バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)は2026年8月8日、第2四半期決算を発表しました。
グレッグ・アベルCEO体制が本格的に動き始める中で発表された今回の決算は、本業の底堅さに加え、自社株買い、大型買収、株式投資など、積極的な資本配分が目立つ内容となりました。
ウォーレン・バフェット氏が築き上げた巨大コングロマリットは、新経営体制のもとでどのように変わっていくのでしょうか。
今回は第2四半期決算の内容を整理したうえで、バークシャー・ハサウェイの今後について考察します。
第2四半期の営業利益は16%増
第2四半期の税引き後営業利益は前年同期比16%増の130億ドルとなりました。
クラスA株の1株当たり営業利益は17%増の9,050ドルとなり、市場予想の7,550ドルを大幅に上回っています。
株式などの投資損益を含む純利益は257億ドルに達し、前年同期から2倍以上に増加しました。
また、日本の商社株への投資と関連した円建て借り入れでは、3億2,600万ドルの為替差益を計上しています。
バークシャーは日本の大手商社への投資を長期的に拡大してきましたが、株式投資だけでなく資金調達まで含めた運用が利益に寄与した形です。
製造・エネルギー・鉄道が利益を支える
事業別では、実業部門の好調さが目立ちました。
製造・サービス・小売部門の税引き後利益は前年同期比24%増の45億ドルとなりました。
バークシャー・ハサウェイ・エナジーを中心とするエネルギー部門も27%増の8億9,100万ドルとなり、安定した収益源として存在感を示しています。
鉄道会社BNSFの利益も6%増加しました。
景気変動の影響を受ける製造業から、鉄道、エネルギーまで幅広い事業を保有していることが、バークシャーの収益安定性につながっています。
ガイコの収益悪化は懸念材料
一方、保険事業では課題も浮かび上がりました。
自動車保険を手掛けるガイコの引き受け利益は前年同期比45%減の約10億ドルとなりました。
保険会社の収益性を示すコンバインド・レシオは、前年同期の83.5%から91%まで悪化しています。
100%を下回っているため保険引き受け自体は利益を確保していますが、前年と比べれば収益性は大きく低下しています。
自動車修理費や人件費などの上昇に加え、保険市場での競争激化も収益を圧迫している可能性があります。
バークシャーにとって保険事業は、単なる利益源ではありません。保険料として受け取った資金を投資に活用できる「フロート」は、同社の投資モデルを支える重要な資金源です。
その意味でも、ガイコの収益改善は今後の重要な経営課題となります。
自社株買いが45億ドルへ急増
今回の決算で特に注目したいのが資本配分です。
第2四半期の自社株買いは45億ドルに達しました。
第1四半期は2億3,500万ドルだったため、わずか3カ月で買い戻し規模を大幅に拡大したことになります。
ウォーレン・バフェット前CEOは、バークシャー株が本源的価値を下回っていると判断した場合に自社株買いを行う方針を示してきました。
アベルCEO体制でも同様の考え方が維持されるのであれば、今回の45億ドルという買い戻しは、経営陣が現在の株価水準に一定の投資妙味を感じている可能性を示しています。
アルファベットに100億ドルを投資
株式ポートフォリオにも大きな変化がありました。
第2四半期には合計230億ドルの株式を購入する一方、株式売却額は30億ドルにとどまりました。
特に注目されるのが、アルファベット(GOOGL)株を約100億ドル購入したことです。
バークシャーは長年、理解しやすく安定したキャッシュフローを生み出す企業への投資を重視してきました。
しかしアルファベットは、検索広告だけでなくクラウド、AI、YouTubeなど複数の成長市場を抱える巨大テクノロジー企業です。
今回の投資が継続的な戦略となるのであれば、バークシャーの株式ポートフォリオが、従来型のバリュー株中心から、キャッシュ創出力と成長性を兼ね備えたテクノロジー企業へ広がっていく可能性があります。
85億ドルで住宅メーカーを買収
事業買収でも積極姿勢が確認されました。
バークシャーは住宅メーカーのテイラー・モリソン(TMHC)を85億ドルで買収する手続きを完了しています。
同社はすでに住宅建設会社クレイトン・ホームズや、不動産仲介、建材など住宅関連の事業を保有しています。
テイラー・モリソンの買収によって、米国住宅市場へのエクスポージャーをさらに拡大することになります。
これは株式市場で割安銘柄を探すだけでなく、優良企業そのものを丸ごと傘下に収めるという、バークシャー本来の投資手法がアベル体制でも継続していることを示しています。
3,650億ドルの現金は次の一手を待つ
6月末時点の現金残高は3,650億ドルに達しています。
自社株買い、株式投資、大型M&Aを進めてもなお、巨額の投資余力が残っていることになります。
前四半期にはトッド・コームズ氏のJPモルガン(JPM)への移籍に伴う大規模な株式売却もあり、現在のバークシャーは株式ポートフォリオの再構築を進めている段階と考えられます。
今後、株式市場が大きく下落した場合には、3,650億ドルという現金が強力な武器になります。
市場混乱時に優良企業へ巨額投資できることは、他の投資会社にはないバークシャー最大の競争優位性の一つです。
アベル体制でバークシャーは変わるのか
今回の決算を見る限り、アベルCEOはバフェット氏の投資哲学を維持しながらも、資金活用についてはより積極的な姿勢を見せ始めています。
45億ドルの自社株買い、85億ドルの大型買収、そしてアルファベットへの100億ドル投資は、その象徴と言えます。
一方で、ガイコの収益悪化など解決すべき課題も残っています。
今後の焦点は、膨大な現金をどれだけ高い収益率で再投資できるかです。
バークシャーはこれまで、保険、鉄道、エネルギー、製造業、消費関連企業などを組み合わせることで巨大な企業価値を築いてきました。
今後そこにAIやクラウドを中心とするテクノロジー企業への投資が加われば、バークシャーは「伝統的なバリュー投資会社」という枠を超えた、より現代的なコングロマリットへ進化する可能性があります。
グレッグ・アベルCEOが3,650億ドルの現金をどこに振り向けるのか。
今後数年間の資本配分が、ポスト・バフェット時代のバークシャー・ハサウェイを評価する最大のポイントとなりそうです。
情報ソース: Barron’s: “Berkshire Operating Earnings Rise 16% in Second Quarter. Buybacks Hit $4.5 Billion.” (By Andrew Bary, Aug 08, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「新生バークシャー・ハサウェイのQ1大転換 アルファベット集中投資が示す新時代の投資戦略」
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇