株式市場では、企業に対する期待と実際の業績とのギャップが埋まったとき、株価が大きく動くことがあります。
2026年に入って市場の注目を集めているインテル(INTC)が、7月23日の米国市場終了後に発表した第2四半期決算は、同社の業績回復が想定以上のペースで進んでいることを示す内容となりました。
売上高と利益はアナリスト予想を大幅に上回り、ファウンドリ事業も高い成長を記録しています。さらに、第3四半期についても市場予想を上回る業績見通しを示しました。
本記事では、今回発表された決算内容を整理したうえで、インテルの収益構造、ファウンドリ戦略、AI時代における将来性について分析します。
第2四半期決算は売上高と利益が予想を上回る
インテルが発表した2026年第2四半期決算では、調整後1株当たり利益(EPS)が42セントとなり、アナリスト予想の22セントを大幅に上回りました。
売上高は161億ドルとなり、市場予想の144億ドルを超えています。
前年同期の売上高は129億ドルで、1株当たり10セントの赤字でした。わずか1年間で売上高が大きく増加し、損益面でも赤字から黒字へ転換したことになります。
今回の決算は、単に市場予想を上回っただけではありません。インテルが進めてきた事業効率化やコスト構造の改善に加え、AI関連需要の拡大が業績に反映され始めた可能性を示しています。
ファウンドリ部門の売上高は31%増加
今回の決算で特に注目されたのが、半導体の受託製造を担うインテル・ファウンドリ部門です。
同部門の売上高は前年同期比31%増の58億ドルとなり、市場予想の56億ドルを上回りました。
インテルは長年、自社で設計したCPUを自社工場で製造する垂直統合型の事業モデルを強みとしてきました。しかし現在は、自社製品だけでなく、外部企業が設計した半導体の製造を請け負うファウンドリ事業の拡大を進めています。
AI向け半導体市場では、最先端の製造技術に加え、複数のチップを組み合わせる先進パッケージング技術の重要性も高まっています。
インテルが製造設備、パッケージング技術、米国内を中心とした生産ネットワークを活用できれば、AI半導体の供給網を支える企業として新たな収益基盤を構築できる可能性があります。
AI需要がCPUやASICにも追い風
リップブー・タンCEOは決算発表のなかで、AIがコンピューティング需要をかつてない水準へ押し上げているとの認識を示しました。
同社はCPUだけでなく、ASIC、先進パッケージング、ウェハー製造を含む広範な事業領域で成長機会を捉えられる立場にあるとしています。
AI市場では、エヌビディアのGPUが大きな存在感を持っていますが、データセンターにはGPU以外にも多くの半導体が必要です。
データ処理を管理するCPU、特定用途向けに設計されるASIC、通信や電力制御に関連する半導体など、AIインフラ全体の拡大がインテルの事業機会につながる可能性があります。
インテルの強みは、特定の製品だけではなく、設計から製造、パッケージングまで複数の工程に関与できる点にあります。
第3四半期も市場予想を上回る見通し
インテルは第3四半期についても強気な業績見通しを示しました。
1株当たり利益は38セントを見込み、市場予想の27セントを上回っています。売上高は158億〜168億ドルを予想しており、市場予想の151億ドルを超える水準です。
企業の業績回復が一時的なものである場合、次の四半期の見通しは慎重になりやすい傾向があります。
しかし、インテルが市場予想を上回るガイダンスを提示したことは、足元の需要が第2四半期だけに限られたものではなく、今後も一定の強さを維持すると経営陣が判断していることを示しています。
設備投資の拡大は成長への自信を示す
インテルは、2026年と2027年の成長を支えるため、設備、クリーンルーム、基板への投資を意欲的に増やす計画も明らかにしました。
半導体製造には巨額の資金が必要であり、設備投資を増やせば必ず成功するわけではありません。需要予測を誤った場合、稼働率の低下や減価償却費の増加が利益を圧迫する可能性もあります。
一方で、インテルが投資拡大へ動いていることは、AI向けの計算需要やファウンドリ需要が中長期的に続くとの見通しを持っていることの表れでもあります。
今後は、設備投資が実際の受注増加や利益率改善につながるかが重要な確認ポイントになります。
株価は時間外取引で12%上昇
インテル株は、決算発表前の7月23日終値時点で、6月22日に記録した上場来高値140.94ドルから約29%下落していました。
AI関連株に対する期待が後退するなか、業績の持続性や設備投資負担への警戒が株価の重荷になっていたと考えられます。
しかし、今回の決算発表後、インテル株は時間外取引で一時12%上昇しました(その後+4%近くに下落)。市場予想を大幅に上回る実績と強気な業績見通しが、投資家心理を改善させた形です。
2026年の株価上昇率は決算発表前の時点ですでに171%に達しており、バロンズの2026年推奨銘柄にも選ばれています。
急速な株価上昇によって期待が先行しやすい状況にあるため、今後は業績成長と株価評価のバランスを慎重に確認する必要があります。
インテルは構造的な回復局面に入ったのか
今回の決算から読み取れる最大の変化は、インテルの収益回復が具体的な数値として確認されたことです。
前年同期の赤字から黒字へ転換し、売上高も大きく増加しました。さらに、ファウンドリ部門が31%成長し、第3四半期も市場予想を上回る見通しが示されています。
これらの要素は、インテルが従来型のCPUメーカーから、AI時代の半導体インフラを総合的に支える企業へ変化しつつあることを示唆しています。
ただし、本格的な黄金期を迎えたと判断するには、ファウンドリ事業の利益率改善、外部顧客の獲得、先端製造技術の量産状況、設備投資に対する収益性を継続して確認する必要があります。
今回の決算は、インテルの再成長シナリオに現実味を与える重要な一歩となりました。
AI需要の拡大を一時的な追い風で終わらせず、製造技術とファウンドリ事業の競争力へ転換できるかが、同社の新たな黄金期を左右する重要なポイントになります。
情報ソース: Barron’s: “How AI-Powered Earnings Powered Intel Stock Higher” (By Angela Palumbo, July 23, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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