AI関連株を中心とした米国株の上昇相場は、どこまで続くのでしょうか。
バロンズは9月11日、「Five Warning Signs the AI Stock Bubble Is in Its Final Stages」と題した記事を掲載しました。記事では、キャピタル・エコノミクスのシニア・マーケッツ・エコノミスト、ジェームズ・ライリー氏の分析を紹介しています。
同氏は、AI相場がすぐに終わるとはみていません。一方で、現在の市場には過去のバブル終盤と似た兆候が増えていると指摘しています。
S&P500にはまだ上昇余地
ライリー氏は、2026年中に米国株がさらに上昇する余地があるとみています。
キャピタル・エコノミクスは、S&P500が2026年末に8,250まで上昇する一方、2027年末には6,500まで下落する可能性があると予想しています。
つまり、現在の相場を「すでに崩壊が始まった」とみているわけではありません。むしろ、上昇相場の最終局面に近づいている可能性を警戒しています。
投資家にとって重要なのは、株価がまだ上昇する可能性と、中長期的なリスクが高まっていることは両立するという点です。
高いバリュエーションが最初の警戒材料
最初の警戒材料は株価の割高感です。
S&P500の予想PERは約21倍です。2025年後半につけた約23倍からは低下していますが、依然として高い水準にあります。
現在の株価を維持するには、企業利益が今後も高いペースで成長し続ける必要があります。
AI投資が期待通りに利益拡大につながれば問題はありませんが、成長率が市場予想を下回れば、高いバリュエーションそのものが株価の重荷になる可能性があります。
利益成長への期待が過熱
2つ目の警戒材料は企業利益への期待です。
バロンズの記事では、今後1年のS&P500の1株利益予想が非常に高い水準に達していると紹介されています。
特に現在は、利益成長への期待がテクノロジー企業に集中しています。
AI関連企業には、単に増収増益を達成するだけでなく、市場予想を上回り続けることが求められています。
業績そのものが好調でも、売上高や利益率、設備投資の見通しが市場の期待を下回れば、株価が大きく調整する可能性があります。
巨大テクノロジー企業への集中
S&P500では、大型テクノロジー企業への集中も進んでいます。
エヌビディア(NVDA)とアップル(AAPL)は、それぞれ指数の7%を超える比率を占める場面があり、マイクロソフト(MSFT)も5%を超える規模となっています。
上昇相場では、こうした巨大企業の株価上昇が指数全体を押し上げます。
しかし反対に、主要銘柄がそろって下落した場合には、指数全体への影響も大きくなります。
S&P500は約500社で構成されていますが、実際の値動きは一部の巨大企業に大きく左右される構造になっています。
株式発行とIPOの増加
企業による株式発行の増加も、バブル終盤でみられやすい現象として紹介されています。
株価が高い時期は、企業側にとって株式市場から資金を調達しやすくなります。そのため、新規株式公開(IPO)や増資が活発になる傾向があります。
現在は、オープンAIやアンソロピックなど有力AI企業の将来的なIPOにも注目が集まっています。
AI企業が相次いで巨額の資金を株式市場から調達するようになれば、AIブームの過熱を判断する材料の1つになる可能性があります。
海外投資家も米国株に集中
海外から米国株への資金流入も警戒材料です。
米国のテクノロジー企業やAI関連企業の成長期待を背景に、世界中から米国株へ資金が集まっています。
これは米国企業への高い評価を示す一方、投資家のポジションが同じ方向に偏っていることも意味します。
過去の株式市場でも、海外投資家の買いが急増した後に相場がピークを迎えた例があります。
多くの投資家が強気に傾いている局面では、相場が反転した際の資金流出も大きくなりやすくなります。
まだITバブルと同じ状況ではない
ただし、現在のAI相場を2000年前後のITバブルと完全に同一視する必要はありません。
キャピタル・エコノミクスが確認している8つの指標のうち、警戒水準にあるのは5つです。
企業のファンダメンタルズ、株式市場のボラティリティ、レバレッジについては、まだ極端な状態には達していないとされています。
また、現在のAI相場をけん引する企業の多くは、実際に巨額の売上高や利益、キャッシュフローを生み出しています。
この点は、利益をほとんど生み出していない企業まで株価が急騰したITバブル期とは異なります。
AI市場の成長とAI株の上昇は別問題
今回のバロンズの記事で重要なのは、「AI株がすぐに暴落する」と主張しているわけではないことです。
むしろ注目すべきなのは、株価上昇とともに投資家の期待値も上がり続けている点です。
AI市場そのものが今後も拡大したとしても、企業の成長率が現在の株価に織り込まれている期待を下回れば、株価は下落する可能性があります。
AIという技術の将来性と、現在の株価水準から得られる投資リターンは分けて考える必要があります。
バロンズが紹介した5つの警戒サインは、相場の天井を正確に示すものではありません。しかし、長期間続いたAI主導の上昇相場が成熟段階に入っている可能性を判断するうえで、バリュエーション、利益期待、指数集中、資金調達、海外投資家の動向は確認しておきたいポイントです。
情報ソース: Barron’s: “Five Warning Signs the AI Stock Bubble Is in Its Final Stages” (By Teresa Rivas, Sept. 11, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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