AI株の暴落は「買い場」なのか?BofAが選んだ大幅下落16銘柄と次の投資テーマ

ここ最近、AI(人工知能)関連銘柄の多くが大きく売られ、株式市場では「AIブームはピークを迎えたのではないか」という警戒感が広がっています。

しかし、株価が下落しているからといって、AI市場そのものの成長が終わったとは限りません。むしろ現在の調整局面は、AI投資の主役が変化する転換点になっている可能性があります。

今回は、2026年8月14日にマーケットウォッチで報じられた、バンク・オブ・アメリカのアナリストが推奨する「大きく下落したAI関連16銘柄」をもとに、現在のAI市場で何が起きているのかを考えていきます。

なお、記事で紹介されている52週高値からの下落率は、マーケットウォッチ掲載日の8月14日終値ではなく、バンク・オブ・アメリカの資料で使用された2026年8月12日時点の市場データを基準としています。

バンク・オブ・アメリカが注目するAI関連16銘柄

以下の表は、バンク・オブ・アメリカが「買い」と評価しているAI関連16銘柄を、2026年8月12日時点における52週高値からの下落率が大きい順に並べたものです。

企業名52週高値からの下落率(2026年8月12日時点)
オラクル(ORCL)-55%
アルベマール(ALB)-41%
ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)-35%
ビストラ(VST)-33%
コアウィーブ(CRWV)-31%
アクティス・オンコロジー(AKTS)-30%
カメコ(CCJ)-28%
セレスティカ(CLS)-26%
フレックス(FLEX)-26%
メタ・プラットフォームズ(META)-25%
マイクロン・テクノロジー(MU)-24%
バーティブ・ホールディングス(VRT)-24%
ラム・リサーチ(LRCX)-23%
タレン・エナジー(TLN)-21%
シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス(STX)-20%
アトラシアン(TEAM)-18%

最も大きく下落しているオラクルは52週高値から55%安となっており、アルベマールも41%、ロビンフッド・マーケッツも35%下落しています。

さらに、AI向けデータセンターで注目されるコアウィーブは31%、メタ・プラットフォームズも25%、マイクロン・テクノロジーも24%下落しています。

この数字だけを見ると、AI関連銘柄に対する投資家心理が大きく悪化していることが分かります。

BofA選定後、16銘柄中11銘柄がわずか2営業日で上昇

ここで興味深いのが、バンク・オブ・アメリカが基準としている8月12日の終値から、直近の8月14日の終値までに株価がどのように動いたかです。

わずか2営業日の動きですが、16銘柄のうち11銘柄が上昇し、5銘柄が下落しました。16銘柄の単純平均でも約2.03%の上昇となっています。

特に目立ったのが、シーゲイトの10.84%高と、マイクロンの6.62%高です。

つまり、BofAが「52週高値から大きく下落しているものの買い評価を維持する銘柄」として取り上げた時点から、半導体やストレージ関連を中心にすでに反発が始まっていたことになります。

もちろん、わずか2営業日の株価上昇だけでBofAの投資判断が正しかったと結論づけることはできません。しかし、市場全体がAI銘柄を一律に売り続けているわけではなく、下落した銘柄の中から再び資金が流入する動きが出始めている点は注目されます。

大幅下落でも「買い」評価が維持される意味

興味深いのは、これほど株価が下落しているにもかかわらず、バンク・オブ・アメリカの担当アナリストがこれらの企業に強気な評価を維持している点です。

通常、株価が高値から30%、40%、さらには50%以上下落すれば、企業の成長シナリオそのものが崩れた可能性も疑われます。

しかし今回のリストを見る限り、アナリストは企業の中長期的な成長力が失われたのではなく、これまで先行していた市場の期待や高いバリュエーションが修正されていると判断している可能性があります。

つまり、現在起きているAI関連株の調整は「AIブームの終了」というよりも、過度に高まった期待値を正常化する過程と捉えることもできます。

これまで株価が急騰し、割高感から買いにくかった企業が、成長シナリオを維持したまま大幅に下落しているのであれば、中長期投資家にとって改めて企業価値を検討する局面になります。

AI投資の主役が「インフラ」へ広がっている

今回の16銘柄を見ると、AIソフトウェア企業だけではなく、半導体、データセンター、電力、冷却設備、ストレージなど、AIを物理的に支える企業が数多く含まれていることが分かります。

ラム・リサーチは半導体製造装置、マイクロンはメモリ、シーゲイトはデータストレージを手掛けています。

さらに、セレスティカやフレックスは電子機器の製造やサプライチェーンを支え、バーティブはデータセンター向けの電力・冷却インフラを提供しています。

そしてコアウィーブはAI向けデータセンターを急速に拡大しています。

AIモデルが高度化すればするほど必要になるのはGPUだけではありません。大量のメモリ、ストレージ、ネットワーク設備、冷却システム、データセンター、そして莫大な電力が必要になります。

AI競争は、ソフトウェアだけの競争から、巨大な物理インフラを構築できる企業同士の競争へ変化しつつあります。

電力がAI成長のボトルネックになる可能性

特に注目したいのが、タレン・エナジー、ビストラ、カメコといったエネルギー関連企業です。

AIデータセンターは非常に多くの電力を消費するため、AI投資が拡大するほど、半導体だけでなく電力供給そのものが成長の制約になる可能性があります。

原子力発電向けウランを供給するカメコまで今回のリストに含まれている点は象徴的です。

AI関連投資というと、エヌビディアなどの半導体企業に注目が集まりがちです。しかし今後は、データセンターを稼働させるための電力や冷却設備、ストレージといった周辺インフラにも投資テーマが広がっていく可能性があります。

いわばAI版のゴールドラッシュにおいて、金を探す企業だけでなく、「ツルハシとジーンズ」を供給する企業にも成長機会が生まれているということです。

メタ、コアウィーブ、マイクロンが示す3つの投資テーマ

マーケットウォッチの記事では、バンク・オブ・アメリカのJustin Post氏がメタ、Tal Liani氏がコアウィーブ、Vivek Arya氏がマイクロンについて特に言及しています。

この3社は、現在のAI市場を象徴する存在とも言えます。

メタは巨大なキャッシュフローを背景にAIインフラへ巨額投資を続けるプラットフォーマーです。

コアウィーブはGPUを大量に確保し、AI企業向けに計算能力を提供する新しいタイプのインフラ企業です。

マイクロンはAIサーバーに不可欠なメモリを供給しています。

つまりAI投資の機会は、「AIサービスを提供する企業」だけでなく、「AIを動かす企業」「AIを支える部品やインフラを供給する企業」へと広がっています。

AI銘柄の調整は次の投資機会になるのか

52週高値から20%、30%を超える下落が相次いでいることを見ると、AI関連株に対する市場の熱狂が冷めていることは確かです。

一方で、AI向けデータセンター建設、半導体需要、メモリ需要、電力需要などが今後も拡大するのであれば、AI産業そのものの成長ストーリーが終わったとは言えません。

さらに、BofAの基準日となった8月12日から8月14日までに16銘柄中11銘柄が上昇したことは、投資家がすでに一部の大幅下落銘柄を見直し始めている可能性を示しています。

特にシーゲイトやマイクロンなど、AIインフラを支えるメモリ・ストレージ関連銘柄の反発が大きかったことは注目に値します。

現在は、「AI」という言葉だけで株価が上昇する段階から、実際に利益を生み出し、AIインフラ拡大の恩恵を受けられる企業を市場が選別する段階へ移行している可能性があります。

その意味では今回の調整は「AIブームの終わり」ではなく、「AIインフラ投資の本格化」に向けた選別局面と捉えることもできます。

株価の下落率だけを見るのではなく、その企業がAIエコシステムのどこに位置し、今後拡大する設備投資や電力需要からどの程度の恩恵を受けられるのかを見極めることが、これからのAI投資ではより重要になりそうです。

情報ソース: MarketWatch: “ 16 beaten-down AI stocks that are beloved by BofA analysts” (By Hannah Pedone, Aug. 14, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。


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