✨ この記事でわかること
- キーバンクのアナリストがアップル株に27%の下落余地を指摘。目標株価は250ドルです。
- iPhone 18の買い替え需要への懸念と、予想PER36倍という高い株価評価がリスクとして浮上しています。
- 一方、目標株価370ドルの強気派も存在。AI設備投資を抑える経営戦略への評価が分かれています。
AI関連株の値動きが激しくなるなか、比較的堅調な推移を続けてきたアップル(AAPL)に、厳しい見方が浮上しています。
2026年10月19日付のバロンズは、アップル株が今後27%下落する可能性を指摘したアナリストの見解を紹介しました。
アップルは巨額のAI設備投資を進める競合企業とは異なる戦略を採用しており、その姿勢が株式市場で評価されてきました。しかし、株価が上昇する一方で、本業の成長力が現在の企業価値に見合うのかという疑問も強まっています。
今回のバロンズの記事では、アップルに対する強気派と弱気派の評価の違いが浮き彫りになっています。特に注目したいのは、iPhoneの買い替え需要と、AI投資を抑える経営戦略が今後の株価に与える影響です。
アップル株に27%の下落余地を指摘
今回、慎重な見方を示したのは、キーバンクのアナリスト、ブランドン・ニスペル氏です。
バロンズによると、同氏はアップルの投資判断を「アンダーウェイト」とし、目標株価を250ドルに設定しています。
この水準は、10月16日の終値から約27%の下落を意味します。
ニスペル氏の慎重な判断の背景には、iPhoneの買い替え需要に対する懸念があります。
同氏が実施したiPhoneユーザー調査では、端末価格の上昇や通信事業者による販売促進策の制限、現在使用している端末への満足度などが、買い替えを妨げる要因として浮かび上がったとされています。
この見方が正しければ、新モデルが登場しても販売台数が期待ほど伸びない可能性があります。
ただし、27%という数字はアナリストの目標株価に基づく下落余地であり、実際にその幅で下落することが確定しているわけではありません。
iPhone 18は買い替え需要を刺激できるか
アップルの業績を考えるうえで、iPhoneの販売動向は引き続き重要です。
スマートフォン市場は成熟しており、以前と比べて新モデルへの買い替えを促すことが難しくなっています。
カメラ性能や処理速度が向上しても、現在の端末で十分だと感じる消費者が増えれば、買い替えサイクルは長期化します。
さらに、端末価格が上昇すれば、消費者は購入を先延ばしする可能性があります。
アップルにとって重要なのは、新製品の話題性だけでなく、消費者が実際にお金を払って買い替えたいと感じる価値を提供できるかどうかです。
アップルは折りたたみ型iPhoneなど、新しい製品による需要喚起にも取り組んでいます。こうした新製品が買い替えサイクルを短縮できるかが、今後の販売動向を左右する要素になります。
関連記事:アップル、時価総額5兆ドルを初突破!ハイテク株急落の中で買われる理由と今後のリスク
時価総額5兆ドルでも株価は割高なのか
アップル株は2026年に入ってから大きく上昇し、時価総額は初めて5兆ドルを超えました。
しかし、企業価値の拡大が、そのまま将来の株価上昇を保証するわけではありません。
バロンズの記事では、アップル株が2027会計年度の予想利益に対して約36倍の株価収益率(PER)で取引されていることが紹介されています。
この水準は過去の平均と比較して高く、投資家が将来の利益成長に大きな期待を寄せていることを示しています。
PERが高い企業では、業績が市場予想を下回ると、株価の評価倍率そのものが低下する場合があります。
アップルの場合、iPhoneの販売台数が伸び悩んでもサービス事業などが利益を補えるかが重要です。
今後の決算では、売上高だけでなく、利益成長率と市場が織り込む期待との関係を確認する必要があります。
AI投資を抑える戦略は強みか、それとも弱みか
アップルを評価する際、もう1つ注目したいのがAI投資に対する姿勢です。
アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)などは、AIインフラの整備に巨額の資金を投入しています。
こうした投資は将来の収益拡大につながる可能性がありますが、短期的には設備投資負担や資金回収への懸念を招きます。
一方、アップルは競合企業と比較して大規模なAI設備投資を抑えてきました。
この違いを評価しているのが、メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏です。
バロンズによると、同氏はアップルの投資判断を「買い」とし、目標株価を370ドルに設定しています。
強気派が評価しているのは、巨額の設備投資を抱えずにAI技術を活用できる経営上の柔軟性です。
AI投資を積極的に進める企業と、投資負担を抑える企業のどちらが株式市場で評価されるかは、投資額そのものではなく、最終的な収益への貢献によって決まります。
関連記事:AI投資の勝者と敗者 アルファベット・アマゾンが評価され、メタが売られた理由
また、マイクロソフトの事例からも、AI投資の規模だけでなく、投資効率が株価評価に影響することがわかります。
関連記事:マイクロソフト株が急反発 設備投資据え置きが示したAI投資の「量から質」への転換
ただし、設備投資を抑えることが常に有利とは限りません。AIを使った新しい機能やサービスが顧客の購買意欲につながらなければ、成長機会を十分に生かせない可能性もあります。
250ドル対370ドル、投資家は何を判断すべきか
今回紹介された2人のアナリストの目標株価には、120ドルもの差があります。
この違いから見えてくるのは、アップルの将来を評価するうえで、投資家が重視する要素が異なっているということです。
弱気派は、成熟したスマートフォン市場で販売台数を伸ばす難しさと、現在の高い株価評価を警戒しています。
一方、強気派は、巨額のAI投資を必要としない事業構造や資金効率を評価しています。
アップル株の今後を左右するのは、単にAI関連株が買われるか売られるかという市場全体の動きだけではありません。
今後のiPhone販売が利益成長を支えられるか、AIを活用した新製品が新たな需要を生み出せるか、そして現在の株価に見合う業績を実現できるかが重要です。
設備投資を抑える経営戦略は、資金効率の面では魅力的です。しかし、その戦略が持続的な利益成長につながるかどうかは、今後の業績で検証する必要があります。
AI市場全体では巨額の設備投資を続ける企業も多く、株式市場の評価軸が変化する可能性があります。
関連記事:AI投資の主役が交代?巨大IT株より「AIインフラ株」が強い理由
まとめ:アップル株はAI相場の例外であり続けられるか
AI関連企業に巨額投資への懸念が広がるなか、アップルは異なる経営戦略によって投資家の支持を集めてきました。
しかし、株価が上昇したことで、今度はその評価を裏付ける利益成長が求められています。
キーバンクの250ドルという弱気な目標株価と、メリウス・リサーチの370ドルという強気な目標株価は、アップルの将来に対する見方が大きく分かれていることを示しています。
投資家にとって大切なのは、どちらの予想が正しいかを今の段階で決めつけることではありません。
iPhoneの買い替え需要、AIを活用した製品戦略、そして利益成長と株価評価のバランスを継続して確認することが重要です。
情報ソース
Barron’s: “Apple Stock Escaped the AI Downturn. Now It Faces a 27% Plunge, Says Analyst.” (By George Glover and Anita Hamilton, Oct. 19, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。