米住宅価格が50%上昇!「100万ドル・スタンダード」が示す新・不動産格差

  • 2026年2月23日
  • 2026年2月23日
  • BS余話

かつて100万ドル(現在の為替レートで約1.5億円)の家といえば、富裕層の代名詞でした。しかし、最新のデータはその常識が米国において過去のものとなったことを示しています。これは、日本の都心部で進む不動産高騰とも無縁ではない現象です。

バロンズ誌(2026年2月22日付)が報じたリアルトードットコム(REALTOR)の統計によると、全米の売り出し物件のうち12%が100万ドル以上となり、2020年の8.4%から短期間で大幅に上昇しました。この数字は単なるインフレの結果ではなく、住宅市場の構造そのものが世界規模で変容していることを示唆しています。

地方都市の高級化という不可逆な潮流

最も注目すべきは、アイダホ州ボイシやテネシー州ナッシュビルの激変です。ボイシでは、100万ドル超の物件比率が5%(20軒に1軒)から20%(5軒に1軒)へと4倍に跳ね上がりました。

これは、リモートワークの定着によって、ホワイトカラー層が高コストな沿岸部から、生活の質が高い内陸部へ資本を移動させた結果と言えます。日本でも東京一極集中から軽井沢や福岡といった地方都市へ富裕層が移動する動きが見られますが、米国ではその規模が桁違いです。一度流入した高所得層とそれに伴うサービス価格の上昇は、地元の価格水準を恒久的に引き上げるジェントリフィケーション(高級化)を引き起こしています。

供給不足が招く入札競争の再燃

S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数によれば、米国の住宅価格はパンデミック前より50%以上上昇しています。金利上昇局面を経ても価格が維持、あるいは上昇している背景には、圧倒的な供給不足があります。

全米不動産業者協会(NAR)のローレンス・ユン氏が指摘するように、供給が増えない限り、買い手が市場に戻れば価格はさらに押し上げられます。これは日本国内のマンション価格高騰の構図とも酷似しており、住宅が「住むための場所」から「希少価値の高い世界共通の資産」へと性格を強めていることを意味します。

都市間格差:サンフランシスコの凋落と新興都市の台頭

興味深い事実は、すべての都市が上昇しているわけではない点です。サンフランシスコでは100万ドル以上の物件シェアが5.8ポイント減少しました。

これは、従来のテック拠点における飽和と流出を象徴しています。資本はもはや特定の超巨大都市に集中するのではなく、フロリダ、ノースカロライナ、テネシーといった成長の余地がある地域へと分散・再配置されています。

結論:2026年以降の米住宅市場をどう見るか

住宅価格が50%以上も底上げされた現状は、一過性のバブルというよりも、市場の新たな均衡点として定着した感があります。100万ドルという価格帯は、もはや特別なステータスではなく、全米の主要都市における標準的な選択肢の一つになりつつあります。

今春以降、市場に参入する買い手にとって、鍵を握るのは地域の供給量です。供給が絞られた地域では、100万ドルを出しても平均的な家しか手に入らない時代が続くものと考えられます。米国は今、住宅の価値基準が根本から書き換えられたポストパンデミックのニューノーマルの中にいます。

情報ソース: Barron’s: “$1 Million Homes Aren’t as Rare Anymore—Especially in These Cities” (By Shaina Mishkin, Feb. 22, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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