投資の世界には「落ちてくるナイフは拾うな」という格言がありますが、その対極にあるのが「勢い(モメンタム)のある馬に乗り続けろ」という考え方です。
2026年1月、マーケットウォッチにおいてマーク・ハルバート氏がモメンタム投資の有効性を評価する記事を公開しました。その中で、2025年においても一部の銘柄が800%を超える驚異的なリターンを記録したことが紹介されており、投資戦略としてのモメンタムの強さが改めて浮き彫りになっています。
今回は、この記事で示された事実情報を基に、これら高モメンタム銘柄の将来性と、私たちがそこから何を学ぶべきかを分析します。
1. 2025年高モメンタム銘柄上位20社
記事の根拠となったラッセル3000指数(RUA)における、2025年1月31日から12月31日までのトータルリターン上位20社は以下の通りです。
- ターンズ・ファーマシューティカルズ(TERN):805.8%
- セルクイティ(CELC):734.6%
- パルベラ・セラピューティクス(PVLA):705.2%
- レゾリュート・ホールディングス・マネジメント(RHLD):599.5%
- サンディスク(SNDK):559.4%
- インヒブリックス・バイオサイエンス(INBX):481.7%
- ゼナス・バイオファーマ(ZBIO):352.7%
- Dウェーブ・クオンタム(QBTS):340.2%
- コディアック・サイエンシズ(KOD):336.9%
- ルメンタム・ホールディングス(LITE):333.3%
- オレマ・ファーマシューティカルズ(OLMA):309.2%
- エコースター(SATS):293.0%
- ヌベイション・バイオ(NUVB):287.9%
- フォージ・グローバル・ホールディングス(FRGE):285.8%
- プラクシス・プレシジョン・メディシンズ(PRAX):285.0%
- コージェント・バイオサイエンシズ(COGT):281.5%
- ファルコンズ・ビヨンド・グローバル(FBYD):276.2%
- ブルーム・エナジー(BE):268.5%
- タイシャ・ジーン・セラピーズ(TSHA):266.7%
- ビスタンス・ネットワークス(VISN):259.0%
2. なぜラッセル3000指数が投資の「狩場」となるのか
ハルバート氏が分析の対象としたラッセル3000指数は、米国の株式市場全体の約98%を網羅する指数です。大型株中心のS&P 500とは異なり、中小型株までを広く含んでいる点が最大の特徴と言えます。
モメンタム投資においてこの指数を対象とすることには、重要な意味があります。今回のリストに見られるような700%や800%といった爆発的なリターンは、すでに時価総額が巨大化した大型株では物理的に発生しにくい現象です。ラッセル3000指数をスキャンすることで、まだ世間に知れ渡っていない、あるいは特定の技術革新で急速に台頭してきた「未来の主役」を捉えることが可能になります。
つまり、この指数を基幹とするモメンタム戦略は、市場の隅々まで行き渡る資金の動きを可視化し、リスクを取りつつも圧倒的なリターンを追求する投資家にとって、最も効率的なフィルターとして機能しているのです。
3. 「モメンタムは永遠である」という歴史的根拠
ハルバート氏が紹介した最新の研究「Momentum factor investing: Evidence and evolution」は、投資家にとって極めて心強いエビデンスを提示しています。エラスムス経済学院のギド・バルトゥセン氏らによるこの調査は、1866年から2024年までの約159年間にわたる米国データを分析したものです。
この研究の特筆すべき点は、その網羅性にあります。米国だけでなく世界46カ国の市場を調査し、さらに4,000パターン以上の異なるポートフォリオ設計を用いてモメンタムの有効性を検証しました。その結果、モメンタム現象は株価の動きだけにとどまらず、企業の利益成長、アナリストによる業績予想の修正、さらには企業に関するニュースの連鎖といった、あらゆるデータ系列において一貫して確認されたのです。
研究チームは、モメンタムが特定の時代や国に限った一時的な現象ではなく、金融市場における「永遠の特徴」であると結論づけています。この事実は、2025年に際立ったパフォーマンスを見せた銘柄が、単なる一過性のブームではなく、歴史が証明する強力な投資規律の上に立っていることを示唆しています。
4. バイオテック銘柄が示す「高リスク・高リターン」の正体
リストの上位陣を確認すると、その多くがバイオテクノロジーや医薬品セクターで占められていることがわかります。
- ターンズ・ファーマシューティカルズ:+805.8%
- セルクイティ:+734.6%
- パルベラ・セラピューティクス:+705.2%
2025年にこれほどの数字が出た背景には、単なる市場の浮き沈みを超えた個別材料があったと考えられます。バイオ銘柄がモメンタムの上位を独占している事実は、現在の市場が破壊的なイノベーションに対して極めて高いプレミアムを支払っていることを示唆しています。しかし、800%を超える成長は期待値の先食いである側面も否定できません。今後の将来性は、これらの企業が期待を実益に変換できるフェーズに移行できるかどうかにかかっていると言えます。
5. 2026年の投資戦略:勝者の背中に乗る勇気
リストに含まれる20銘柄の最低リターンでさえ、ビスタンス・ネットワークスの+259.0%です。S&P 500を大幅にアウトパフォームしているこれらの銘柄に対し、多くの投資家はすでに高すぎると恐怖を感じる可能性があります。
しかし、事実は異なります。先述の研究が示す通り、モメンタムの本質は「市場の非効率性」にあります。企業のファンダメンタルズのポジティブな変化が株価に完全に反映されるまでには、投資家が想像する以上の時間を要することが歴史的に証明されています。一度ポジティブなサイクルに入った企業は、次々と良いニュースを出し続け、その勢いがさらなる上昇を呼ぶという循環が続く傾向があるのです。
まとめ:数字が語る未来
2025年の実績値は、私たちが目撃しているのが単なるバブルではなく、構造的な変化である可能性を強く示唆しています。
もちろん、短期的には調整の局面も考えられます。しかし、150年以上の歴史が証明する「勝者が勝ち続ける」というモメンタムの法則を信じるならば、これらの20銘柄は2026年も引き続き、監視リストの最前列に置いておくべき存在と言えます。
情報ソース: MarketWatch: “ These 20 stocks are strong choices for momentum investors” (By Mark Hulbert, Jan. 24, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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