AI市場は26.5兆ドルへ?ジェフリーズが選んだ「AI時代の勝ち組10銘柄」

AI関連株への投資を巡っては、「設備投資が大きすぎる」「データセンター建設が過熱している」「本当に投資に見合う収益が得られるのか」といった慎重な見方が広がっています。

しかし、米金融大手ジェフリーズは、こうした懸念に対してかなり強気の見方を示しています。

バロンズが2026年9月3日に掲載した記事では、ジェフリーズのアナリストがAI市場の長期的な成長余地と、その恩恵を受ける可能性が高い10銘柄を紹介しています。

今回の記事では、バロンズの記事のポイントを簡潔に整理しながら、米国株投資家が注目しておきたい部分を見ていきます。

AIの潜在市場は26.5兆ドル規模との強気予想

ジェフリーズが描いているAI市場の将来像は非常に大きなものです。

同社はAIの潜在的な市場規模を26.5兆ドルと見ており、現在のソフトウェア市場全体と比較しても桁違いの規模に成長する可能性があると考えています。

足元ではエヌビディアをはじめとする半導体企業だけでなく、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、オラクル(ORCL)などが巨額のAIインフラ投資を続けています。

こうした設備投資の急拡大について、市場ではフリーキャッシュフロー悪化への警戒も強まっています。

しかしジェフリーズは、AIを単なる一時的な設備投資ブームとしてではなく、PC、インターネット、クラウドに続く新たなコンピューティングサイクルとして捉えています。

この見方が正しければ、現在の巨額投資は「コスト」ではなく、将来の巨大市場を獲得するための先行投資という位置付けになります。

巨額のAI投資を支える1.67兆ドルの受注残

今回のバロンズの記事で特に興味深いのが、クラウド企業の設備投資と将来売上の関係です。

ジェフリーズによると、大手クラウド事業者の過去2年間の設備投資コミットメントは合計約4,530億ドルに達しています。

一方、同じ期間に積み上がった売上のバックログは約1.67兆ドルに上るとされています。

単純比較はできませんが、AIインフラへの巨額投資の裏側で、将来の収益につながる契約も急速に積み上がっている点は重要です。

さらに、クラウド企業の営業利益率はサプライチェーンコストが上昇する中でも4四半期連続で改善しているとされています。

AI投資によって利益率が一方的に悪化しているわけではないという点は、「AI設備投資は過剰ではないか」という議論を見るうえで重要な材料になります。

本命はマイクロソフト、アマゾン、グーグル

ジェフリーズがAI時代の中心的な企業として挙げているのが、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット傘下のグーグルです。

この3社の強みは、AIサービスだけではありません。

クラウド、データセンター、ソフトウェア、企業顧客、独自AIモデル、データなどを幅広く保有しており、AI普及のさまざまな段階で収益機会を獲得できます。

マイクロソフトはAzureと企業向けソフトウェア、アマゾンはAWS、グーグルはGoogle Cloudを中心として、企業のAI導入拡大から直接恩恵を受けられる立場にあります。

AI市場が拡大するほど、特定のAI製品だけではなく、AIを動かすためのクラウド基盤そのものの重要性も高まります。

オラクルとコアウィーブもAIクラウドの有力候補

クラウド関連ではオラクルとコアウィーブ(CRWV)も有力候補として紹介されています。

特にAI市場では大量のGPUを使った計算能力の確保が重要になっています。

従来のクラウド大手だけでは需要を吸収しきれない状況が続けば、AI向けインフラに強みを持つ企業には大きな成長余地があります。

オラクルはクラウドインフラ事業を急速に拡大しており、AI関連企業との大型契約も成長を押し上げています。

一方、コアウィーブはAI計算資源に特化したクラウド企業として成長しており、AI設備投資拡大をより直接的に取り込む銘柄といえます。

ただし、こうしたAIインフラ銘柄は設備投資負担も大きいため、売上成長だけでなくキャッシュフローや資金調達にも注意が必要です。

AIブームの次の主役はソフトウェアか

今回の記事で注目したいのは、ジェフリーズがAI投資の恩恵がクラウド企業だけにとどまらないと考えている点です。

サイバーセキュリティ分野ではパロアルトネットワークス(PANW)とオクタ(OKTA)、データ・ソフトウェア分野ではスノーフレーク(SNOW)とダイナトレース(DT)が有望銘柄として取り上げられています。

AIの利用が企業内で広がれば、扱われるデータ量が増え、セキュリティ対策やデータ管理、システム監視の重要性も高まります。

つまりAI投資の第1段階がGPUやデータセンターだったとすれば、その次には企業がAIを実際の業務へ導入するためのソフトウェア市場が拡大する可能性があります。

最近のソフトウェア企業の決算でも、AI需要が売上成長につながり始めている企業が増えています。

約50%下落したインテュイットを逆張り候補に

10銘柄の中で少し異色なのがインテュイット(INTU)です。

同社の株価は2026年に入って大きく下落しており、AIによって既存の会計・税務ソフトウェアが代替されるのではないかとの懸念が株価を圧迫しています。

しかしジェフリーズは、インテュイットが保有する顧客データ、ブランド、既存顧客との関係を評価しています。

AIが既存ソフトウェアをすべて破壊するのではなく、強力なデータと顧客基盤を持つ企業がAIを組み込むことで、むしろ競争力を高める可能性があるという考え方です。

これは今後のソフトウェア投資を考えるうえでも重要なポイントです。

AI時代に苦しくなるのは「すべてのソフトウェア企業」ではなく、独自データや顧客基盤、業務フローへの深い組み込みを持たない企業なのかもしれません。

ジェフリーズが注目するAI関連10銘柄

今回バロンズの記事で紹介されたジェフリーズの注目銘柄を整理すると、次の10社になります。

・マイクロソフト
・アマゾン
・アルファベット
・オラクル
・コアウィーブ
・パロアルトネットワークス
・オクタ
・スノーフレーク
・ダイナトレース
・インテュイット

半導体メーカーではなく、クラウド、セキュリティ、データ、業務ソフトウェア企業が中心になっているところが特徴です。

これはAI投資のテーマが「GPUを作る企業」から「AIを企業活動に組み込む企業」へ徐々に広がり始めていることを示しているとも考えられます。

AI投資は「設備投資額」よりその先の収益を見る段階へ

AI市場を巡る議論では、マイクロソフトやアマゾン、アルファベットなどによる年間数千億ドル規模の設備投資が注目されがちです。

確かに投資規模だけを見れば、過熱感を警戒するのは自然です。

一方で、今回のジェフリーズの分析で重要なのは、設備投資だけではなく、その先に積み上がっている契約や売上、利益率を見る必要があるという点です。

AIインフラ投資が続く限り、クラウド企業が中心的な恩恵を受ける構図は続きます。

そしてAIが実験段階から企業の本格導入段階へ移れば、次に大きく伸びるのはセキュリティ、データ管理、企業向けソフトウェアかもしれません。

AI株投資では、エヌビディアなど半導体企業だけを見るのではなく、AI投資の収益がどの企業へ流れていくのかを追いかけることが、今後ますます重要になりそうです。

情報ソース:Barron’s「Microsoft, Amazon and 8 More Stocks Set to Win in a $26 Trillion AI Market」By Adam Clark, Sept. 3, 2026

※本記事は上記報道内容を参考に、投資家向けに要点を独自に整理・解説したものです。原記事の全文または詳細な内容についてはBarron’sをご確認ください。

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