昨日12月11日の記事「【ORCL】受注残5,230億ドルでも暴落?オラクル決算で見えた「AI投資の闇」」では、オラクル(ORCL)の第2四半期決算における「見かけ上の増益」と「設備投資負担の増大」について速報しました。
その後、12日の米国市場が開くと投資家の懸念は売り注文となって殺到し、株価は2002年3月以来となる14%もの急落を記録しました。本記事では、決算内容が消化された後に起きた市場の動揺、ウォール街のアナリストによる目標株価の引き下げ、そしてAIセクター全体へ広がった波紋について、最新情報を基に深掘りします。
1. ウォール街が懸念した「利益の質」と「キャッシュの流出」
決算発表から一夜明け、市場が最もネガティブに反応したのは、やはり利益の「中身」とキャッシュフローの悪化でした。
12月11日の記事でも触れた通り、調整後EPSの上振れはアンペア・コンピューティング株の売却益という一時的要因によるものです。市場はこの一時的利益を剥落させて評価し、本業のクラウドビジネスの成長コストをシビアに見積もりました。
特に嫌気されたのが、フリーキャッシュフローがマイナス100億ドルに転落した事実です。オラクルは通期の設備投資見通しを500億ドルへ引き上げましたが、投資家は「借金を増やしてインフラを作っても、それに見合うリターンが得られるのか」という疑念を強めています。これが20年以上ぶりの株価下落幅につながりました。
2. 相次ぐ目標株価の引き下げ
この事態を受け、主要なアナリストたちは相次いでオラクルの目標株価を引き下げました。決算直後の高揚感はなく、冷静かつ厳しい見方が広がっています。
D.A.デビッドソンのギル・ルリア氏は、目標株価を200ドルから180ドルへ引き下げ、「中立」評価を維持しました。また、J.P.モルガンのマーク・マーフィー氏も270ドルから230ドルへ、キーバンクのジャクソン・エイダー氏は350ドルから300ドルへと、それぞれ目標株価を下方修正しています。
アナリストたちの懸念は共通しています。それは、AIインフラ構築のための支出が先行し、利益率を圧迫する期間が予想以上に長引く可能性です。バーンスタインのマーク・モードラー氏も、会社側の説明には投資家が求める具体的な数値的裏付けが欠けていたと指摘しています。
3. 「炭鉱のカナリア」が示唆するAIバブルへの警戒
オラクルの急落は、AI市場全体にとっても冷や水となりました。マーケットウォッチはオラクルを、AI投資のリスクを知らせる「炭鉱のカナリア」に例え、そのカナリアが鳴き止んだ(警告が現実化した)と報じています。
この波紋は、オラクルにAIチップを供給する側の企業にも広がりました。決算翌日12日の午前の取引では、エヌビディア(NVDA)が3%、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が4%、ブロードコム(AVGO)が3%それぞれ下落しました。また、AIサーバーを手掛けるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)も約5%下落しています。
「インフラへの巨額投資」を行う買い手(オラクル)が苦戦しているという事実は、売り手(エヌビディア等)の将来の需要に対する不透明感へと直結します。市場は、AIブームが「期待」のフェーズから、シビアな「収益性検証」のフェーズへと完全に移行したと捉えています。
結論:期待だけで買われる局面の終わり
今回の続報で明らかになったのは、投資家の視点が「どれだけ受注残(RPO)があるか」から、「実際にどれだけ現金を残せるか」へと急速にシフトしたことです。
5230億ドルという過去最高の受注残を持ってしても、足元のキャッシュフロー悪化と利益率低下に対する失望売りを止めることはできませんでした。オラクルおよびAIセクターへの投資においては、今後、設備投資の回収サイクルが具体的に数字として見えてくるまで、神経質な展開が続くものと考えられます。
情報ソース: Barron’s: “Oracle Stock Tumbles After Earnings Smashed Estimates. This Is Driving the Selloff.” (By Adam Levine and Adam Clark, Updated Dec 11, 2025)
MarketWatch: “Oracle drags down Nvidia and other AI stocks as bubble fears intensify” (By Christine Ji, Dec. 11, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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