✨ この記事でわかること
- スペースX株は10月5日に7.63%上昇して171.09ドルとなり、6月のIPO価格135ドルを大きく上回りました。
- イーロン・マスク氏は「AI」ではなく「SI(Super Intelligence)」を掲げ、スペースXAIをスペースXSIへ名称変更する考えを示しました。
- 株価上昇の背景には、名称変更だけでなく、ウォール街の強気評価やテスラ株の上昇、スターシップのインフラ整備など複数の材料があります。
スペースX(SPCX)の株価が10月5日の米国市場で7.63%上昇し、171.09ドルで取引を終えました。
6月のIPO価格135ドルから大きく上昇しており、宇宙企業としてだけではなく、AIや通信、半導体など幅広いテクノロジー分野に関わる企業として市場の注目が一段と高まっています。
当ブログでも、スペースXがロケット、通信、計算資源、AIを結び付けた巨大なプラットフォームへ進化しようとしている動きを取り上げてきました。
関連記事:「宇宙+通信+計算+AI」スペースXが作り始めた巨大プラットフォーム
バロンズは10月5日付の記事で、イーロン・マスク氏が打ち出した「AI」から「SI」への名称変更とともに、スペースX株が急上昇している背景を紹介しています。
ただし、今回の株価上昇は単純な名称変更だけでは説明できません。テスラ株の上昇、ウォール街からの強気評価、AI関連株への資金流入、さらにスターシップの将来計画など、複数の材料が重なっています。
スペースXAIからスペースXSIへ
今回大きな話題となったのが、イーロン・マスク氏による「AI」から「SI」への変更です。
マスク氏は週末、スペースXAIについてAIではなくSIという呼称を使用し、スペースXSIへ名称変更する考えを示しました。
SIとは「Super Intelligence」の略で、日本語では「超知能」に近い意味になります。
バロンズによると、この動きは米政府の方針とも重なっています。トランプ大統領は9月の国連演説後、米連邦政府に対して「super intelligence」という表現を使用するよう求める大統領令に署名しました。
これまで広く使われてきた「AI」という言葉を「SI」に置き換える動きが、政治とテクノロジー業界の双方で出てきたことになります。
ただし、スペースX株が急上昇した理由を、この名称変更だけに求めるのは難しそうです。
2営業日で約16%の急上昇
スペースX株は10月5日に7.63%上昇しましたが、その前の10月2日にも7.4%上昇しています。
2営業日の上昇率を合わせると約16%に達します。
株価上昇の一因として注目されているのが、テスラ(TSLA)の動きです。
テスラは第3四半期の納車台数が市場予想を上回ったことを受け、前営業日に株価が4.7%上昇しました。
当ブログでは、第3四半期のEV販売台数が486,532台となったテスラの最新動向について詳しく取り上げています。
関連記事:テスラEV販売48万6,532台で予想超え 株価上昇も焦点はAIへ
テスラとスペースXはいずれもイーロン・マスク氏が率いています。バロンズによると、両社は半導体など複数のプロジェクトでも協力しており、株価が同じ方向へ動く場面もあります。
両社の関係については、AI、ロボティクス、データセンター、半導体など事業領域が徐々に近づいている点も注目されています。
関連記事:テスラとスペースX合併の可能性 個人株主40%がカギに
テスラへの投資家心理の改善が、スペースXにも波及した可能性があります。
ウォール街から強気評価が相次ぐ
スペースX株を支えるもう1つの材料が、ウォール街のアナリストによる強気評価です。
バロンズによると、TDカウエンとCLSAがスペースX株に新たに「買い」の評価を付けています。
さらにモルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏も10月5日のレポートで、スペースX株を割安と評価しました。
同氏は目標株価300ドルを維持しています。
10月5日の終値171.09ドルと比べると、300ドルという目標株価は大幅に高い水準です。
投資家がスペースXを単なるロケット企業としてではなく、AI、通信、半導体、宇宙インフラなど複数の成長市場に関わる企業として評価していることが背景にあります。
スターシップ大量打ち上げへの準備も進む
今回の記事では、スペースXの事業面でも興味深い動きが紹介されています。
同社はフロリダ州で天然ガスパイプラインの申請を行いました。
スペースXの大型宇宙船スターシップは、液体メタンと液体酸素を燃料として使用します。
そのため、天然ガス関連のインフラ整備は、将来的なスターシップの打ち上げ回数増加を支える設備投資の1つと考えられます。
これはスペースXがスターシップを単なる実験的なロケットではなく、大量運用する輸送インフラへ発展させようとしていることを示す材料でもあります。
当ブログでは、スターシップやスターリンク、AI通信を組み合わせ、スペースXがロケット会社から巨大なAI・通信インフラ企業へ変わろうとしている戦略についても紹介しています。
関連記事:スペースXはロケット会社を卒業する?AI通信1,000倍時代を狙うマスク氏の巨大構想
スターシップの打ち上げ回数が増えれば、宇宙輸送だけでなく、衛星通信やその他の宇宙関連事業の拡大にもつながる可能性があります。
エヌビディアも52週高値を更新
10月5日の市場では、AI関連株にも買いが入りました。
エヌビディア(NVDA)は52週高値を更新しています。
AI関連銘柄への投資家の関心が依然として強いなか、スペースXが「AI企業」から「SI企業」という新しい位置付けを打ち出したことも、市場から注目を集める材料になりました。
スペースXとエヌビディアの関係では、宇宙空間でAI計算を行う「宇宙AI」構想も注目されています。
関連記事:スペースX × エヌビディア=宇宙AI!2027年「AI衛星」打ち上げ計画の全貌
スペースXは宇宙企業という従来の枠を超え、AIや半導体、通信など複数のテーマと結び付いて評価され始めています。
IPO価格135ドルから大きく上昇
スペースXは6月に135ドルでIPOしました。
10月5日の終値は171.09ドルとなり、IPO価格を大きく上回っています。
今回の急上昇を見るうえでは、「AI」から「SI」への名称変更だけに注目するのではなく、テスラとの関係、ウォール街の強気評価、AI関連株への資金流入、スターシップの大量運用に向けたインフラ投資などを総合的に見る必要があります。
スペースXを宇宙企業として評価するのか、それともAI、通信、半導体、宇宙インフラを取り込む総合テクノロジー企業として評価するのか。
この評価の変化が、今後のスペースX株を見るうえで重要なポイントになりそうです。
※本記事はバロンズの記事内容を参考に、その概要と注目点を独自に整理して紹介したものです。元記事の文章を転載・翻訳したものではありません。詳細についてはバロンズの元記事をご確認ください。
情報ソース: Barron’s: “SpaceX Stock Jumps 7.6%. It’s Now a Super Intelligence Company.” (By Al Root, Updated Oct. 5, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。