AI半導体の次なる主役か マーベル株を押し上げるカスタムチップと光ネットワーク

2026年の米国株市場で、半導体セクターの注目銘柄として存在感を高めているのがマーベル・テクノロジー(MRVL)です。

同社の株価は5月13日の市場で177.95ドルまで上昇し、過去最高値を更新しました。年初来の上昇率は100%を超えており、AI関連株の中でも非常に強い値動きを見せています。

ただし、ここで重要なのは、単に「AIブームに乗って株価が上がっている」という見方だけでは不十分だという点です。マーベルの評価が高まっている背景には、AI時代のデータセンターに欠かせないカスタムチップと光ネットワークという、2つの重要な成長分野があります。

本記事では、米バロンズの記事で報じられた内容をもとに、マーベルの強さと今後の注目点を整理します。

ハイパースケーラー向けカスタムチップが成長の柱に

マーベルの最大の強みは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)などの大手クラウド企業、いわゆるハイパースケーラーとの関係です。

AIデータセンターでは、エヌビディア(NVDA)のGPUが中心的な役割を果たしています。しかし、クラウド企業はすべての処理を汎用GPUだけに依存するのではなく、自社の用途に最適化したカスタムチップの開発にも力を入れています。

この流れの中で、マーベルは重要なパートナーとしての地位を築いています。特に注目されるのが、マイクロソフトのAzureクラウド部門向けにカスタムチップを製造する契約です。

これは単なる部品供給ではありません。顧客のクラウド基盤に深く入り込み、設計段階から関与するビジネスです。そのため、一度採用されると関係が長期化しやすく、他社への切り替えも簡単ではありません。

この点が、マーベルの大きな参入障壁になっています。

AI時代は「計算」だけでなく「通信」も重要になる

マーベルが評価されているもう一つの理由は、光ネットワーク製品への期待です。

AIデータセンターでは、膨大なデータを高速に処理する必要があります。しかし、どれだけ高性能なチップを導入しても、データのやり取りが遅ければシステム全体の性能は十分に発揮されません。

つまり、AI時代のデータセンターでは、計算能力だけでなく、チップ同士やサーバー同士を高速につなぐネットワーク技術が極めて重要になります。

マーベルは、この分野でも強みを持っています。AI向けカスタムチップが「計算」の部分を担うとすれば、光ネットワーク製品はデータを流す「通信インフラ」の役割を担います。

AIの成長が続くほど、データセンター内の通信量は増えます。その結果、光ネットワーク関連製品への需要も拡大する可能性があります。

この「AIチップ」と「光ネットワーク」の二段構えこそ、マーベルが単なる半導体銘柄ではなく、AIインフラ銘柄として評価されている理由です。

グーグルとの提携期待も株価を押し上げる要因に

バロンズの記事では、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルとの提携の可能性にも触れられています。

すでにマイクロソフトとの関係が注目される中で、グーグルとの提携期待まで浮上していることは、投資家心理に大きな影響を与えています。

仮にマーベルの技術が複数の大手クラウド企業に広く採用されるようになれば、同社の成長余地はさらに広がります。

クラウド企業はAI向け設備投資を続けており、データセンターの性能向上は各社にとって競争力そのものです。その中で、マーベルがカスタムチップや光ネットワークの分野で重要な役割を担えば、長期的な売上成長につながる可能性があります。

アナリストの評価は分かれている

一方で、現在の株価水準については慎重な見方もあります。

ゴールドマン・サックスは、マーベルの目標株価を125ドルに引き上げましたが、投資判断は「中立」としています。現在の株価がすでにこの目標株価を大きく上回っていることを考えると、同社の株価には相当な期待が織り込まれていると見ることもできます。

一方、バンク・オブ・アメリカは、マーベルを「トップピック」とし、目標株価を200ドルに設定しています。

この評価の違いは、マーベルを見る上で非常に重要です。現在の株価上昇を「期待先行」と見るのか、それとも「成長力をまだ十分に織り込んでいない」と見るのかで、投資判断は大きく変わります。

特に光ネットワーク部門の成長や、マイクロソフト向けカスタムチップの収益貢献が予想を上回れば、バンク・オブ・アメリカの強気見通しに近づく可能性があります。

5月27日の決算発表が重要な試金石に

今後の最大の注目点は、5月27日に予定されている決算発表です。

マーベルは2026年に入り、すでに何度も過去最高値を更新しています。株価が大きく上昇しているだけに、市場の期待値もかなり高くなっています。

そのため、決算では単に良い数字を出すだけでは不十分かもしれません。AI向けカスタムチップの受注状況、光ネットワーク製品の需要、今後の売上見通しなどについて、市場の期待を上回る内容を示せるかが重要になります。

もし会社側の見通しが保守的であり、実際の需要がそれを上回っているのであれば、決算発表がさらなる株価上昇のきっかけになる可能性があります。

一方で、株価がすでに大きく上昇しているため、少しでも期待に届かない内容となれば、利益確定売りが出やすい点にも注意が必要です。

マーベルの真の価値はAIインフラの中核にある

マーベルの魅力は、AIブームに便乗しているだけではありません。

同社は、大手クラウド企業のデータセンター戦略に深く関わり、AI時代に必要な「計算」と「通信」の両方を支える立場にあります。カスタムチップはクラウド企業のAI処理能力を高め、光ネットワーク製品はデータセンター内の高速通信を支えます。

AI投資が続く限り、この2つの分野の重要性は高まり続ける可能性があります。

もちろん、株価はすでに大きく上昇しており、短期的には決算内容や市場心理によって大きく動く可能性があります。しかし、中長期で見れば、マーベルはAIデータセンターの拡大から恩恵を受ける有力企業の一つといえます。

5月27日の決算発表では、現在の高い株価評価に見合う成長力を示せるかが最大の焦点になります。マーベルがAI半導体株の主役候補として本格的に評価されるのか、それとも期待先行の調整局面に入るのか、投資家にとって重要な分岐点となります。

情報ソース: Barron’s: “Marvell Stock Pops. Why Wall Street Sees Upside.” (By Anita Hamilton, May 13, 2026)

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

*過去記事はこちら マーベル・テクノロジー MRVL

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