マイクロン決算を徹底分析 AI特需でも株価が下がった理由とは

  • 2026年3月19日
  • 2026年3月19日
  • BS余話

米半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU)が3月18日に発表した直近決算は、半導体業界の常識を塗り替えるような内容でした。売上高、利益、今後の見通しのいずれも非常に強く、AI向けメモリ需要の大きさを改めて印象づけるものとなりました。

それにもかかわらず、株価は時間外取引で下落しました。これだけの好決算でも上がらないのはなぜなのか。本記事では、決算の中身を整理しながら、株価下落の背景と今後の成長シナリオを考察します。

AI特需が会社全体に広がっている

今回の決算でまず注目したいのは、AI向けデータセンター需要の拡大が、マイクロン全体の業績を押し上げている点です。

データセンター顧客向け売上高は前年同期比181%増と急拡大しました。これはAIサーバー向け高性能メモリ需要の強さを反映したものです。ただ、さらに重要なのは、非データセンター顧客向け売上高も前年比219%増と大きく伸びたことです。

この背景には、AI向け先端メモリに生産能力が集中することで、スマートフォンやPC向けメモリの供給も引き締まりやすくなっている構図があります。つまり、AIブームは一部製品だけでなく、メモリ市場全体の需給を改善し、マイクロンの価格交渉力を高めているのです。

第2四半期決算は市場予想を大幅に上回った

3月18日に発表された第2四半期決算は、数字の大きさだけでも非常にインパクトがありました。

売上高は239億ドルで、市場予想の200億ドルを大きく上回りました。前年同期比では196%増です。調整後1株当たり利益(EPS)も12.20ドルとなり、前年同期の1.56ドルや市場予想の9.19ドルを大幅に超えました。

これだけを見ると、マイクロンは単なる回復局面ではなく、AI需要を追い風に利益水準そのものが一段切り上がった局面に入っていると考えられます。

第3四半期ガイダンスも極めて強い内容

さらに市場を驚かせたのが、第3四半期の業績見通しです。

会社側は売上高335億ドルを見込み、粗利益率は81%、調整後EPSは19.15ドルと示しました。従来のメモリ企業のイメージからすると、かなり高い水準です。

メモリ業界はこれまで景気変動の影響を強く受けるシクリカル産業と見られてきました。しかし、今回のガイダンスは、マイクロンがAIインフラ拡大の中心企業として、従来とは違う成長局面に入った可能性を示しています。

供給不足が高収益を支えている

マイクロンの強さを支えているのは需要だけではありません。供給側の制約も大きな追い風になっています。

メモリ業界では通常、需要増による価格上昇の後に各社が設備投資を進め、やがて供給過剰に陥る流れが繰り返されてきました。しかし、今回は最先端メモリの生産能力を短期間で大きく増やすことが難しい状況です。

そのため、少なくとも足元では供給不足が続きやすく、高価格と高利益率が維持されやすい環境にあります。サムスン電子やSKハイニックスなど競合各社を含めても供給には限界があり、需給の引き締まりが中期的に続く可能性があります。

なぜ株価は下落したのか

これほどの決算でも時間外取引で株価が下がった理由は、業績の悪さではなく、市場の期待値がすでに非常に高かったことにあります。

AI関連株にはこの1年で強い期待が集まり、特にエヌビディア(NVDA)を中心に、予想を上回るのは当然という見方が広がっていました。マイクロンも実績と見通しは明らかに強かったものの、それ以上のサプライズを求める投資家心理があったとみられます。

つまり、今回の下落は企業価値の毀損ではなく、いわゆる材料出尽くしや短期的な利益確定売りの側面が大きいと考えられます。

まとめ

今回の決算が示したのは、マイクロン・テクノロジー(MU)が従来の景気敏感なメモリ企業から、AI時代の中核企業へと変わりつつある可能性です。AI向け需要の拡大が全社業績を押し上げ、さらに供給不足が高収益を支える構図が続いています。

目先の株価下落は気になる動きではありますが、それは短期的な市場心理によるノイズの可能性があります。重要なのは、今回の決算で確認された成長の質と収益力の高さです。今後もAI関連投資が続くなら、マイクロンはこれまで以上に高い評価を受ける局面に入るかもしれません。

情報ソース: Barron’s: “Micron Earnings Were Extraordinary. The Stock Is Dropping.” (By Adam Levine, March 18, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「マイクロンが時価総額5000億ドル突破 AIメモリ需要で株価はどこまで伸びるのか

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