AI投資の主役が交代?半導体株からサイバーセキュリティ株へ資金シフト

✨この記事でわかること

  • 半導体株が売られる一方、サイバーセキュリティ株が急騰している理由
  • クラウドストライクとパロアルトネットワークスに広がるAI関連の成長機会
  • AI投資の資金シフトが続くかを判断するための注目ポイント

米国株市場で、AI関連投資の潮流に変化が現れています。

これまでAIブームを牽引してきた半導体株が売られる一方、サイバーセキュリティや企業向けソフトウェア関連株が大きく上昇しています。

バロンズも10月24日付の記事で、この資金シフトに注目しています。

実際に10月19日〜23日の市場動向と関連企業の決算を比較すると、AIへの成長期待が失われたというより、投資家が次の成長分野を選別し始めている可能性が浮かび上がります。

半導体株とサイバーセキュリティ株で明暗

10月19日〜23日の米国株市場を振り返ると、同じテクノロジー関連株でも、サイバーセキュリティ・ソフトウェア株と半導体株の間で明確な差が生じていました。

クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)とパロアルトネットワークス(PANW)は、週間でそれぞれ10%以上上昇しました。サービスナウ(NOW)とワークデイ(WDAY)も10%以上上昇しています。

一方、半導体製造装置大手のラムリサーチ(LRCX)は約13%下落しました。KLA(KLAC)、セレブラス・システムズ(CBRS)、クレド・テクノロジー(CRDO)も10%以上下落しています。

ETFの週間騰落率にも違いが表れました。

ETF週間騰落率
米国ソフトウェア株ETF(IGV)約+6%
サイバーセキュリティ株ETF(CIBR)約+7%
半導体株ETF(SOXX)約-3%

出所:Barron’s。2026年10月19日〜23日、概数。

半導体株の成長期待が消えたわけではありませんが、投資家の関心がAIインフラ以外にも広がっていることがうかがえます。

AIエージェントの普及が新たな需要を生む

サイバーセキュリティ株が注目される背景には、AIエージェントの普及があります。

AIエージェントは、人間の指示に基づいて情報収集や業務処理を自律的に実行するシステムです。

企業がAIエージェントに顧客情報へのアクセスや社内システムの操作を任せるようになると、不正アクセスや情報漏洩を防ぐ仕組みが不可欠になります。

従来のセキュリティ対策に加え、AIエージェントの行動監視やアクセス権限の管理という新しい市場が生まれています。

この分野で積極的に事業を展開しているのが、クラウドストライクとパロアルトネットワークスです。

クラウドストライクとパロアルトネットワークスの成長戦略

クラウドストライクは2026年9月、AIエージェントの動作を監視し、不正操作を防ぐ「Falcon Guardian」を発表しました。

AIエージェントが実行する処理を端末上で監視し、セキュリティ上の危険を検出・制御する技術です。

同社は複数のAIエージェントを活用し、サイバー攻撃の調査を自動化する技術も発表しています。

一方、パロアルトネットワークスは「Prisma AIRS」を通じ、AIシステムの安全性を確保するサービスを展開しています。

10月22日には、AIエージェントの認証やアクセス権限を管理するIdiraの機能を統合し、一般提供を開始したと発表しました。

両社にとっての成長機会は、既存顧客への新機能の追加販売です。AI向けセキュリティサービスの導入が進めば、継続収益の拡大が期待できます。

ただし、製品の発表だけでは業績への貢献は判断できません。新規契約や顧客当たり売上高の増加を確認することが重要です。

関連記事:クラウドストライクとオクタは割高か AIセキュリティ期待に業績が追いつかないリスク

半導体株は好決算でも売られる厳しい局面

半導体関連株では、好業績を発表しても株価が下落するケースが目立っています。

ラムリサーチの公式決算資料によると、10月21日に発表された2026年7〜9月期決算では、売上高が前年同期比約54%増の82億1,900万ドルとなり、過去最高を記録しました。

調整後EPSは2.20ドル、調整後営業利益率は40.2%でした。

それでも株価は週間で約13%下落しました。

背景の1つが、部品調達などの供給制約です。同社は、供給上の問題がなければ10〜12月期の売上高見通しをさらに高く設定できたと説明しています。

需要は強いものの、生産能力が成長の制約になっている状況です。

ウエスタンデジタル(WDC)も売上高が前年同期比55%増加する好決算を発表しましたが、株価は下落しました。

AIインフラ関連株には、すでに高い成長期待が織り込まれています。好決算であっても、市場の期待を上回る材料がなければ売られやすくなっていると考えられます。

関連記事:ウエスタンデジタル、売上高55%増でも株価急落!好決算が評価されない理由

今後の決算で確認すべきポイント

今回の資金シフトが一時的な現象なのか、持続的な変化なのかを判断するうえで、今後の決算発表が重要になります。

特に注目されるのが、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)のAI関連投資です。

これらの企業が巨額の設備投資を継続するかどうかは、半導体やデータセンター関連企業の業績見通しに影響します。

一方、サービスナウやフォーティネット(FTNT)などの決算では、AIの普及がソフトウェアやセキュリティ需要の拡大につながっているかが焦点になります。

AI関連投資の評価軸が、インフラの拡大からAIを活用した収益成長へ広がるのか、今後の企業業績が試金石となります。

まとめ:AI投資はインフラ構築から活用段階へ

今回の株価動向は、AI投資の対象が半導体やデータセンターから、ソフトウェアやサイバーセキュリティへ広がり始めていることを示唆しています。

AIエージェントの普及は、企業の生産性向上と同時に新たなセキュリティ需要を生み出します。

ただし、半導体需要が減速したと判断するのは早計です。また、サイバーセキュリティ株にも高い成長期待が織り込まれている可能性があります。

今後はAI関連株を一括りにするのではなく、実際の売上高や利益の成長と株価評価を比較し、投資対象を選別することが一段と重要になります。

情報ソース

企業公式資料・一次情報

報道・市場情報

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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