ソフトウェア株はついに底打ちか サービスナウ急騰が示すSaaS復活の兆し

  • 2026年5月20日
  • 2026年5月20日
  • BS余話

2026年に入り、米国株市場ではAI関連銘柄を中心にテクノロジー株が堅調に推移してきました。一方で、ソフトウェアセクターは長く出遅れ感が目立っていました。生成AIの普及によって、従来型のSaaS企業の成長力が低下するのではないかという懸念が広がり、投資家の資金は半導体やAIインフラ関連に集中していたためです。

しかし、ここに来てソフトウェア株に再評価の動きが出ています。米バロンズ誌の5月19日付けの記事では、サービスナウ(NOW)をはじめとする複数のソフトウェア銘柄が急反発している状況が紹介されています。今回は、その内容をもとに、ソフトウェアセクターが本当に底を打ったのかを考察します。

サイバーセキュリティとインフラ監視銘柄が先行して回復

ソフトウェアセクターの中でも、まず資金が戻ってきているのは、サイバーセキュリティやクラウド監視に関連する企業です。

データドッグ(DDOG)は5月に入り58%上昇、フォーティネット(FTNT)は50%上昇、パロアルトネットワークス(PANW)も約40%上昇しています。これらの銘柄に共通しているのは、企業のクラウド利用やAI活用が進むほど、セキュリティや監視の重要性が高まるという点です。

特にパロアルトネットワークスは、4月に155.73ドルだった株価が、5月18日には247.55ドルまで急反発しました。これは52週高値の248.85ドルに迫る水準です。市場は、単に「AIに置き換えられるソフトウェア」を避けるのではなく、AI時代にも必要性が高まるソフトウェア企業を選別して買い始めていると考えられます。

出遅れSaaS銘柄にも資金が向かい始める

一方で、すべてのソフトウェア株が一斉に回復しているわけではありません。サービスナウは過去12カ月で49%下落し、アジリシス(AGYS)も年初来で41%下落しています。ナスダック総合指数が過去12カ月で36%上昇していることを考えると、これらの銘柄の出遅れはかなり大きいと言えます。

ただし、ここに投資妙味があるとも考えられます。市場全体が上昇する中で売り込まれてきた優良ソフトウェア企業が、決算やAI活用の成果を示すことで見直されれば、株価の反発余地は大きくなります。

実際、サービスナウは5月18日に8.8%上昇しました。同社は2025年初めにServiceNow AI Platformをアップデートしており、AIを既存の業務支援プラットフォームに組み込む取り組みを進めています。これまで市場はAI投資をコスト増として見ていた可能性がありますが、足元ではそれを競争力強化として評価し始めているように見えます。
*関連記事「サービスナウ株が急騰 AI時代のソフトウェア株復活を示す重要サイン

アジリシスの急騰が示す「実績重視」の相場

中小型ソフトウェア株のアジリシスも注目されています。同社は四半期決算で過去最高の売上高を記録し、5月19日に14%急騰しました。

この動きが示しているのは、市場が単なるAI関連の話題性だけではなく、実際の売上成長やサブスクリプションの拡大を重視し始めているということです。AIを導入しているとアピールするだけでは不十分であり、それが顧客獲得、単価上昇、継続率改善などに結びついているかが問われる局面に入っています。

つまり、今後のソフトウェア株投資では、「AIを使っている企業」ではなく、「AIによって売上を伸ばせる企業」が選別されると考えられます。

アナリストと大口投資家の動きも追い風に

ソフトウェア株の反発を支えているのは、株価の値ごろ感だけではありません。アナリストや大口投資家からも強気のシグナルが出ています。

BofA証券はサービスナウに対して強気の見方を示しており、ファクトセットの平均目標株価も現在値を上回る水準にあります。これは、ウォール街が同社の現在の株価を割安と見ていることを示しています。

また、バロンズによれば、トランプ大統領は2026年2月10日時点で、サービスナウ、アドビ(ADBE)、ワークデイ(WDAY)といった主要SaaS銘柄にそれぞれ100万〜500万ドルを投じていたとされています。低迷期に大口資金がソフトウェア株を買っていたという点は、現在の反発相場を考える上で興味深い材料です。

ソフトウェアETFの回復はセクター底打ちのサインか

ソフトウェアセクター全体を見る上では、iShares Expanded Tech-Software Sector ETF(IGM)の動きも参考になります。同ETFは4月に74ドル付近まで下落した後、90ドルを超える水準まで回復しています。

この動きは、個別銘柄だけでなく、セクター全体に資金が戻り始めていることを示しています。もちろん、すべてのソフトウェア株が一様に上昇する相場ではありません。今後は、サイバーセキュリティ、クラウド監視、業務自動化、AI統合といった分野で実績を示せる企業に資金が集中すると考えられます。

今後の注目点

ソフトウェアセクターは、最悪期を脱しつつある可能性があります。データドッグやパロアルトネットワークスのように、すでに力強く反発している銘柄がある一方で、サービスナウやアジリシスのような出遅れ銘柄にも見直し買いが入り始めています。

今後の焦点は、AIが既存のソフトウェア企業にとって脅威なのか、それとも成長加速の武器なのかという点です。足元の相場を見る限り、市場は後者の可能性を徐々に織り込み始めているように見えます。

投資家にとっては、過度な悲観で売られた優良SaaS企業を見直すタイミングに入っている可能性があります。ただし、ソフトウェア株の中でも勝ち組と負け組の差はさらに広がると考えられるため、単純なセクター買いではなく、売上成長、AI活用の実効性、顧客基盤の強さを慎重に見極めることが重要です。

情報ソース: Barron’s: “ServiceNow and Other Software Stocks Are Leading the Sector Out of the Abyss” (By Mackenzie Tatananni, May 19, 2026)

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。

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