる可能性があります。

幅広いストレージ製品がデルの強み

エバコアがデルのストレージ事業を評価する理由の一つが、幅広い製品ラインアップです。

デルは企業の基幹システム向けストレージに加え、オールフラッシュ、ハイブリッドフラッシュ、非構造化データ向けストレージ、AI向けストレージ、ハイブリッドクラウド関連製品などを展開しています。

AIシステムでは、大量のデータを高速に読み込み、処理し、保存する必要があります。そのため、GPUサーバーだけを導入すればAIインフラが完成するわけではありません。

ストレージやネットワークなど周辺インフラも重要になります。

デルはAIサーバーだけでなく、こうした関連製品を幅広く提供できるため、企業のAIインフラ全体を支える立場を狙える点が強みです。

今後AI投資がGPU購入中心の段階から、データセンター全体のシステム構築へと移行すれば、デルの総合的な製品群がさらに重要になる可能性があります。

ストレージ拡大は利益率改善にもつながる

ストレージ事業が注目されるもう一つの理由が利益率です。

AIサーバーは売上規模を急速に拡大できる一方で、エヌビディア製GPUなど高価な部品を大量に使用するため、売上高の増加がそのまま高い利益率につながるとは限りません。

これに対してエバコアは、ストレージ事業の利益率はAIサーバーより高いとみています。

そのため、デルがAIサーバーを販売する際に、自社のストレージ製品も組み合わせて販売できれば、売上高だけでなく利益成長にもプラスになる可能性があります。

AIサーバー事業を顧客獲得の入口とし、ストレージやその他のITインフラ製品を追加販売できるかどうかが、今後の収益性を左右する重要なポイントとなります。

自社技術を重視する戦略へ転換

デルのストレージ戦略では、自社が保有する技術や知的財産の比率を高めている点も注目されます。

エバコアによると、デルは付加価値の低い第三者製品への依存を減らし、自社の知的財産やソフトウェア定義型ストレージ、AI関連プラットフォームなどへ重点を移しています。

これは単純にハードウェアを仕入れて販売するビジネスから、自社技術を組み込んだ付加価値の高い製品へとシフトする戦略と考えられます。

自社ソフトウェアや独自技術の比率が高まれば、競合との差別化だけでなく、利益率改善にもつながる可能性があります。

AIインフラ市場で競争が激しくなる中、サーバー単体の価格競争から抜け出し、ストレージやソフトウェアを含めた総合的なシステムを提供できるかどうかが重要になってきます。

エバコアは目標株価を550ドルへ引き上げ

エバコアはデルに対する投資判断「アウトパフォーム」を維持し、目標株価を550ドルへ引き上げました。

2026年8月21日終値のデルの株価は442ドルとなっています。

目標株価550ドルは、2028年度の1株利益予想に対して24倍の株価収益率を適用して算出されています。

もちろん、アナリストの目標株価は将来の株価を保証するものではありません。

ただ、エバコアがデルを評価する際、AIサーバー事業だけではなく、ストレージによる売上拡大と利益率改善まで考慮している点は重要です。

デルを見るなら「AIサーバー+ストレージ」に注目

デルはAIサーバー需要の拡大によって、AIインフラ市場を代表する企業の一つとなっています。

しかし今回のバロンズの記事から見えてくるのは、デルの将来性がAIサーバーの販売台数だけで決まるわけではないという点です。

AIでは大量の計算能力が必要になる一方、その計算に使用する膨大なデータを保存・管理するシステムも不可欠です。

デルがAIサーバーを入口として、ストレージやソフトウェア、ハイブリッドクラウド関連製品まで販売を広げることができれば、AI投資の恩恵をより幅広く取り込める可能性があります。

今後の決算ではAIサーバーの受注額や売上高だけでなく、ストレージ部門の成長率や利益率、AI関連顧客へのクロスセルがどこまで進んでいるかにも注目したいところです。

情報ソース: Barron’s: “‘The Odyssey’ Isn’t a One-Off for IMAX, Analyst Says. Plus, Dell and 3 More Stocks.” (Aug. 21, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら デル・テクノロジーズ DELL

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