スペースXの大株主は誰?マスク氏64億株、アルファベット・エヌビディアも巨額保有

スペースX(SPCX)が2026年6月12日に新規株式公開(IPO)を実施してから、約2カ月が経過しました。

前回の記事「スペースX株は12月まで需給戦 SEC資料で読むロックアップ解除カレンダー」では、2026年8月から12月にかけて段階的に進むロックアップ解除について、SEC提出資料をもとに詳しく紹介しました。

8月6日には約9億1,150万株が新たに売却可能となり、今後も8月20日の約3億1,900万株をはじめ、第3四半期決算後には約12億8,000万株、12月8日には残存分の解除が予定されています。

では、これほど大量の株式を実際に誰が保有しているのでしょうか。

第2四半期の規制当局への提出書類によって、イーロン・マスク氏だけでなく、アルファベットやエヌビディア、フィデリティ、ブラックロックなどの保有状況が明らかになってきました。

今回は前回記事の続編として、ロックアップ解除そのものではなく、「スペースXの大株主は誰なのか」という視点から、同社の中長期的な将来性を考えてみます。

マスク氏が約64億株を保有

まず圧倒的な存在感を示しているのが、イーロン・マスク氏です。

マスク氏はスペースX株を約64億株保有しており、発行済株式の48.4%を占めています。

前回の記事で紹介したように、従業員や初期投資家には段階的なロックアップ解除が設定されていますが、マスク氏の保有株には366日間のロックアップが設定されており、2027年6月まで原則として売却できません。

これは今後の株式需給を考えるうえで重要です。

2026年末にかけて大量の株式が売却可能になる一方、最大株主であるマスク氏の約64億株は市場に出てこないからです。

短期的には初期投資家などによる売却圧力が意識されますが、経営の中核を握るマスク氏の株式が固定されていることは、長期的な経営戦略を維持するうえで一定の安定要因になります。

アルファベットが5億5,100万株を保有

マスク氏以外で特に目を引くのがアルファベット(GOOGL)です。

アルファベットはスペースX株を約5億5,100万株保有しています。8月14日の終値140ドルで計算すると、その価値は約770億ドルに達します。

アルファベットは2015年からスペースXへ投資しており、長期にわたって同社の成長を支えてきた企業の一つです。

ここで重要なのは、アルファベットとスペースXの関係を単なる株式投資として見るだけでは十分ではないという点です。

アルファベットは検索、YouTube、クラウド、AIなど世界規模で大量のデータを扱っています。一方、スペースXはスターリンクを通じて地球規模の衛星通信網を構築しています。

AI時代には、計算能力だけでなく、それを結ぶ通信ネットワークの重要性も高まります。

スペースXが将来的に宇宙空間でのデータ処理やAIコンピューティングへ事業を広げれば、アルファベットとの関係はさらに重要になる可能性があります。

エヌビディアも1億2,300万株を保有

もう一つ注目したいのが、エヌビディア(NVDA)の存在です。

エヌビディアはスペースX株を約1億2,300万株保有しており、発行済株式の1%弱を占めています。

しかもエヌビディアは単なる株主ではなく、スペースXへGPUを供給しています。

スペースXは2026年2月にマスク氏のAI企業xAIと合併しました。つまり現在のスペースXには、ロケット、スターリンク、AI、そしてエヌビディアのGPUという要素が一つの企業グループの中に集まりつつあります。

これはスペースXの企業価値を考えるうえで大きな変化です。

従来は「ロケット打ち上げ+衛星通信」が成長ストーリーの中心でしたが、今後は「宇宙+通信+AI+コンピューティング」という、より大きなインフラ構想へ評価軸が変わる可能性があります。

機関投資家も4億5,500万株以上を保有

スペースXには大手機関投資家も多数参加しています。

フィデリティ、ブラックロック、ベイリー・ギフォード、オンタリオ州教職員年金基金など主要機関投資家の保有株は、合計4億5,500万株を超えます。

こうした長期資金が大株主として存在していることは、今後のロックアップ解除を考えるうえでも重要です。

ロックアップ解除は「その日に株式が売却される」という意味ではなく、「売却できるようになる」という意味です。

実際、前回記事で紹介した8月6日の約9億1,150万株の解除では、市場が警戒したほど大量の売却は発生せず、その後株価は大きく反発しました。

今後も重要なのは、解除される株数そのものではなく、大株主が実際にどの程度売却するのかという点です。

年末までの需給戦は依然として続く

もちろん、短期的な株式需給への警戒がなくなったわけではありません。

バロンズは、2026年末までに約42億株が取引可能になると報じています。

前回記事でも取り上げたように、8月20日、9月9日、9月24日、10月9日、10月24日と段階的な解除が続き、第3四半期決算後には約12億8,000万株という大規模な解除も控えています。

スペースX株はIPO価格135ドルから上昇し、第2四半期末には約171ドルとなりました。その後、8月には105ドルを下回る場面もありましたが、8月14日の終値は140ドルまで回復しています。

今後もロックアップ解除日前後では、出来高や株価が大きく変動する可能性があります。

株主構成から見える「宇宙×AI」企業への変化

しかし、中長期的な視点では、今回明らかになった株主構成そのものに注目する必要があります。

最大株主はイーロン・マスク氏。そして大株主にはアルファベット、エヌビディア、フィデリティ、ブラックロックなど世界有数のテクノロジー企業や機関投資家が並んでいます。

特にアルファベットとエヌビディアの存在は、スペースXが単なる宇宙企業ではなくなりつつあることを象徴しているように見えます。

スターリンクという通信網、xAIの人工知能、エヌビディアのGPU、そしてスペースXのロケット技術を組み合わせれば、将来的には地球上だけでなく宇宙空間まで含めた巨大なAIインフラを構築する可能性があります。

前回の記事では「2026年後半は業績と株式需給の綱引きになる」と書きました。

今回明らかになった株主構成を見ると、その先にあるもう一つの重要なテーマも見えてきます。

短期的にはロックアップ解除による売却圧力、長期的には「宇宙×AI」という新しい企業価値です。

2026年後半はこの2つの力がスペースX株を大きく動かすことになりそうです。そして大量の株式供給を市場が消化した後、投資家の関心が再び事業成長へ戻ったとき、スペースXがどのような評価を受けるのかが次の注目点になります。

情報ソース: Barron’s: “Elon Musk’s SpaceX Holdings Revealed. (Hint: It’s A Lot.)” (By Al Root, Aug 16, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら スペースX

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