2026年7月、米国のハイテク株市場は大きな調整局面を迎えました。とりわけ半導体やAIインフラに関連する銘柄では、わずか数週間で株価が25%以上下落するケースが相次いでいます。
年初から力強い上昇を続けてきた反動とはいえ、下落の大きさから「AI相場は終わったのか」「半導体株の成長局面は転換したのか」と不安を感じる投資家も少なくありません。
本記事では、2026年7月17日現在の株価データを基に、今回の急落が一時的な利益確定売りなのか、それとも市場構造の変化を示すシグナルなのかを分析します。
7月に25%以上下落したハイテク関連19銘柄
LSEGのデータによると、7月17日時点で、7月の株価下落率が25%以上に達した主なハイテク関連銘柄は以下の通りです。
| 企業名 | 7月の株価騰落率 | 2026年年初来 | 現在の予想PER | 2025年末の予想PER |
|---|---|---|---|---|
| サンディスク(SNDK) | -40.4% | +471% | 6.4倍 | 13.6倍 |
| コーニング(GLW) | -39.5% | +77% | 40.0倍 | 28.2倍 |
| アステラ・ラブズ(ALAB) | -37.1% | +83% | 79.5倍 | 70.5倍 |
| マーベル・テクノロジー(MRVL) | -36.7% | +122% | 36.7倍 | 24.0倍 |
| ネビウス・グループ(NBIS) | -35.7% | +112% | N/A | NULL |
| ロケット・ラブ(RKLB) | -33.5% | -3% | N/A | N/A |
| テラダイン(TER) | -33.4% | +67% | 36.8倍 | 36.7倍 |
| インテル(INTC) | -31.9% | +158% | 66.5倍 | 61.2倍 |
| メイコム・テクノロジー・ソリューションズ(MTSI) | -29.7% | +56% | 40.2倍 | 38.4倍 |
| コヒレント(COHR) | -29.6% | +50% | 31.2倍 | 31.7倍 |
| KLA(KLAC) | -29.5% | +75% | 40.2倍 | 31.0倍 |
| ラムリサーチ(LRCX) | -27.7% | +83% | 38.0倍 | 32.1倍 |
| アプライド・マテリアルズ(AMAT) | -26.7% | +106% | 33.4倍 | 26.0倍 |
| ジェネラック・ホールディングス(GNRC) | -26.6% | +58% | 20.6倍 | 16.4倍 |
| マイクロン・テクノロジー(MU) | -26.5% | +197% | 5.7倍 | 7.9倍 |
| コアウィーブ(CRWV) | -26.5% | +2% | N/A | N/A |
| フレックス(FLEX) | -26.4% | +97% | 22.2倍 | 17.4倍 |
| クレド・テクノロジー(CRDO) | -25.5% | +41% | 29.5倍 | 42.6倍 |
| ウェスタンデジタル(WDC) | -25.3% | +177% | 22.6倍 | 19.6倍 |
7月の急落だけでは長期上昇トレンドは崩れていない
注目すべき点は、7月に25%以上下落したにもかかわらず、多くの銘柄が年初来では依然として大幅な上昇を維持していることです。
サンディスクは年初来+471%、マイクロン・テクノロジーは+197%、ウェスタンデジタルは+177%となっています。インテルやマーベル・テクノロジー、アプライド・マテリアルズも年初来では100%を超える上昇です。
つまり、今回の急落は長期的な下落相場への転換というより、年初からの過熱した上昇に対する反動と考える余地があります。
短期間で大きく値上がりした銘柄ほど、投資家の含み益も膨らみます。市場環境が悪化した際には、利益確定売りやレバレッジ解消の対象になりやすく、下落幅も大きくなります。
高PER銘柄では期待値の修正が進む
急落した銘柄を予想PERで比較すると、現在の市場がすべての企業を同じ理由で売っているわけではないことがわかります。
アステラ・ラブズの予想PERは79.5倍、インテルは66.5倍です。コーニングやKLA、メイコム・テクノロジー・ソリューションズも40倍前後の水準にあります。
これらの銘柄では、将来のAI需要や半導体投資の拡大を先取りする形で、利益成長以上に株価が上昇していた可能性があります。
高いPERは、投資家が将来の大幅な利益成長を期待していることを意味します。一方、業績見通しの鈍化や市場全体のリスク回避姿勢が強まると、期待値の修正によって株価が大きく下落しやすくなります。
今回の調整は、企業の事業価値が突然消失したというより、楽観的すぎた評価が現実的な水準へ修正される過程とも捉えられます。
サンディスクとマイクロンは利益予想が株価以上に拡大
一方、サンディスクやマイクロン・テクノロジーでは、異なる動きが見られます。
サンディスクの予想PERは2025年末の13.6倍から6.4倍へ低下しました。マイクロン・テクノロジーも7.9倍から5.7倍へ下がっています。
両社の株価は年初から大幅に上昇していますが、それ以上のペースで将来利益の予想が引き上げられたため、結果としてPERが低下したと考えられます。
AIデータセンターの拡大に伴い、メモリやデータストレージへの需要が増加し、業績予想が大幅に改善していることが背景にあります。
株価だけを見れば過熱感がありますが、利益予想との比較では割高感が薄れている点が、高PER銘柄との大きな違いです。
低PERでもメモリ株にはシクリカル・リスクが残る
サンディスクやマイクロン・テクノロジーのPERが1桁台まで低下しているため、表面的には割安に見えます。しかし、低PERだけを理由に買い判断を下すのは慎重であるべきです。
メモリ半導体市場は、需要と供給の変動によって製品価格が大きく変化するシクリカル産業です。
需要が供給を上回る局面では、メモリ価格と企業利益が急増します。一方、設備投資の拡大によって供給過剰になると、価格下落によって利益が急減する可能性があります。
実際、マイクロン・テクノロジーは2023年8月期に、売上高が前年から約半分に減少する厳しい不況を経験しました。
現在の低PERは市場の評価不足ではなく、好業績が長期間続かない可能性を織り込んだ結果とも考えられます。
今後は株価上昇より利益の持続性が重要になる
2026年7月のハイテク株急落は、AIや半導体市場の成長が終了したことを意味するものではありません。しかし、すべての関連銘柄が同じように上昇する相場は、転換点を迎えつつあります。
今後は、AI関連というテーマ性だけでなく、利益成長の持続性や競争力、バリュエーションを個別に見極める必要があります。
高PER銘柄では、現在の株価を正当化できる利益成長が実現するかが重要です。低PER銘柄では、現在の好業績が一時的な景気循環によるものなのか、構造的な需要拡大によるものなのかを判断する必要があります。
今回の下落は「終わりの始まり」というより、期待だけで上昇する相場から、利益の質と持続性が問われる相場への移行を示している可能性があります。
情報ソース: MarketWatch: “19 (mostly) tech stocks that have fallen at least 25% in July” (By Philip van Doorn, July 17, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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