スペースX決算、売上高161%増で初の黒字!2027年の強気見通しで株価4.53%上昇

✨ この記事でわかること

  • スペースXの2026年第3四半期売上高は前年同期比161%増の146億ドルとなり、上場後初の四半期黒字を達成しました。
  • 2027年第1四半期の売上高見通しは330億〜370億ドルと市場予想を大幅に上回り、決算発表後の時間外取引で株価が4.53%上昇しました。
  • マスク氏は2027年末の年間経常収益について最大1兆ドルという大胆な目標に言及しましたが、巨額設備投資と実現可能性には注意が必要です。

米宇宙開発大手のスペースX(SPCX)が10月20日の米国市場終了後に発表した2026年第3四半期決算は、ウォール街の予想を大きく上回りました。

売上高は前年同期比161%増の145.75億ドル、純利益は44億ドルとなり、上場後初めて四半期黒字を計上しました。

さらに注目を集めたのが、決算説明会で明らかにされた2027年の成長見通しです。会社は2027年第1四半期に330億〜370億ドルの売上高を見込んでおり、市場予想の約220億ドルを大幅に上回っています。

この強気の見通しを受けて株価は上昇し、米東部時間10月20日午後5時36分時点の時間外取引では、通常取引の終値から4.53%高となりました。

一方、AIインフラを中心とする設備投資も急激に拡大する計画です。

今回の決算は、宇宙開発、衛星通信、AIという3事業を展開するスペースXが、どこまで成長できるのかを考えるうえで重要な内容となりました。

売上高161%増、純利益44億ドルで市場予想を突破

SECに提出された決算発表資料によると、主要業績は次の通りです。

項目2026年第3四半期前年同期
売上高145.75億ドル55.76億ドル
GAAP純利益44億ドル11億ドルの赤字
営業利益27.91億ドル2.73億ドルの赤字
調整後EBITDA88.09億ドル21.69億ドル

売上高は市場予想の約129億ドルを大きく上回り、調整後EBITDAも前年同期比306%増加しました。

重要なのは、売上高の成長に加えて、営業損益が黒字に転換したことです。前年同期から営業損益は約30.6億ドル改善し、急速な事業拡大が収益面にも表れ始めています。

ただし、調整後EBITDAはNon-GAAP指標であり、純利益や営業利益とは区別する必要があります。

AI売上高830%増、スターリンクを初めて逆転

今回の決算で最も大きな成長を示したのは、AI事業です。

スペースXが「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼ぶ事業の売上高は75.6億ドルとなり、前年同期から830%増加しました。

事業売上高前年同期比
AI(SI)75.60億ドル+830%
通信(Connectivity)52.48億ドル+69%
宇宙(Space)17.67億ドル+6%

AI事業は全社売上高の約52%を占め、スターリンクを含む通信事業を上回りました。

急成長の背景には、AI計算能力を外部企業に貸し出すクラウド事業の拡大、AIコーディング企業カーソルの買収、生成AI「Grok」の利用増加などがあります。

AI事業の営業損益も、前年同期の17.22億ドルの赤字から4.31億ドルの黒字に転換しました。

ただし、AI事業の収益には計算能力の貸し出しによる売上高も含まれます。バロンズは、同社独自のAIアプリケーションから得られる収益と、インフラ貸し出しによる収益の違いが、投資家の評価に影響する可能性を指摘しています。

スターリンクも成長、契約者数は1,360万人に拡大

衛星通信事業も堅調な成長を続けました。

スターリンクを中心とする通信事業の売上高は前年同期比69%増の52.48億ドル、営業利益は99%増の23.67億ドルとなりました。

9月末時点のスターリンクの一般消費者向け契約者数は1,360万人に達しています。

通信事業はAI事業ほど急激な成長ではありませんが、すでに大きな売上高と営業利益を生み出しています。

ロケット事業で衛星を打ち上げ、スターリンクで継続収益を獲得し、AIインフラに投資するという事業構造が、スペースXの強みとなっています。

2027年第1四半期の売上高見通しは最大370億ドル

決算説明会で株式市場の関心を集めたのが、2027年の業績見通しです。

マーケットウォッチによると、スペースXは2027年第1四半期の売上高を330億〜370億ドルと予想しました。

市場予想は約220億ドルだったため、会社予想の下限でも約50%上回る水準です。

今回発表した2026年第3四半期の売上高145.75億ドルと比較すると、2027年第1四半期には2倍以上の売上高を見込んでいることになります。

この強気の見通しを支えているのが、AI計算能力の急速な拡大です。

会社は2026年9月末時点で1.7ギガワットだったAI計算能力を、10月末には2.2ギガワット、年末には2.5〜3ギガワットへ増強する計画を示しました。

これは、わずか3カ月で計算能力を最大76%増やす計画です。

設備の増強と実際の収益拡大がどこまで連動するかが、今後の決算を見るうえで重要になります。

マスク氏が示した年間収益1兆ドルという大胆な目標

イーロン・マスク氏は決算説明会で、2027年末の年間経常収益(ARR)が5,000億〜1兆ドルに達する可能性に言及しました。

バロンズが伝えたところによると、この発言に対してブレット・ジョンセン最高財務責任者(CFO)は笑いを見せたといいます。

バロンズは、この数字を正式な会社ガイダンスというより、マスク氏が示した非常に意欲的な目標と位置付けています。

ARRは、その時点の継続収益を年率換算した指標であり、実際の年間売上高とは異なります。

仮に2027年末のARRが5,000億ドルに達するなら、月間の継続収益は約417億ドルに相当します。

今回の四半期売上高は約146億ドルで、月平均では約49億ドルです。

つまり、目標達成には現在の月間売上高を大幅に超える継続収益が必要になります。

投資家は、この発言を確定的な業績予想として扱うのではなく、経営陣が目指している事業規模を示すものとして受け止める必要があります。

第4四半期の設備投資は最大400億ドルへ

成長期待の一方で、投資家が注視する必要があるのは設備投資です。

2026年第3四半期の設備投資は195.93億ドルとなり、そのうち164.44億ドルがAI事業向けでした。

さらに決算説明会で、会社は第4四半期の設備投資を350億〜400億ドルとする計画を示しました。

これは市場予想の約200億ドルを大幅に上回る規模です。

マーケットウォッチによると、ジョンセンCFOはAIインフラを中心とした積極的な投資計画を説明しています。

同社はAI計算能力を急速に拡大することで、顧客需要を取り込み、売上高の成長につなげる方針です。

しかし、設備投資の拡大は資金負担の増大を意味します。

AI事業が営業黒字に転換したことは前向きな材料ですが、営業利益だけで巨額設備投資を賄える段階には至っていません。

今後は売上高の成長だけでなく、設備投資から得られる利益とフリーキャッシュフローの改善が重要になります。

スターシップ次回試験では上下段の回収に挑戦

決算説明会では、宇宙開発事業に関する新しい計画も明らかになりました。

バロンズによると、マスク氏は11月に予定されているスターシップの第15回飛行試験について説明しました。

同社はこの試験で、ロケットの上段と下段を巨大な機械式アームで捕獲することに挑戦する予定です。

この技術の実現は、スターシップの完全再使用に向けた重要な前進となります。

ロケットの再使用効率が高まれば、打ち上げ費用の削減や打ち上げ頻度の増加につながる可能性があります。

さらに、スペースXが構想する宇宙空間へのAIデータセンター設置にも、低コストで大量の設備を軌道へ輸送できる技術が重要になります。

ただし、次回試験での回収は現時点では目標であり、成功が確約されたものではありません。

好決算と強気の業績見通しを受け、時間外取引で株価は4.53%上昇

10月20日の通常取引で、スペースXの株価は前日比0.11%安の147.79ドルで終了しました。

しかし、決算発表後の時間外取引では株価が大きく上昇しました。

Yahoo Financeによると、米東部時間10月20日午後5時36分時点の株価は154.48ドルとなり、通常取引の終値から6.69ドル(4.53%)上昇しています。

今回の株価上昇を支えたのは、売上高161%増という好業績に加え、決算説明会で発表された2027年の強気な業績見通しです。

特に、2027年第1四半期の売上高見通し330億〜370億ドルは、市場予想の約220億ドルを大幅に上回りました。

さらに、AI計算能力を2026年末までに2.5〜3ギガワットへ増強する計画も、今後の成長期待を高める材料となりました。

一方、バロンズはスペースXの予想PERが約106倍と、S&P500の約19倍を大幅に上回っている点を指摘しています。

高い株価評価には将来の大幅な成長がすでに織り込まれているため、好決算だけで株価が持続的に上昇するとは限りません。

今回の時間外取引での上昇は、AI事業の急成長と2027年の業績見通しを投資家が前向きに評価した可能性を示しています。ただし、時間外取引の株価は変動しやすく、翌営業日の通常取引でも上昇が続くかどうかは別途確認する必要があります。

関連記事:スペースX株47%急落、時価総額1.4兆ドル消失 それでも成長余地は残るのか

今後の投資家が注目すべき3つのポイント

今回の決算と説明会を踏まえると、スペースXの評価では3つの点が特に重要です。

まず、2027年第1四半期の売上高330億〜370億ドルという会社予想を実現できるかどうかです。AI計算能力を増強しても、設備の稼働や顧客需要が想定を下回れば、売上高が計画に届かない可能性があります。

次に、巨額設備投資の回収です。第4四半期の350億〜400億ドルという投資計画は、成長機会の大きさと同時に資金負担の重さを示しています。

そして、スターシップの再使用技術の進展です。宇宙への輸送コストを低下させられるかどうかは、スターリンクの拡張だけでなく、将来の宇宙AIインフラ構想にも関わります。

まとめ

スペースXの2026年第3四半期決算は、売上高161%増、純利益44億ドルという好業績に加え、AI事業が売上高の過半数を占めるまで成長したことを示しました。

さらに、決算説明会で発表された2027年第1四半期の売上高見通しは、市場の期待を大幅に上回りました。

こうした発表を受け、株価は10月20日の時間外取引で4.53%上昇し、154.48ドルとなりました。

マスク氏が示した最大1兆ドルというARR目標も、同社が目指す事業規模の大きさを印象付けています。

ただし、これは正式な会社ガイダンスではなく、実現には極めて高い成長が必要です。

また、第4四半期に最大400億ドルを投じる計画は、資金効率や投資回収に対する懸念も生みます。

今回の決算はスペースXの成長力を示す結果となりましたが、今後は巨額のAIインフラ投資が持続的な利益とキャッシュフローにつながるかどうかが、企業価値を左右する重要な判断材料になります。

情報ソース

企業公式資料・一次情報

報道・市場情報

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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