AIブームに沸く米国市場ですが、次に注目すべきテーマとして「量子コンピュータ」が浮上しています。
マーケットウォッチの最新記事によると、アルファベット(GOOGL)のCEOスンダー・ピチャイ氏は「現在の量子技術は、5年前のAIと同じ位置にいる」と指摘しています。つまり、爆発的な普及前夜にあるということです。
今回は、記事から読み取れる事実情報に基づき、なぜ今このセクターが投資対象として現実味を帯びてきたのか、そしてどの銘柄に勝機があるのかを分析します。
1. 「理論」から「産業」への転換点
これまで量子コンピュータといえば「遠い未来の夢物語」という印象がありましたが、グーグルの最新チップ「Willow」の実績はその認識を覆すものです。
- 「Willow」は、地球最強のスーパーコンピュータより13,000倍速く分子構造を計算しました。
- 開発者は「現在不可能な問題解決まであと5年以内」と予測しています。
「13,000倍」という数字は、単なる性能向上ではなく、次元の違う計算能力が実証されたことを意味します。また、サンドボックスAQが「従来の2万倍の速さでクリーンエネルギー触媒を発見した」という実績も重要です。
これは、量子技術が実験室を出て、創薬やエネルギーといった「実利を生むフェーズ」に入ったことを示唆しています。投資家としては、ここから「実用化」による収益化が始まるタイミングを見逃すべきではないと考えられます。
2. 米中「国家予算」の投入が株価を下支えする
投資において「国策に売りなし」と言われますが、量子技術はまさに米中の覇権争いの中心に位置しています。
- 中国は1兆元(約1,400億ドル)規模の基金を発表しました。
- 米国防総省は量子技術を兵器戦略の中心に据え、DARPA(国防高等研究計画局)は11社を評価の次段階(ステージB)へ進めました。
1,400億ドルという中国の巨額投資に対し、米国も静観しているわけにはいきません。米議会には2030年までの「量子第一」目標採択が促されています。
この「軍事・安全保障上の必須技術」としての位置付けは、関連企業の株価にとって強力な下値支持となります。景気後退で民間需要が落ち込んでも、政府予算という太い客がつくため、セクター全体の生存確率は極めて高いと言えます。
3. 注目銘柄の分析:ボラティリティか、堅実性か
記事で挙げられた銘柄から、タイプ別の投資戦略を考察します。
① ハイリスク・ハイリターン狙い:イオンキュー(IONQ)
- DARPAのステージBに進出しました。
- 室温で作動する技術を持ち、特定計算でスーパーコンピュータの1%以下の電力消費を実現したと主張しています。
- 株価は1月から10月で3倍になった後、直近2ヶ月で3分の1を失うなど乱高下が激しい状況です。
イオンキューの強みは「室温動作」にあります。他社が極低温冷却という巨大なインフラを必要とする中、これは商用化における圧倒的なコスト優位性になり得ます。
しかし、2ヶ月で時価総額の30%以上が失われるボラティリティは、長期保有には忍耐を要します。「DARPAのお墨付き」を信頼し、暴落時を拾う逆張り戦略が有効な選択肢の一つと考えられます。
② 隠れた宝石狙い:ハネウェル・インターナショナル(HON)
- 傘下のクオンティニュアムが、効率的な「2:1」の量子ビット比率を達成しました(他社は数百:1の場合もあります)。
- ハネウェル本体は航空宇宙・自動化への分割を進めており、株価は年初来マイナスです。
ここが狙い目となる可能性があります。市場はハネウェルを「地味な産業コングロマリット」と見ており、傘下のクオンティニュアムが持つ世界トップクラスの量子技術を株価に織り込んでいない可能性があるからです。
企業分割等のイベントでこの価値が顕在化すれば、大きな株価上昇が期待できます。イオンキューのような激しい値動きを避けたい投資家には、ハネウェル経由での投資が賢明な選択肢と言えます。
③ “日本”というダークホース:日立製作所(6501)
- シリコンベースのハードウェアや量子暗号を手掛け、株価は年初来プラス27%です。
米国株ブログではありますが、日立製作所の存在感は無視できません。シリコンベースという既存の半導体技術の延長線上で戦っている点は、製造面での量産性に優位性があると考えられます。「米国株一辺倒」のリスクヘッジとして、ポートフォリオの一部に加える価値は十分にあります。
結論:今は「バスに乗り遅れるな」の段階か
量子コンピューティングETFであるディファイアンス・クオンタムETF(QTUM)は年初来で約40%上昇しており、キャッシュフロー倍率は23倍と決して割安ではありません。
しかし、「AIの5年前」というアルファベットCEOの言葉が正しければ、現在はまだ初期段階です。
個別の技術的な優劣を見極めるのは困難ですが、「政府が買い支える」「実用化が始まった」という2つの事実に基づき、ディファイアンス・クオンタムETFや、本業の収益がしっかりしているハネウェルなどでポジションを構築し始めるのが、現時点での一つの最適解と言えるかもしれません。
情報ソース: MarketWatch: “Quantum computing is the stock market’s next big tech play — and these stocks are still cheap” (By Charlie Garcia, Dec. 24, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「量子コンピュータ投資の「正解」はこれ!専業メーカーよりビッグテックを狙うべき理由」
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