AIブームでは、エヌビディア(NVDA)などの半導体企業が注目を集めてきました。しかし、AIデータセンターが拡大するほど重要になるのはGPUだけではありません。
大量のGPUやサーバーを高速で接続するネットワークが必要になるためです。
そこで存在感を高めているのが、シスコ・システムズ(CSCO)、コーニング(GLW)、ルーメン・テクノロジーズ(LUMN)、コヒレント(COHR)、ルメンタム・ホールディングス(LITE)などのネットワーク・光通信関連企業です。
マーケットウォッチは、かつてインターネット普及を支えた通信インフラ企業が、AIデータセンター時代に再び重要な役割を担い始めている状況を取り上げています。
AI投資の次の焦点は高速ネットワーク
AIデータセンターでは、サーバーやGPUの間で膨大なデータを高速にやり取りする必要があります。
光ファイバーネットワークでは、トランシーバーや光学部品が電気信号をレーザー光へ変換し、ルーターやスイッチがデータを目的地へ振り分けます。
つまり、GPUの台数が増えるほど、高速ネットワーク、光トランシーバー、レーザー、光ファイバーへの需要も拡大する構造です。
AI投資を見る際には、GPUの販売台数だけではなく、「GPU同士をどう接続するか」にも注目する必要があります。
関連記事:GPUの次に来るのは光通信:AIデータセンター革命で急成長する6銘柄
エヌビディアが光通信企業に40億ドル投資
この変化を象徴しているのがエヌビディアです。
同社は2026年、ルメンタムとコヒレントに合計40億ドルを投資し、レーザー生産能力の拡大を支援しました。
GPUメーカー自身が光通信部品の生産能力確保に動いていることは注目すべき点です。
AIインフラの拡大では、GPUを供給するだけでは不十分で、データを高速に移動させる光通信設備の供給能力も重要になっていると考えられます。
関連記事:AIの「心臓」から「神経系」へ:エヌビディアが光通信の巨頭に40億ドルを投じた真意
コヒレントとルメンタムの成長が加速
光通信需要の拡大は、すでに企業業績にも表れています。
コヒレントの2026年6月終了年度の売上高は71億ドルで、2022年6月終了年度から114%増加しました。
ルメンタムも同期間に76%増加し、売上高は30億ドルとなっています。
さらにコヒレントでは、2026年6月期の四半期売上高の79%をデータセンターおよび通信事業が占めました。
コヒレントはエヌビディアからの資金や米国CHIPS and Science Actによる5,000万ドルの助成金などを活用し、テキサス州シャーマン工場の規模を2倍、生産能力を4倍にする計画です。
AIデータセンター需要が、光通信企業の設備投資を押し上げる段階に入っています。
関連記事:AIブームの次なる主戦場は通信インフラへ 光通信3社が示す成長シナリオ
シスコはAI時代に再成長できるか
シスコもAIネットワーク拡大の恩恵を受ける可能性があります。
同社は1990年代のインターネット普及を代表する企業でした。2025年12月には、2000年3月につけた株価の高値を約25年ぶりに上回り、記事掲載時点の時価総額は4,290億ドルとなっています。
オープンAIがChatGPTを公開した2022年から2026年までに、シスコの年間売上高は約23%増加し、633億ドルとなりました。
現在はルーターやスイッチだけでなく、ネットワーク用チップも販売しています。
AIデータセンターで通信量が増え続ければ、ネットワーク機器や半導体を持つシスコの事業機会も広がる可能性があります。
ルーメンは過去の光ファイバー資産を活用
ルーメンにも興味深い特徴があります。
同社は1990年代後半から光ファイバー網を整備しており、2026年6月時点で約1,900万fiber milesを保有しています。
現在はそのネットワークをAI向けに活用し、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン(AMZN)のAWS、アルファベット(GOOGL)のGoogle Cloud、アンソロピックなどと累計130億ドルの契約を締結しています。
ただし、2025年度の売上高は124億ドルで、2021年度の197億ドルから減少しています。
大型契約が実際の売上成長につながるかを確認する必要があります。
関連記事:AI革命の恩恵を受ける通信事業者:ルーメン・テクノロジーズの大躍進
AIインフラ投資はGPUから通信網へ
AIインフラ投資の対象は、GPUだけではなく、電力、データセンター、ネットワークへと広がっています。
シスコのネットワーク機器、コーニングの光ファイバー用ガラス、コヒレントとルメンタムのレーザー・光通信部品、ルーメンの光ファイバー網は、いずれもAIシステムを支える重要なインフラです。
今後は「AI関連」という言葉だけで判断するのではなく、売上高が実際に伸びているか、AI関連事業の比率が上昇しているか、生産能力が拡大しているかを見ることが重要です。
AIデータセンターの大型化が続けば、GPUと同時に、それらを高速で接続する通信インフラへの投資も拡大します。
2026年以降のAI投資では、半導体だけではなく、光通信・ネットワーク関連企業も重要な投資テーマになりそうです。
情報ソース: MarketWatch: “The old new thing: Cisco and retro tech are back and forming the AI buildout’s backbone” (By Hannah Pedone, Sept. 19, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇