GEベルノバ(GEV)の株価を巡って、ウォール街で大きく異なる評価が出ています。GLJリサーチのゴードン・ジョンソン氏は新たに「売り」でカバレッジを開始し、目標株価を470ドルとしました。
2026年9月14日の終値874.66ドルから約半値を想定する弱気な見通しです。一方、ファクトセットによるアナリストの平均目標株価は約1,240ドルで、約80%が「買い」と評価しています。
470ドルと1,240ドル。この大きな差を考えるうえで重要なのは、GEベルノバの成長性だけでなく、その期待が現在の株価にどこまで織り込まれているかです。
GEベルノバ株は2年間で約324%上昇
GEベルノバ株は2026年9月14日の取引開始前までに年初来で約46%、過去24カ月では約324%上昇していました。
上昇を支えてきたテーマの1つが、AIによる電力需要の拡大です。AI向けコンピューティングには大量の電力が必要なため、発電設備を手掛けるGEベルノバには追い風になるとの期待が高まっています。
ジョンソン氏もAIによる電力需要を否定しているわけではありません。問題視しているのは、その成長期待を踏まえても現在の株価は割高ではないかという点です。
つまり焦点は、「GEベルノバが成長するか」から「その成長に現在の株価が見合っているか」へ移っています。
2027年予想EBITDAの26倍という高い評価
ジョンソン氏によると、GEベルノバ株は2027年予想EBITDAの約26倍で取引されています。S&P500は約13倍です。
単純比較はできませんが、GEベルノバには市場平均を大きく上回る評価が与えられています。
高い評価倍率を維持するには、それに見合う利益成長が必要です。期待が高い銘柄は、業績が悪化しなくても、市場予想を下回っただけで株価が大きく調整する場合があります。
9月14日に株価が8.6%下落したことからも、GEベルノバが成長期待の変化に敏感な局面にあることがうかがえます。
最大の焦点は2027年EBITDA
弱気シナリオで特に注目したいのが、2027年のEBITDA予想です。
ファクトセットが集計した市場コンセンサスは95億ドルですが、ジョンソン氏は74億ドルを予想しています。その差は21億ドルです。
市場が95億ドル前後のEBITDAを前提に現在の株価を評価しているのであれば、実績が74億ドル程度にとどまった場合、高いバリュエーションを維持することは難しくなります。
ジョンソン氏は、2027年に納入される発電用タービンの一部が、現在より低い価格で受注されたものである点も指摘しています。
今後は受注額や受注台数だけでなく、それらがどの程度の利益率で売上と利益に転換されるかが重要になります。
470ドルは2つの弱気材料を織り込む
ジョンソン氏は、自身が予想する2027年EBITDA74億ドルに14倍の評価倍率を適用しています。現在の約26倍から大幅に低下する想定です。
つまり470ドルという目標株価は、「利益予想の下振れ」と「評価倍率の低下」が同時に起きるシナリオです。
GEベルノバの業績が成長を続けても、市場が認める評価倍率が低下すれば株価は下落する可能性があります。
今後は利益成長だけでなく、その利益に市場が何倍の価値を認めるのかにも注目する必要があります。
強気派はサービス収入に注目
一方、強気派は異なる点を評価しています。
ジェフリーズのジュリアン・デュムラン=スミス氏は、GEベルノバの目標株価を1,155ドルから1,185ドルへ引き上げました。注目しているのは、発電用タービンの設置台数増加に伴うサービス収入です。
設置済みタービンが増えれば、保守やサービスから継続的な収入を得られる可能性があります。
弱気派が将来納入するタービンの価格や利益率を警戒するのに対し、強気派は設置台数の拡大が生み出す長期的なサービス収入を重視しています。
ウォール街では依然として強気派が多数
今回の売り評価は注目を集めていますが、アナリスト全体では強気派が多数です。
ファクトセットによると、GEベルノバをカバーするアナリストの約80%が「買い」としています。S&P500構成銘柄の平均的な買い評価の比率は55~60%です。
平均目標株価は約1,240ドルで、ジョンソン氏の470ドルとの差は770ドルに達します。
これほど大きな差があるのは、GEベルノバの将来利益と適正な評価倍率について見方が大きく分かれているためです。
今後の決算では、2027年EBITDAが市場予想の95億ドルに近づくのか、それとも弱気派が予想する74億ドルに近づくのかが重要な確認材料になります。
AI電力需要だけでは株価を判断できない
GEベルノバにとって、AIによる電力需要の拡大は長期的な成長テーマです。
しかし、株価が過去24カ月で約324%上昇した現在では、「AIで電力需要が増える」という理由だけで上昇余地を判断するのは難しくなっています。
重要なのは、増加する電力需要がどれだけの利益につながり、その利益に市場がどの程度の評価倍率を与えるかです。
2027年EBITDAが95億ドルに近づけば、現在の高い株価評価を支える材料になります。一方、74億ドルに近づけば、バリュエーションの見直しが進む可能性があります。
GEベルノバ株の今後を考えるうえでは、AI電力需要の大きさ以上に、「利益成長が現在の高い期待に追いつけるか」が最大の焦点になります。
情報ソース: Barron’s: “GE Vernova Stock Can Fall 50%, According to New Sell Rating” (By Al Root, Sept. 14, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「スペースXがGEベルノバを脅かす?AI電力不足で始まるタービン争奪戦」
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