2026年の米国株式市場は、年初から厳しい展開が続いています。S&P 500が年初来安値圏に沈むなか、市場で「守りの銘柄」として評価されやすいバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)のクラスB株でさえ、2018年以来となる8営業日連続の下落を記録しました。年初来の下落率は6.8%で、S&P 500の6.7%安とほぼ同じ水準まで売られています。
こうした値動きだけを見ると、不安を感じる投資家も多いはずです。しかし、株価の下落と企業価値の悪化は必ずしも同じではありません。むしろ、表面的な株価の弱さの裏側に、バークシャー・ハサウェイならではの強みが隠れている可能性があります。バロンズの報道で示された事実情報をもとに、現在の立ち位置と今後の注目点を整理します。
巨額の現金が不安定相場で武器になる構図
バークシャー・ハサウェイの最大の特徴は、圧倒的な資金力です。同社の時価総額は約1兆ドル、そのうち現金保有額は約3730億ドルに達し、時価総額の4割近くを占めています。さらに、年間の営業利益は約450億ドルとされており、平時でも高い収益力を持っています。
相場が上昇している局面では、こうした巨額の現金は「使われていない資金」と見なされることが多くなります。しかし、市場全体が下落して優良資産の価格が崩れてくる局面では、話が変わります。手元資金が大きい企業ほど、安くなった株式や事業を選別して買えるからです。バークシャーの取締役クリス・デイビス氏が同社を「アンチフラジャイル」と表現したのも、この点に理由があります。混乱に耐えるだけでなく、混乱を利用してさらに強くなれる企業だという見方です。
PBR低下と自社株買い再開が示す経営陣の判断
株価指標の面でも、バークシャーの見え方は少し変わってきています。現在の株価はPBR約1.4倍で、2025年5月ごろの約1.8倍から低下しました。これは、過熱感がかなり後退したことを意味します。
さらに注目したいのが、自社株買いの再開です。バークシャーは2026年3月4日、約2年ぶりに自社株買いを再開し、その日に約2億2500万ドル分を買い戻しました。これは新CEOのグレッグ・アベル体制のもとで行われた動きであり、「今の株価は内在価値に対して魅力がある」という経営陣の判断がにじむ材料です。
しかも、バロンズによると自社株買い再開後も株価はなお下落しており、会社側にとってはより低い価格で自社株を買える状況が続いています。これは短期的には株価の弱さに見えても、長期的には1株当たり価値の押し上げにつながる可能性があります。
エネルギー株の上昇が支える分散効果
もう一つ見落とせないのが、ポートフォリオの分散です。バークシャーはオクシデンタル・ペトロリアム(OXY)とシェブロン(CVX)に大きく投資しており、この2銘柄の保有価値は合計約450億ドルと報じられています。しかも、これらのエネルギー株は2026年に上昇しており、弱い株式市場の中で相対的に健闘しています。
つまり、バークシャー本体の株価が下がっていても、その中身は一様に悪化しているわけではありません。保険、公益、エネルギーといった景気に左右されにくい、あるいはインフレや資源高に強い事業が全体を支えています。市場のムードだけで企業全体を悲観するのは、やや早計と言えます。
注目点は5月2日の年次総会と第1四半期決算
今後の焦点は、5月2日に予定されている年次株主総会と第1四半期決算です。ここで、自社株買いが3月以降どこまで拡大したのか、また相場下落局面でどのような資本配分を行ったのかが見えてくる可能性があります。
足元の8日連続安という見出しは確かに目を引きますが、現金、収益力、買収余力、自社株買い、分散された事業基盤という事実を重ねると、バークシャー・ハサウェイは「下落に弱い企業」ではなく、「下落局面を利用できる企業」と見る方が自然です。短期の株価だけで判断するよりも、この企業が混乱時に何をできるのかに注目したい局面です。
情報ソース: Barron’s: “Berkshire Hathaway Just Notched an 8-Day Losing Streak. Is It a Good Time to Buy the Stock?” (By Andrew Bary, March 29, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「新CEOアベル氏が明言!バークシャーが「一生持ち続ける」と決めた最強の4銘柄とは?」
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