AIデータセンターへの巨額投資は、エヌビディアなどの半導体企業だけでなく、電力設備を供給する企業にも大きな成長機会を生み出しています。その代表例として注目されているのが、フォージェント・パワー・ソリューションズ(FPS)です。
同社が9月15日の市場開始前に発表した2026年度第4四半期決算では、売上高が前年同期比94%増の4億6,170万ドルとなり、市場予想の4億2,990万ドルを上回りました。
しかし、今回の決算でより注目したいのは現在の売上高ではなく、急増する受注と30億ドルに達した受注残です。AIデータセンター建設が続く中で、電力インフラにも需要が波及していることが鮮明になっています。
AI投資の恩恵が電力設備へ広がる
フォージェント・パワーは、データセンター向けのモジュール型電力システムを手掛けています。大量のサーバーに安定して電力を届けるための設備で、データセンターの新設や拡張には欠かせないインフラです。
2026年度のモジュール型電力システム売上高は、前年同期比296%増加しました。
AI向けデータセンターを増やすには、GPUやサーバーを購入するだけでは足りません。それらを24時間安定して稼働させるためには、送配電設備や冷却設備、ネットワーク機器なども同時に増強する必要があります。
つまり、AI設備投資が拡大するほど、その周辺インフラにも資金が流れる構造です。
これまでAI相場では半導体企業への注目が集中してきましたが、今後は「AIを動かすために必要な設備」を供給する企業にも成長機会が広がる可能性があります。
30億ドルの受注残が示す需要の強さ
今回の決算で最もインパクトが大きい数字の1つが、受注の伸びです。
2026年度第4四半期の受注額は前年同期比375%増加し、ブック・トゥ・ビル・レシオは3.3倍となりました。
これは、同社が1ドル分の製品を出荷する間に、3.30ドル分の新規注文を獲得したことを意味します。
売上高が94%増えているにもかかわらず、それを大幅に上回るペースで新規注文が積み上がっています。
さらに受注残は30億ドルに達しました。第4四半期の売上高4億6,170万ドルと比較しても非常に大きな規模です。
成長企業では現在の売上だけでなく、将来の売上につながる案件をどれだけ確保しているかが重要になります。その意味で30億ドルの受注残は、今後の成長を考えるうえで強い材料です。
次の焦点は生産能力
一方、受注が急増すれば、新たな課題も浮上します。
それが生産能力です。
フォージェント・パワーは3,500万ドルを投資し、メキシコ・ティフアナ拠点の生産ラインを拡張する計画を発表しました。2027年度後半までに、年間売上高ベースの生産能力を58億ドルへ引き上げる方針です。
ここから重要になるのは、受注を獲得できるかではなく、受注した製品を予定通り生産し、売上へ変換できるかです。
30億ドルの受注残は成長余地を示す一方、生産能力の拡大が遅れれば、売上計上の遅れにつながる可能性があります。
今後は新規受注だけでなく、設備投資の進捗や納品能力も確認していく必要があります。
2027年度は市場予想を上回る計画
会社側は2027年度について、売上高24億~26億ドル、調整後1株利益1.26~1.40ドルを見込んでいます。
これに対してアナリスト予想は、売上高20億9,000万ドル、調整後1株利益1.13ドルです。
売上高は会社予想の下限でも市場予想を約3億1,000万ドル上回ります。
さらに今回の見通しは、2026年2月5日のIPO時に会社が示していた予想を大幅に上回る水準です。
IPOから比較的短期間で業績見通しが上方に広がっている点を見ると、AIデータセンター向け電力設備の需要が会社側の当初想定を上回っている可能性があります。
AIインフラ相場の次の主役になれるか
フォージェント・パワーを見る際、単純に「新しいAI関連銘柄」と捉えるだけでは十分ではありません。
注目すべきなのは、AIデータセンター投資の中でも電力インフラという重要な部分を担っていることです。
モジュール型電力システム売上高は296%増、受注は375%増、受注残は30億ドルまで拡大しています。さらに生産能力を58億ドルへ引き上げる計画も進めています。
これらの数字を見る限り、同社は急増するAIインフラ需要を取り込むため、本格的な事業拡大の段階に入っていると考えられます。
一方で、今後は大型受注を実際の売上と利益に変えられるかが最大のポイントです。受注残の消化、生産能力の拡大、利益率の推移を継続的に確認する必要があります。
2026年9月15日の株価は前日比9.5%高の31.36ドルで終了しました。
AIデータセンター投資の恩恵が半導体から電力、冷却、ネットワークへ広がる中で、フォージェント・パワーは「AIを動かす電力インフラ」という新たな成長テーマを象徴する企業の1つになりつつあります。
情報ソース: Barron’s: “AI Is Still Fueling a Data Center Boom. This Energy Stock Is Cashing In.” (By Mariapaula Gonzalez, Sept. 15, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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