デル・テクノロジーズ(DELL)が、AIインフラ市場の拡大を追い風に驚異的な成長を見せています。
同社は9月1日の米国市場終了後、2027会計年度第2四半期(7月期)の決算を発表しました。売上高、利益ともに市場予想を大幅に上回り、さらに通期見通しも大きく引き上げています。
かつてPCメーカーとして知られたデルですが、今回の決算を見る限り、その姿は大きく変わりつつあります。AIサーバーを中心とするデータセンターインフラ企業として、新たな成長局面に入った可能性があります。
売上高58%増、EPSは203%増
第2四半期の売上高は前年同期比58%増の470億ドルとなり、市場予想の449億ドルを上回りました。
さらに調整後1株当たり利益(EPS)は7.04ドルと、前年同期比203%増加しました。市場予想の4.91ドルを大幅に上回る結果です。
売上高の急増だけでなく、それを大きく上回るペースで利益が伸びている点は重要です。AIインフラ需要の拡大が単なる売上高の押し上げだけではなく、デルの収益力そのものを大きく改善させていることが分かります。
AIサーバー受注は609億ドル、バックログは950億ドルへ
今回の決算で最も注目されたのがAIサーバー事業です。
第2四半期だけでAIサーバーの受注額は609億ドルに達し、売上高は前年同期比100%増の164億ドルとなりました。
さらに注目すべきなのが受注残高(バックログ)です。
前回の決算時点では513億ドルだったバックログが、今回950億ドルまで急増しました。わずか1四半期で400億ドル以上増加したことになります。
バックログは、すでに顧客から受注しているものの、まだ売上高として計上されていない案件です。そのため950億ドルという数字は、今後数四半期の売上高につながる非常に大きな収益源をデルがすでに確保していることを意味します。
AI市場では将来への期待が株価を押し上げるケースも多くありますが、デルの場合は実際の受注という形で需要を確認できる点が大きな強みです。
AIだけではない、全事業が高成長
デルの強さはAIサーバーだけではありません。
従来型のデータセンター向けサーバーおよびネットワーキング事業の売上高は前年同期比122%増の105億ドルとなりました。
利益率の高いストレージ事業も26%増の49億ドルまで拡大しています。
さらにPCなどを扱うクライアント・ソリューションズ・グループも20%増の150億ドルを記録しました。
これはAI投資がAIサーバーだけで完結していないことを示しています。
企業がAIを導入するには、GPUサーバーだけでなく、大量のデータを保存するストレージ、ネットワーク設備、従来型サーバー、さらには社員が利用するPCなど、IT環境全体を刷新する必要があります。
デルはこれらを幅広く提供できるため、AI設備投資の拡大による恩恵を複数の事業で取り込めるポジションにあります。
通期売上高予想を1,920億ドルへ大幅上方修正
経営陣は今回の好調な決算を受け、2027会計年度の業績見通しを大幅に引き上げました。
通期売上高予想は従来の1,670億ドルから1,920億ドルへ引き上げられました。前年から約70%増加する計算です。
調整後EPSの見通しも25.50ドルまで引き上げられ、前年比約148%増という驚異的な利益成長が予想されています。
第3四半期(10月期)についても、売上高490億ドル、調整後EPS6.50ドルを見込み、市場予想を上回るガイダンスを示しました。
つまり今回の好決算は一時的なものではなく、少なくとも今後数四半期にわたって高成長が続く可能性を会社側も見込んでいることになります。
「PCメーカー」から「AIインフラ企業」への転換
今回の決算で最も重要なのは、デルに対する評価軸そのものが変化し始めている点です。
長年、デルは成熟したPC市場を中心とするハードウェア企業と見られてきました。
しかしAI時代では、エヌビディアなどが開発する高性能GPUを実際にデータセンターへ導入するために、サーバー設計、冷却、ネットワーク、ストレージなどを組み合わせる企業が不可欠です。
デルは世界中の企業や政府機関との販売網を持っており、AIインフラを大規模に導入できる数少ない企業の1社です。
AIサーバー市場が拡大するほど、デルが持つ製造能力やサプライチェーン、企業顧客との関係が大きな競争力になると考えられます。
2030年まで続くAIデータセンター投資
デル経営陣は、2030年末までにAI関連設備がデータセンター需要の75%を占める可能性があると予測しています。
現在のAI投資は巨大に見えますが、企業のAI導入はまだ初期段階にあります。
大手クラウド企業だけでなく、ネオクラウド、金融機関、製造業、政府機関などへAI導入が広がれば、AIサーバーやストレージ、ネットワークへの投資はさらに拡大する可能性があります。
デルがターゲットとしている市場規模は1兆ドル規模に達する可能性があり、AIインフラ市場の成長が続けば同社にとって長期的な追い風となります。
デルはAIインフラ時代の有力企業へ
今回の決算で特に印象的なのは、AI需要が単なる期待ではなく、受注、売上高、利益、バックログという具体的な数字として表れていることです。
AIサーバー売上高は前年同期から倍増し、バックログは950億ドルまで拡大しました。さらにサーバー、ストレージ、PCなど既存事業にもAI投資の波及効果が広がっています。
AI時代の勝者は半導体メーカーだけとは限りません。
GPUを実際に稼働させるサーバー、ストレージ、ネットワーク、電力、冷却設備など、AIを支える巨大なインフラ市場にも大きな投資機会があります。
その中でデルは、世界規模の販売網と製造能力を持ち、AIインフラ需要を実際の売上高へ変換できる企業として存在感を急速に高めています。
今回の決算は、デルが「PCメーカー」から「AIインフラ企業」へ変貌しつつあることを示す象徴的な内容だったと言えます。
情報ソース: MarketWatch: “ Dell’s AI servers drive a stellar earnings performance, and a raised outlook” (By Britney Nguyen, Sept. 1, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら デル・テクノロジーズ DELL
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