2024年の後半、市場には「グーグルはAIに破壊されるのではないか」という懸念が渦巻いていました。しかし、1年が経過した今、その空気は一変しています。
12月5日、ピボタル・リサーチのアナリスト、ジェフ・ウロダルチャク氏がアルファベット(GOOGL)の目標株価をウォール街で最高値となる400ドルに引き上げました。現在の株価水準(約321ドル)から見て、さらに25%の上昇余地があるという強気な予測です。
今回は、最新の事実情報を整理しながら、なぜこれほどまでにアルファベットへの評価が急回復したのか、その背景にある「収益構造の変化」と「AIインフラの優位性」について分析します。
1. 利益成長以上に「期待値」が膨らんでいる
まず注目すべきは、株価上昇の中身です。
バロンズ誌が引用したデータによると、アルファベットの株価は過去1年で80%以上上昇しています。しかし、2026年の予想収益(EPS等)自体は、過去1年で約10%しか上昇していません。
つまり、株価上昇の大部分は「稼ぐ力そのものの爆発的な伸び」ではなく、「投資家の期待(バリュエーション)の切り上がり」によるものです。実際、現在の株価は2026年予想収益の約30倍で評価されていますが、1年前はわずか20倍でした。
【分析と考察】 これをどう見るべきでしょうか。1年前、市場は「ChatGPTによる検索事業の破壊」を過度に恐れ、株価をディスカウントしていました。しかし現在、その不透明感が払拭され、投資家が支払う「安心料(PERなどの倍率)」が正常化、あるいはプレミアム化していると言えます。利益予想が10%しか伸びていないのに株価が80%上がった事実は、同社のビジネスモデル(特に検索とYouTube)の堅牢性が再評価された証左です。
2. 自社製チップ「TPU」が生み出すコスト競争力
ピボタル・リサーチが目標株価引き上げの理由として挙げた点の中で、特に重要なのが「AIチップ」に関する指摘です。
アルファベットはエヌビディア(NVDA)製のGPUも使用していますが、自社開発のAIチップ「TPU(Tensor Processing Units)」を併用しています。アナリストは、これによりAIタスクのコストを下げることができ、結果としてクラウドコンピューティングの市場シェア拡大と収益性の向上につながると分析しています。
【分析と考察】 これは、他のハイテク大手に対する明確な「堀(Moat)」になります。他社がエヌビディアの高価なGPU調達コストに利益を圧迫される中、自社チップでコストコントロールができるアルファベットは、AIサービスの価格競争において優位に立てる可能性があります。「Gemini」などのAIモデルを動かすコストが下がれば下がるほど、クラウド事業の利益率は改善し、他社よりも持続可能なAIビジネスを展開できると考えられます。
3. 「コンセンサス・バイ」の死角はあるか?
現在、アルファベットをカバーするアナリストの84%が「買い」と判断しています。S&P500銘柄の平均が約55%であることを考えると、圧倒的な支持率です。1年前の80%からもさらに上昇しており、平均目標株価も211ドルから332ドルへと大きく切り上がりました。
【分析と考察】 「Winning Everywhere(どこでも勝っている)」というアナリストの言葉通り、検索、AI、YouTubeの全方位で死角がないように見えます。しかし、投資の世界では、全員が強気になった時こそ注意が必要です。現在のPER30倍という評価は、すでに高い期待を織り込んでいます。
今後の焦点は、高まった期待通りに「AI投資を収益化できるか」という実行フェーズに移ります。特に、前述した「TPUによるコスト削減」が実際に決算書のクラウド利益率にどう反映されてくるかが、400ドル到達への鍵を握ると見られます。
情報ソース: Alphabet Stock Can Rise Another 25%. It’s “Winning Everywhere.” (Barron’s, Updated Dec 05, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事 アルファベット GOOGL
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