レストランOSを提供するトーストに「買い」推奨

トースト(TOST)は、レストランやバーでの支払い処理や注文の合理化を支援するPOSソフトウェアを提供している企業です。注文や支払いをするための洗練された端末は、レストランで最も目に付く機能ですが、トーストはレストランのOSとして機能することを目的としたソフトウェア群も持っています。

注文や支払い処理、ギフトカードやポイントプログラム、スタッフの勤務時間や給与の管理にそのソフトウェアは使用されていますし、また、在庫管理、デジタル注文・配送、運転資金融資などのツールも提供しています。同社は、レストランが生産性を高め、顧客と従業員の体験を向上させるために、テクノロジーをオペレーションに取り入れるためのワンストップショップとなることを目標としています。

同社は100%レストランやバーに特化しており、その点でスクエアやクローバーといった競合他社とは一線を画しています。同社の製品は現在、米国にある約86万軒の飲食店のうち、約9%にあたる7万4,000軒で利用されています。

2011年に設立された同社は、2021年9月に1株当たり40ドルで上場を果たしましたが、これはパンデミックが生んだブルマーケットのピークに近い時期でした。株価はその後数カ月で65ドルまで上昇したあと、昨年は12ドル台まで下落しました。その後、20ドル台前半まで回復し、現在の時価総額は約120億ドル、同社のバランスシートにあるキャッシュは約10億ドル、1株当たりほぼ2ドルとなっています。

このキャッシュの額は、トーストの黒字化までの道のりをカバーするのに十分なものであると考えられています。アナリストは、2023年から2025年までの累積純損失が約6億ドル、2026年に純利益が出ると予想しています。

経営陣は、トーストが2023年にEbitda(金利・税金・減価償却費控除前利益)で黒字になると予想していますが、ウォール街では、通年のEbitdaはわずかに赤字となるものの、年の後半は黒字になると見ています。2022年に27億ドルだった売上が、2026年には67億ドルに成長するとアナリストは予想しています。

決済は規模の大きなビジネスであり、より多くのレストランがトーストのリーダーを使ってより多くの取引を処理すれば、利益率も拡大します。トーストの顧客基盤が拡大すれば、新規顧客を獲得するためのコストは売上高全体に占める割合が減少し、レストランが同社の提供するサービスを追加すればするほど、ユーザー1人当たりの平均売上高が増加する可能性があります。

約10億ドルを運用する世界的な小型株ファンド、クエント・キャピタルの創業者でポートフォリオ・マネージャーのグレッグ・フィッシャー氏は、「(成長する可能性のある)高価な土地を買収段階にある小型企業の典型例だ」とトーストを評し、「顧客獲得には多くのコストがかかるが、一度獲得した顧客は、しばらくはそこにいることになる。トーストが大きくなるにつれて、利益が出るようになる」とその将来性を評価しています。

トーストの直近の四半期報告書では、その営業レバレッジが示されています。総売上高は、前年同期比55%増の7億5,200万ドルで、これは決済件数が53%増、サブスクリプション件数が60%増であったことによります。売上総利益は82%増の1億5100万ドルで利益率は20%。ただ赤字のため、四半期に8000万ドルの現金が消費されています。

この成長は、契約するレストランが増えたことと、既存のレストランが利用を増やしたことによります。第3四半期末の時点で、トーストの顧客の約62%が、同社の約15の定額制サービスのうち少なくとも4つを利用しており、2年前の46%から上昇しました。

ウェルズ・ファーゴのジェフ・キャントウェル氏は、「我々は、彼らが今後シェアを伸ばすと期待している。これは、ソフトウェアと決済にまたがる非常に質の高いプラットフォームを持っていることが要因であり、同業他社よりも速い売上成長率と、成長に伴う利益率の拡大が期待できる」と述べています。

同氏は、トーストが今後5年間で米国の中小規模レストランの30%、つまり20万店舗近くの市場シェアを獲得すると予想しており、目標株価を27ドルに設定し、格付けは「買い」と評価しています。

飲食店は人手不足が続き、食材のコスト高がその収益を圧迫しています。トーストの技術は、飲食店の効率化、ひいては収益性の向上に貢献するもので、両者の関係はWin-Winであると言えます。その将来性は魅力的だとして経済誌バロンズも高く評価しています。

*過去記事「IPO トースト、AKA、フレッシュワークスが上場

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