クラウドストライク、パロアルト、Zスケーラーを決算比較 AI時代のサイバーセキュリティ勝ち組はどこか

AIの普及によってサイバー攻撃の高度化や自動化が進むなか、サイバーセキュリティ企業への注目が高まっています。

今回は、クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)、パロアルトネットワークス(PANW)、Zスケーラー(ZS)の最新決算を比較し、3社の成長力やAI戦略、今後の投資ポイントを整理します。

結論から言えば、現在の3社は「成長加速のクラウドストライク」「総合力のパロアルトネットワークス」「再評価待ちのZスケーラー」という異なる位置にいます。

3社の最新決算を比較

項目クラウドストライク(CRWD)パロアルトネットワークス(PANW)Zスケーラー(ZS)
最新四半期売上高14.7億ドル34.1億ドル8.98億ドル
売上高前年比+26%+34%+25%
ARR等ARR 58.4億ドルNGS ARR 91億ドルARR 37.71億ドル
ARR成長率+25%+63%+25%
新規ARR3.33億ドルNGS新規ARR 約10億ドル2.46億ドル
特徴的な指標新規ARR +51%RPO +34%ARR +25%
FCF3.77億ドル13億ドル0.61億ドル
FCFマージン約26%FY26 38.4%FY27予想23~23.5%
決算後の反応大幅上昇下落下落
現在の位置付け成長加速総合プラットフォーム化再加速を証明する段階

表を見ると、3社とも売上高は25%以上の成長を確保しているものの、その中身には大きな違いがあります。クラウドストライクは新規ARRが急増し、パロアルトネットワークスは巨大な事業基盤をさらに拡大しています。一方、Zスケーラーは足元の成長率こそ高いものの、今後の減速が懸念されています。

クラウドストライクは新規ARRの急増が最大の強み

クラウドストライクの最新四半期の売上高は14億7,000万ドルで、前年同期比26%増となりました。

年間経常収益(ARR)は58億4,000万ドルで25%増です。

特に注目したいのが新規ARRです。新規ARRは3億3,300万ドルとなり、前年同期比51%増と急加速しました。

さらに、複数のセキュリティ製品を柔軟に利用できるFalcon Flexを採用した顧客からのARRは22億9,000万ドルを超え、前年同期比101%増となっています。

クラウドストライクはエンドポイントセキュリティを起点に、クラウド、アイデンティティ、データ、AIへとFalconプラットフォームの守備範囲を拡大しています。

売上高が26%成長しているだけでなく、将来の売上高につながる新規ARRが51%増えている点は重要です。AI時代のセキュリティ需要を、具体的な業績成長につなげ始めていると評価できます。

パロアルトネットワークスは巨大プラットフォームへ進化

パロアルトネットワークスの最新四半期売上高は34億1,000万ドルで、前年同期比34%増となりました。

次世代セキュリティ事業の年間経常収益であるNGS ARRは91億ドル、残存履行義務(RPO)は212億ドルに達しています。

ただし、34%という売上高成長率やNGS ARRの63%増には、CyberArkやChronosphereなどの買収効果が含まれています。このためクラウドストライクやZスケーラーとの単純比較には注意が必要です。

それでも、パロアルトネットワークスの強みは事業規模と製品群の広さにあります。

ネットワークセキュリティだけでなく、クラウド、SASE、セキュリティ運用、アイデンティティ、AIまでカバーする総合セキュリティプラットフォームへと進化しています。

AIセキュリティ製品Prisma AIRSも年間経常収益1億ドルを突破しており、AI関連製品が実際の売上高へ貢献し始めている点も重要です。

Zスケーラーは好決算でも成長鈍化が懸念材料

Zスケーラーの2026年度第4四半期売上高は8億9,820万ドルで、前年同期比25%増となりました。

ARRも37億7,100万ドルで25%増となり、決算そのものは堅調です。

調整後1株利益は1.19ドルとなり、市場予想の1.09ドルを上回りました。

一方、市場が警戒しているのは2027年度の成長見通しです。

会社側は2027年度の売上高とARRについて、17%前後の成長を見込んでいます。

つまり、直近では25%成長しているものの、今後は成長率が20%を下回る可能性があります。

クラウドストライクでは新規ARRが51%増加しているのに対し、Zスケーラーでは成長鈍化が予想されています。この違いが株価評価の差につながっていると考えられます。

AIはセキュリティ企業を破壊するのではなく需要を増やす

3社の決算を見る限り、「AIによって既存のサイバーセキュリティ企業が不要になる」という懸念は現時点では現実化していません。

むしろAIエージェントが企業活動に入り込むことで、守るべき対象は増加しています。

従業員だけでなく、AIエージェント、クラウドサービス、アプリケーションなどが企業データへアクセスするようになれば、「誰が、何に、どの権限でアクセスできるのか」を管理する必要性が高まります。

攻撃者側もAIを利用するため、サイバー攻撃の速度や規模も拡大する可能性があります。

その結果、「AI投資拡大→IT環境の複雑化→攻撃対象の増加→セキュリティ投資拡大」という構造が生まれつつあります。

3社で最も成長力が強いのはクラウドストライク

今回の決算を比較すると、現在最も成長モメンタムが強いのはクラウドストライクです。

新規ARR51%増、Falcon Flex関連ARR101%増という数字は、AI時代の需要拡大を業績へ転換できていることを示しています。

一方、パロアルトネットワークスは事業規模と製品ラインアップで優位に立っています。M&Aを活用しながら、企業のセキュリティ需要を1つのプラットフォームに集約する戦略です。

Zスケーラーはゼロトラストという有望な市場を押さえているものの、今後の成長率低下が大きな課題となっています。

Zスケーラーには出遅れからの再評価余地も

ただし、投資先として見るとZスケーラーには別の魅力があります。

クラウドストライクやパロアルトネットワークスはAIセキュリティの勝ち組として株式市場から高く評価されています。

一方、Zスケーラー株は2026年9月4日時点で年初来21%下落しています。

今後、AI関連製品やゼロトラスト需要の拡大によってARR成長率が再び20%台へ上昇すれば、株価の評価が大きく変わる可能性があります。

逆に、2027年度に予想されている17%前後の成長率からさらに鈍化する場合、クラウドストライクやパロアルトネットワークスとの差は拡大します。

Zスケーラーを見るうえで最大のポイントは、「17%前後の成長率が底になるのか」という点です。

3社の現在地をまとめると、クラウドストライクは「AI時代の成長を数字で証明し始めた企業」、パロアルトネットワークスは「巨大なAIセキュリティプラットフォームを構築している企業」、Zスケーラーは「AI時代の勝ち組になれるかをこれから証明する企業」と整理できます。

情報ソース:Barron’s「Zscaler Stock Falls After Earnings. How It’s Bidding to Join the Ranks of AI Winners.」(Mariapaula Gonzalez、Updated Sept. 4, 2026)
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※本記事は上記報道および各社の決算情報を参考に、公開された数値などをもとに内容を独自に整理・比較・考察したものです。特定銘柄への投資を推奨するものではありません。

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