米国株はなぜ崩れない?金利5%・原油100ドルでも投資家が冷静な理由

  • 2026年9月20日
  • 2026年9月20日
  • BS余話

最近の米国株市場には、金利上昇、原油高、FRBの利上げ、AIを巡る不透明感など、株価の重荷になり得る材料が数多くあります。

それにもかかわらず、米国株は大きく崩れていません。

2026年第3四半期のS&P500はプラス圏を維持し、VIXも14台と低い水準にあります。投資家はリスクを見落としているのではなく、現時点では株式を手放すほど決定的な悪材料ではないと判断しているように見えます。

現在の相場で本当に重要なのは、悪材料の数ではなく、それが企業利益にどこまで影響するかです。

悪材料が多くても株価は崩れていない

現在の市場環境だけを見ると、株式には決して追い風ばかりではありません。

FRBは3年以上ぶりに利上げを実施しました。米10年国債利回りは5%近辺まで上昇しています。さらに、イランでの戦争を背景に原油価格は1バレル100ドルを超え、米国の平均ガソリン価格も1ガロン4.47ドルを上回りました。

金利上昇は企業の資金調達コストを押し上げます。原油高やガソリン高は消費者の家計を圧迫します。本来であれば、株価にとって無視できない材料です。

しかし、S&P500は2026年6月5日以降、1日で2%以上動いた日がありません。

市場は悪材料を無視しているのではなく、今のところ企業業績を大きく崩すほどの影響は出ていないと判断している可能性があります。

VIX14台が示す市場の落ち着き

9月18日のVIXは14.81でした。2026年の最低値である14.25にも近い水準です。

VIXは、S&P500のオプション価格をもとに、今後約30日間に投資家がどの程度の株価変動を予想しているかを示す指数です。「恐怖指数」とも呼ばれ、一般的には数値が低いほど市場が落ち着いており、高いほど投資家の警戒感が強いとみられます。20を下回る水準は、比較的落ち着いた市場環境の目安として使われます。

原油価格が100ドルを超え、米10年国債利回りが5%近辺にあり、FRBも利上げに動いた状況としては、VIX14台はかなり低い数字です。

これは、投資家が現時点で大幅な株価下落を強く警戒している状況ではないことを示しています。

ただし、VIXが低いからといって安心できるわけではありません。

市場参加者の警戒感が低いときほど、想定外の悪材料が出た場合に、急速にボラティリティが高まる可能性があります。

現在の相場は「不安がない相場」ではなく、「不安材料を抱えながら均衡している相場」と考える方が適切です。

株価を支えているのは企業利益

現在の米国株を支えている最大の要因は、企業業績だと考えられます。

2026年の米企業利益はこれまで堅調に推移し、主要株価指数も過去最高値圏で取引されています。

株価は長期的には企業が生み出す利益に左右されます。

金利や原油価格が高くても、企業が予想を上回る利益成長を続けるのであれば、投資家には株式を保有し続ける理由があります。

現在は、「厳しいマクロ環境」と「強い企業利益」が綱引きをしている状態です。

そして現時点では、企業利益の強さが優勢になっています。

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AI投資が今後の重要な分岐点になる

もう1つ注目したいのがAI投資です。

AIは現在の米国株市場を支える大きな成長テーマとなっています。一方で、高度なAI開発の速度を落とすよう求める声が業界内から出たことで、世界の半導体株が一時大きく下落しました。

AIは株価の上昇材料であると同時に、潜在的なリスクにもなっています。

AI関連の設備投資やサービス需要が伸び続ければ、企業利益を押し上げる要因になります。

しかし、AI投資に対する期待が弱まり、関連企業の利益成長率が低下すれば、これまで株価を支えてきた重要な柱が揺らぐ可能性があります。

今後の米国株を見るうえでは、金利や原油価格だけでなく、AI投資の持続性も確認していく必要があります。

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投機マネーの減少は必ずしも悪材料ではない

米国上場レバレッジETFの想定元本ベースの取引高は、2026年6月の約520億ドルから、9月には約240億ドルまで減少する見通しです。

約280億ドルの減少で、6月の半分以下になります。

短期的な投機マネーが減っていることを示す数字ですが、それでも主要株価指数は大きく崩れていません。

これは現在の株価が、短期的な投機資金だけに支えられているわけではない可能性を示しています。

レバレッジ取引が減少しながら株価が安定しているのであれば、過熱感が少しずつ解消されていると見ることもできます。

今後は企業利益の変化を最優先で確認したい

今後の米国株を見るうえでは、悪材料の数よりも企業利益の変化を重視する必要があります。

米10年国債利回りが5%近辺まで上昇し、原油価格が100ドルを超えても、米国株は大きく崩れていません。

市場はすでに多くのリスクを織り込んでいるとも考えられます。

この均衡が崩れる最大のきっかけは、企業利益の成長期待が低下することです。

逆に、金利や原油価格が高い状態でも企業利益が伸び続ければ、株式市場は底堅さを維持する可能性があります。

現在の米国株は、楽観一色ではありません。

リスクを理解したうえで、それでも企業利益の強さを評価している相場です。

今後はVIXの低さだけを見るのではなく、企業利益、AI投資、金利の3つに変化が出ていないかを丁寧に確認することが重要です。

情報ソース: MarketWatch: “Stocks face a growing list of threats — so why are investors staying so calm?” (By Isabel Wang, Sept. 19, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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