マイクロン株とサンディスク株が急落した理由 グーグル新技術で揺れるメモリ株の今後

  • 2026年3月27日
  • 2026年3月27日
  • BS余話

マイクロン・テクノロジー(MU)サンディスク(SNDK)など、メモリ関連株がここ数日で大きく売られ、市場に動揺が広がりました。きっかけとなったのは、グーグル(GOOGL)が公表した新たな圧縮アルゴリズム「TurboQuant」です。

一見すると、このニュースはメモリ業界にとって逆風に映ります。AIモデルの精度を落とさずに、必要なメモリ容量を大幅に減らせるとなれば、「今後は高性能メモリがそれほど必要なくなるのではないか」と考える投資家が増えるのも無理はありません。

ただ、今回の市場反応をそのまま「メモリ需要の終わり」と結論づけるのは早計です。むしろ、一連の値動きには市場特有の過剰反応が含まれている可能性があります。本記事では、報じられた事実のみをもとに、今回の下落が何を意味するのかを整理します。

市場が嫌気したのは「効率化そのもの」

今回の下落の出発点は、グーグルが3月24日に公開したブログです。そこではTurboQuantについて、AIモデルの精度を保ったままメモリサイズを少なくとも6分の1に圧縮し、処理速度を最大8倍に高められると説明されました。

この発表を受け、市場はすぐに「AI向けメモリ需要の減少」を連想しました。実際、25日にはメモリ関連株が3%超下落し、26日にはマイクロンが7.0%安、サンディスクが11.0%安と売りが加速しました。

投資家心理としては分かりやすい反応です。AIモデル1件あたりに必要なメモリ量が減るなら、メモリメーカーの売上も将来的に縮小するのではないか、という見方です。特にAI関連銘柄はここ数年、市場の期待を大きく集めてきただけに、前提が揺らぐニュースには敏感に反応しやすい地合いにありました。

ただし、過去にも似たようなパニックはあった

ここで重要なのは、技術革新が起きるたびに市場が同じような反応を繰り返してきた点です。2025年1月には中国のディープシークが、AIモデルを比較的安価に学習できる可能性を示した際、市場で大規模なパニックが発生しました。

このときも投資家の連想は単純でした。AIの開発や運用にかかるコストが下がるなら、これまでAIブームを支えてきたハードウェア企業の収益機会は縮小するのではないか、という見方です。しかし、その後もAI市場全体の拡大基調が止まったわけではありません。

この流れから見えてくるのは、市場には「効率化の進展=関連ハードウェア需要の減少」と短絡的に受け止める傾向があるということです。今回のTurboQuantを受けたメモリ株の急落も、過去と同じ構図の中で起きている可能性があります。

効率化は需要減ではなく市場拡大につながることもある

では、メモリ使用量が減る技術が登場したとき、本当にメモリ企業の将来は暗くなるのでしょうか。ここは慎重に考える必要があります。

一般に、テクノロジー分野では効率化が進むほど、利用できる企業や用途が増え、市場全体の裾野が広がることがあります。AIを動かすためのコストやインフラ負担が下がれば、これまで導入を見送っていた企業や開発者も参入しやすくなります。

つまり、1つのAIモデルが使うメモリ量は減っても、AIを使う企業やサービス、アプリケーションの総数が増えれば、業界全体としてのメモリ需要はむしろ拡大する可能性があります。効率化によって価格が下がり、結果として利用量全体が増えるという現象は、経済学ではよく知られた考え方です。今回のケースでも、その視点を無視することはできません。

強気姿勢を崩していない金融機関もある

市場が短期的に動揺する一方で、すべての関係者が悲観に傾いているわけではありません。報道では、バンク・オブ・アメリカ証券がサンディスクに対して買い推奨を維持し、強気の目標株価を据え置いていることも伝えられています。また、サンディスクのCFOが同証券のアナリストと対話している事実も確認されています。

この点は見逃せません。もしTurboQuantが本当にメモリ企業の収益構造を根底から壊すような材料であれば、アナリストの評価や目標株価にはもっと大きな修正が入っても不思議ではありません。それでも強気判断が維持されているのは、短期的な株価反応とは別に、AI普及の加速が最終的にメモリ需要全体を押し上げる可能性を見ているためとも考えられます。

今回の急落は何を意味するのか

今回のメモリ株急落は、グーグルの新技術そのものよりも、「効率化が進むと需要が減る」という市場の直感が一気に先回りした結果と見るほうが自然です。ただ、AIの歴史を振り返れば、効率化はしばしば普及拡大を促し、その結果として関連インフラの総需要を押し上げてきました。

その意味で、今回の急落はメモリ需要の終焉を示すものではなく、AIの進化が生む新たな需要構造を市場がまだ織り込めていない局面とも言えます。短期の値動きだけで業界全体の将来性を判断するのではなく、AI利用の裾野がどこまで広がるかという視点で見直すことが重要です。

情報ソース:Barron’s “Why TurboQuant Hammered Memory Stocks—and Why ‘Jevons’ Paradox’ Means the Market Might Be Wrong” (By Adam Clark and Angela Palumbo, March 26, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「マイクロン株が連日下落する理由 AIメモリ市場に起きた3つの変化

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