スーパーマイクロ株が時間外で急騰!売上高予想27%上方修正、AIサーバー需要は想定以上の強さ

✨ この記事でわかること

  • スーパーマイクロが四半期売上高予想を最大195億ドルに引き上げ、株価が時間外取引で急騰した背景
  • 粗利益率は従来予想から改善する一方、前四半期実績を下回るという収益性の課題
  • エヌビディアなどの半導体株への波及効果と、AIインフラ投資に残る懸念

AI関連株の先行きを占う重要なニュースが飛び込んできました。

AIサーバー大手のスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は10月20日、2027年度第1四半期(2026年7〜9月期)の売上高見通しを大幅に上方修正しました。

新たな売上高予想は185億〜195億ドルです。従来予想の145億〜155億ドルから、中央値ベースで約27%引き上げられました。

今回の発表を受け、同社株は10月20日の米国市場終了後に急騰しました。バロンズが報じた時点では、通常取引の終値32.47ドルに対し、時間外取引で約13%上昇していました。

半導体関連株が不安定な値動きを続けるなか、今回の発表はAIインフラ需要の強さを改めて示す材料となっています。

売上高予想を40億ドル引き上げ、前年同期の約3.8倍に

スーパーマイクロが10月20日に公表した暫定業績では、売上高と粗利益率の両方が従来予想を大きく上回りました。

指標従来予想新たな暫定予想
売上高145億〜155億ドル185億〜195億ドル
売上高の中央値150億ドル190億ドル
粗利益率10.4〜10.8%12.0〜12.5%

売上高の中央値は190億ドルとなり、従来予想より40億ドル増加しました。

前年同期の売上高は約50億ドルだったため、新たな予想中央値は前年同期の約3.8倍に相当します。

さらに注目したいのが、市場予想との比較です。

ロイターによると、LSEGが集計したアナリストの売上高予想は152億3,000万ドルでした。新たな予想中央値は、この市場予想を約25%上回っています。

会社側は売上高見通しの引き上げについて、AIプラットフォームに対する需要の増加が主な理由だと説明しています。

ただし、今回の数字は監査前の暫定値です。正式な決算発表までに変更される可能性があります。

粗利益率は予想を上回る一方、前四半期からは低下

今回の発表で、売上高の急増とともに注目されたのが粗利益率の見通しです。

スーパーマイクロは粗利益率の予想を、従来の10.4〜10.8%から12.0〜12.5%へ引き上げました。

中央値では10.6%から12.25%への改善です。

粗利益率とは、売上高から製品の製造・調達に直接かかった費用を差し引いた利益の割合です。AIサーバー市場では高額な半導体や部品を大量に使用するため、売上高が拡大しても利益率が低下するリスクがあります。

ただし、今回の粗利益率については、前四半期との比較にも注意が必要です。

2026年度第4四半期(2026年4〜6月期)の実績粗利益率は、GAAPベースで17.5%、Non-GAAPベースで17.6%でした。

今回の暫定予想中央値12.25%は、前四半期のGAAPベースの実績を5.25ポイント下回っています。

比較対象粗利益率
前四半期実績(GAAP)17.5%
前四半期実績(Non-GAAP)17.6%
今四半期の従来予想10.4〜10.8%
今四半期の新たな暫定予想12.0〜12.5%

つまり、今回の発表は従来の会社予想に対しては好材料ですが、前四半期から粗利益率がさらに改善していることを意味するわけではありません。

また、10月20日の暫定発表では、粗利益率の数値がGAAPベースかNon-GAAPベースかが明示されていません。したがって、前四半期との厳密な比較には正式決算での確認が必要です。

スーパーマイクロは過去にも、急速な売上拡大と利益率の低下が同時に進み、投資家の懸念を招いたことがありました。

関連記事:超成長の裏に潜む「利益率のジレンマ」:スーパーマイクロ決算から読み解くサーバー市場の現在地

今回、会社側は従来予想からの粗利益率改善について、顧客構成と製品構成の変化を主な理由として挙げています。

売上高190億ドル、粗利益率12.25%という暫定予想の中央値を使うと、売上総利益は約23億3,000万ドルになります。

これはあくまで暫定予想からの概算ですが、利益率が前四半期より低くても、売上規模の大幅な拡大によって利益額が増加する可能性があります。

今後は売上高の成長とともに、利益率の安定性を確認することが重要になります。

デルやHPEにも買い、AIサーバー関連株が上昇

スーパーマイクロの好材料は、競合するサーバーメーカーにも波及しました。

バロンズによると、10月20日の時間外取引では、デル・テクノロジーズ(DELL)が約5.3%、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が約4.5%上昇しました。

両社はスーパーマイクロと同様に、AI向けサーバーやデータセンター関連製品を提供しています。

スーパーマイクロの売上高予想が大幅に引き上げられたことで、AIサーバー市場全体の需要が想定以上に強い可能性が意識されたと考えられます。

関連記事:AIサーバー市場の覇権争い デルの躍進とスーパーマイクロの死角

ただし、スーパーマイクロの成長が、そのまま競合各社の売上拡大を意味するわけではありません。

今回の増収には、競合企業からのシェア獲得や高価格帯製品の販売増加が含まれている可能性もあります。

業界全体の成長を判断するには、デルやHPEなどの業績も合わせて確認する必要があります。

エヌビディアなど半導体株への影響は限定的

今回の発表は半導体関連銘柄にも好影響を与えました。

バロンズによると、エヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、マイクロン・テクノロジー(MU)、マーベル・テクノロジー(MRVL)の株価は、10月20日の時間外取引でいずれも約2%上昇しました。

スーパーマイクロは、エヌビディアやAMDの半導体を組み込んだAIサーバーを製造・販売しています。

そのため、同社の需要拡大は、AI半導体の需要が引き続き堅調であることを示す間接的な材料になります。

しかし、半導体株の反応はスーパーマイクロほど大きくありませんでした。

背景には、AI関連企業の設備投資が今後も同じペースで続くのかという不安があります。

AIサーバーの売上増加には、以前に調達した半導体を使った製品の出荷や、高額なシステムへの販売構成の変化が寄与する場合もあります。

したがって、今回の売上高予想の引き上げだけで、半導体メーカー全体の新規受注が同じ割合で増加していると判断することはできません。

AI投資への懸念は消えていない

AI関連株を巡る最大の問題は、需要の有無から投資の採算性へと移りつつあります。

大手テクノロジー企業やAIクラウド事業者は、データセンターの建設や半導体の調達に巨額の資金を投じています。

一方、こうした投資から十分な利益を生み出せるのかについては、依然として不透明な部分があります。

特に、AI向けクラウドサービスを展開するコアウィーブ(CRWV)のように、積極的な設備投資と借り入れによって成長を進める企業では、金利上昇や資金調達コストの増加が収益性を圧迫する可能性があります。

関連記事:コアウィーブ売上122%増の衝撃 1,300億ドルの受注残高と350億ドルの負債をどう見るか

バロンズは、AIインフラ投資の継続性に対する懸念が半導体株の重荷になっていると指摘しています。

今回のスーパーマイクロの発表は、足元のAIサーバー需要が強いことを示しました。しかし、AIサービスを提供する企業が投資に見合う利益を得られるかという根本的な問題までは解決していません。

次の焦点は11月3日の正式決算

スーパーマイクロは11月3日、2027年度第1四半期の正式決算を発表する予定です。

投資家が特に確認したいのは、今回公表された185億〜195億ドルという売上高予想が実績として確定するかという点です。

さらに重要なのが、粗利益率12.0〜12.5%という水準を維持できるかどうかです。

今回の暫定予想は8月時点の会社予想を上回りましたが、前四半期実績と比べると低い水準です。

正式決算では、粗利益率の会計上の定義が明らかになるかに加え、売上高の急拡大に対して収益性がどの程度維持されているのかが注目されます。

また、2027年度通期の売上高見通しも重要です。会社側は8月の決算発表時点で、通期売上高を650億〜720億ドルと予想していました。

今回の大幅な上方修正を踏まえ、通期見通しがどのように変化するかが重要な判断材料になります。

まとめ:AI需要の強さを証明、次は成長の持続性が問われる

スーパーマイクロの今回の発表は、AIサーバー市場が依然として強い成長局面にあることを示しました。

売上高予想を中央値で約27%引き上げ、粗利益率の従来予想も上方修正したことは、同社の成長性を評価するうえで重要な材料です。

ただし、粗利益率は前四半期実績を下回る見通しであり、売上高の急拡大がどれだけ安定した利益成長につながるかについては、引き続き確認が必要です。

一方、半導体株への波及効果が比較的小さかったことは、市場がAIインフラの需要拡大だけでは満足しなくなっている状況を示唆しています。

今後は、AI設備投資の規模に加えて、その投資がどれだけの収益を生み出すのかが、関連銘柄の評価を左右する重要な要素になります。

11月3日の正式決算では、スーパーマイクロの成長が一時的な需要増加によるものなのか、それとも収益性を伴う持続的な拡大につながっているのかが改めて問われます。

情報ソース

企業公式資料・一次情報

報道・市場情報

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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