世界最大級の投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の投資動向は、世界の投資家から常に注目されています。
ウォーレン・バフェット氏が長年築いてきた投資哲学は、競争優位性の高い企業を割安な価格で購入し、長期保有するというものです。しかし2026年第2四半期の投資内容を見ると、そのバークシャーの資金配分に大きな変化が起きている可能性があります。
注目したいのは、AIインフラへの巨額投資と、日本企業への継続的な資金投入です。
今回は、バークシャーが2026年第2四半期にどこへ資金を動かしたのかを確認しながら、その背景にある長期戦略について考えていきます。
アルファベットへの巨額投資が示すAIへの評価
今回最も注目されるのが、バークシャーによるアルファベット(GOOGL)への投資です。
報道によると、バークシャーは第2四半期にアルファベット株を約100億ドル規模で追加購入したとされています。
アルファベットはAI向けデータセンターや半導体、ネットワーク設備などへの投資を急速に拡大しており、この時期には約850億ドル規模の資金調達プログラムも進めていました。
バークシャーは2025年末時点ですでに約5,800万株を保有していたとされており、今回の追加投資が事実であれば、アルファベットを長期的な主要投資先として評価している可能性があります。
ここで重要なのは、単に「AI企業へ投資した」という点ではありません。
バークシャーはこれまで、事業内容を理解しにくいテクノロジー企業への投資には慎重な姿勢を取ってきました。しかしアップル(AAPL)への大型投資に続き、アルファベットにも資金を投入しているのであれば、テクノロジー企業を見る基準そのものが変化していると考えられます。
AIを21世紀のインフラとして見ている可能性
生成AIの競争では、モデルそのものだけでなく、大量のGPU、データセンター、電力、ネットワークなど膨大なインフラが必要になります。
そのため現在のAI競争は、単なるソフトウェア開発競争から、巨大な資本を投入できる企業同士のインフラ競争へと変化しています。
アルファベットは検索やYouTube、クラウドなどから巨大なキャッシュフローを生み出しており、その資金をAIインフラへ再投資できます。
バークシャーはこうした構造を、鉄道や電力事業と同じように、長期間にわたり需要が続く「社会インフラ」として評価し始めている可能性があります。
つまり、AIを一時的なブームとして追いかけているのではなく、今後の経済活動を支える基盤として捉えているということです。
日本株への投資はさらに拡大
もう1つ注目したいのが、日本市場への継続的な投資です。
第2四半期には、バークシャーが東京海上ホールディングス(8766)へ約20億ドルを投資したほか、日本の商社株を10億ドル以上追加購入したと報じられています。
これにより、商社株の保有総額は350億ドルを超えたとされています。
バークシャーは三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅という5大商社への投資を長期間続けています。
これまでは、日本株の割安さや高い配当利回りが投資理由として注目されてきましたが、東京海上への投資まで広がったのであれば、日本株投資がより幅広い戦略へ発展している可能性があります。
東京海上への投資が持つ意味
バークシャー自身もGEICOなどを傘下に持つ巨大保険グループです。
そのバークシャーが日本の大手損害保険会社である東京海上へ投資することには、大きな意味があります。
日本企業では近年、政策保有株の売却や自社株買い、増配など、資本効率を重視する経営改革が急速に進んでいます。
東京海上を含む大手金融・保険会社もその流れの中心にあり、利益成長だけでなく株主還元の拡大も期待されています。
米国株のバリュエーションが高くなっている中、安定したキャッシュフローを持つ日本企業は、バークシャーにとって魅力的な投資先になっていると考えられます。
第2四半期は一転して「買い」に動いた
バークシャー全体の資金フローを見ると、さらに興味深い変化が確認できます。
第1四半期には約240億ドルの株式を売却しました。そのうち約150億ドルは元投資マネージャーが担当していた資産だったとされています。
ところが第2四半期には状況が大きく変わり、230億ドル以上の株式を購入した一方、売却額は約30億ドルにとどまりました。
つまり、第1四半期に現金を積み上げた後、第2四半期には再び積極的な投資へ動いたことになります。
これはバークシャーが株式市場全体を割安と考えているというよりも、「魅力的な企業に絞って大きく投資する」姿勢を強めていることを示しているように見えます。
AIと日本株を組み合わせるバークシャーの戦略
今回の投資を俯瞰すると、バークシャーの資金配分には興味深い構造が見えてきます。
一方には、AIという巨大な成長市場を支えるアルファベットがあります。
もう一方には、商社や保険会社など、安定した利益とキャッシュフローを生み出す日本企業があります。
成長性の高いAIインフラと、安定した収益を持つ伝統的企業。
性格の異なる2つの投資先を組み合わせることで、バークシャーは成長と安定の両方を狙うポートフォリオを構築している可能性があります。
約3,240億ドルという巨大な株式ポートフォリオを運用するバークシャーにとって、投資先を見つけることは以前より難しくなっています。
それでもアルファベットや日本企業に数十億ドル単位の資金を投入しているのであれば、それだけ強い確信を持っていると考えることもできます。
まとめ
2026年第2四半期のバークシャー・ハサウェイの投資動向からは、同社のポートフォリオが新しい段階へ進んでいる可能性が見えてきます。
アルファベットへの巨額投資は、AIを単なる成長テーマではなく、長期的に経済を支えるインフラとして評価している可能性を示しています。
一方、日本の商社や東京海上への投資拡大は、日本市場がバークシャーにとって一時的な割安株投資ではなく、長期ポートフォリオの重要な一角になりつつあることを示唆しています。
今後注目したいのは、8月14日に提出される予定の13-F報告書です。そこで新たな投資先や保有株の変化が明らかになれば、バークシャーが次の時代に向けてどのようなポートフォリオを構築しようとしているのか、さらに詳しく見えてくることになります。
情報ソース: Barron’s: “Berkshire Bought Alphabet Stock in Q2—and Maybe Microsoft Too” (By Andrew Bary, Aug 13, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「新体制下のバークシャー・ハサウェイはどこへ向かうのか?第2四半期決算と今後の展望」
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