AI時代の本命市場はサイバーセキュリティ?クラウドストライクとオクタの好決算を徹底分析

サイバーセキュリティ市場が、AI時代の重要な成長分野として存在感を一段と高めています。企業による生成AIの導入が急速に進む一方、サイバー攻撃の高度化やID管理の複雑化も進んでおり、企業にとってセキュリティ投資は削減しにくい重要なIT支出となっています。

その市場環境を象徴するのが、クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)とオクタ(OKTA)の最新決算です。両社はいずれも市場予想を上回る業績を示し、今後の見通しについても強気な姿勢を示しました。最新の数字から、AI時代におけるサイバーセキュリティ市場の成長性と両社の戦略を考えてみます。

クラウドストライクはARR58億4,000万ドルへ拡大

クラウドストライクの最新決算で特に注目されるのが、年間経常収益(ARR)の拡大です。

総ARRは前年同期比25%増の58億4,000万ドルに達しました。サブスクリプションを中心とするクラウドストライクにとってARRは、将来の売上高を考えるうえで重要な指標です。

一度契約した顧客から継続的に収益を得られるだけでなく、追加機能を導入してもらうことで1社当たりの契約規模を拡大できる点が同社のビジネスモデルの強みです。

さらに注目したいのが純新規ARRです。第2四半期は3億3,280万ドルとなり、第1四半期の2億5,580万ドルから大幅に増加しました。

これは既存契約から安定した収益を得ているだけではなく、新規顧客の獲得や既存顧客への追加販売が加速していることを示しています。サイバーセキュリティ市場で企業間競争が激しくなる中でも、クラウドストライクの成長モメンタムは維持されています。

業績見通し引き上げが示すクラウドストライクの自信

クラウドストライクは2027年通期の売上高と調整後EPS見通しも引き上げました。

企業が通期ガイダンスを上方修正する背景には、現在の受注環境だけでなく、今後数四半期にわたる契約状況への一定の自信があります。

クラウドストライクはエンドポイント保護を出発点として、クラウド、ID、脅威インテリジェンスなどへサービス領域を拡大してきました。複数のセキュリティ機能を1つのプラットフォームに統合する戦略は、セキュリティ製品の数を減らしたい企業側のニーズとも一致します。

AIの普及によって攻撃側の技術も高度化しているため、防御側にもAIを利用したリアルタイムの脅威検知能力が求められています。この構造変化はクラウドストライクにとって長期的な追い風となる可能性があります。

*関連記事「クラウドストライク株が10%急騰!好決算とAIが生み出す新たな成長サイクル

オクタは成長と収益性改善を両立

一方、ID管理を主力とするオクタも好調な決算を発表しました。

売上高は前年同期比11%増となり、調整後EPSは1.05ドルと市場予想の0.97ドルを上回りました。

クラウドストライクほど高い売上成長率ではありませんが、今回の決算で重要なのは収益性の改善です。

成長企業は売上拡大を優先するため利益が出にくいケースがあります。しかしオクタは、一定の売上成長を維持しながらコスト管理を改善し、利益を生み出せる企業へと変化しつつあります。

通期売上高見通しは32億1,600万~32億2,600万ドルとなりました。決算発表後の8月27日の米国市場では株価が29%近く上昇しており、年初来でも大幅に上昇しています。

市場が評価しているのは単純な売上高成長だけではなく、利益率改善を伴った持続可能な成長に移行している点だと考えられます。

AI時代には「ID」が新たなセキュリティ境界になる

オクタの将来性を考えるうえで重要なのが、企業システムのクラウド化です。

かつて企業の情報システムは社内ネットワークの内側を守ることがセキュリティの基本でした。しかし現在はクラウドサービスやリモートワークが普及し、従業員がさまざまな場所から多数のサービスへアクセスします。

さらにAIエージェントの普及が進めば、人間だけでなくAIそのものにシステムへのアクセス権限を与えるケースも増えていく可能性があります。

その環境では「誰が、どのデータやシステムへアクセスできるのか」を管理するIDセキュリティの重要性が一段と高まります。

この構造的変化は、オクタが中長期的に成長するための重要な市場機会となります。

*過去記事はこちら オクタ OKTA

サイバーセキュリティはAI投資の裏側で拡大する巨大市場

クラウドストライクとオクタの好決算は、個別企業の好調さだけでなく、サイバーセキュリティ市場そのものが拡大していることを示しています。

パロアルトネットワークス(PANW)やZスケーラー(ZS)など有力企業が存在する競争の激しい市場でありながら、複数の企業が成長を続けています。

その最大の背景にあるのがAIです。

生成AIによって企業の生産性向上が期待される一方、攻撃者もAIを利用できます。フィッシングメールやマルウェア、なりすましなどの攻撃がより高度になれば、企業はセキュリティ投資を拡大せざるを得ません。

つまりAI投資が拡大するほど、その裏側でAIシステムやデータを守るためのセキュリティ需要も拡大する構造になっています。

今後のサイバーセキュリティ市場を見るうえでは、単純な売上成長率だけではなく、ARRや純新規ARR、利益率、フリーキャッシュフロー、顧客当たりの製品導入数などを確認することが重要です。

クラウドストライクは高い成長率とプラットフォーム拡張、オクタはID管理市場の拡大と収益性改善という、それぞれ異なる強みを持っています。

AI時代においてサイバーセキュリティは「あれば便利なソフトウェア」ではなく、企業活動を継続するために欠かせないインフラへ変化しています。AIへの投資額が拡大するほど、それを守るための投資も増えていく可能性があり、サイバーセキュリティは今後もソフトウェア産業を代表する成長市場の1つとして注目されます。

情報ソース: Barron’s: “ CrowdStrike and Okta Prove AI Security Is Software’s Largest Market Opportunity” (By Liz Moyer and Janet H. Cho, Aug 27, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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