2025年6月13日、USAレアアース(USAR)の株価は前日比で8.88%下落し、13.24ドルで取引を終えました。
株価は下落したものの、アナリストたちは依然として同社の将来性に注目しています。特に、アメリカ国内でレアアースの採掘から精製、そして最終製品の製造までを自国で完結させようとする動きが加速する中で、USAレアアースはその中核を担う存在と見なされています。
米国が構築を急ぐ「非中国」マグネット供給網
USAレアアースは、米国内におけるマグネット(磁石)生産体制の構築を進めており、テキサス州ラウンドトップ山の鉱山権を保有しています。現時点では大きな売上は計上していませんが、将来的には重要なレアアース供給源となる可能性があります。
カナコード・ジェニュイティのアナリスト、ジョージ・ジアナリカス氏は「米国は中国以外からマグネットを安定供給できる体制を構築する必要がある」と指摘し、USAレアアース株に「買い」評価を与えるとともに、目標株価を17ドルに設定しました。
中国の圧倒的な支配力と地政学的リスク
現在、中国は年間約27万トンのレアアースを採掘しており、米国の約4万5千トンを大きく上回っています。さらに、世界全体の精製能力の約85%を中国が占めており、その影響力は非常に大きいものです。
中国政府はこうした優位性を外交カードとしても活用してきました。2011年にはレアアースの輸出枠を約3万1千トンから1万4千トンに削減し、国内生産能力を持たなかった米国は大きな打撃を受けました。また、2019年のトランプ大統領の第1期政権時代にレアアースの輸出制限が示唆される場面もありました。
ジアナリカス氏は、「中国が供給網を“武器化”する意志を見せたことで、西側諸国は代替供給源の確保を急がざるを得ない状況になっている」と指摘。「今の米国には、まるで“ワープスピード計画”のような迅速な対応が求められている」と表現しました。
トランプ大統領の発言と一時的な安心感
最近の米中貿易協議で一定の枠組み合意がなされたことにより、短期的な供給不安はやや後退しています。トランプ大統領もTruth Socialにて、「必要なマグネットとレアアースはすべて中国が即座に供給する」と投稿しました。
とはいえ、中長期的には国内での安定供給体制の構築が不可欠との見方が優勢です。USAレアアースの株価は過去1か月で64%も上昇しており、米中の貿易緊張を背景に注目を集めていました。6月13日の株価下落は、急騰後の利益確定売りによるものとみられています。
アナリストの評価と関連銘柄
現在、USAレアアースは3人のアナリストがカバーしており、全員が「買い」評価を付けています。これは、S&P500構成銘柄の平均である約55%を大きく上回る水準です。目標株価の平均はおおよそ16ドル前後とされています。
ジアナリカス氏は、同じくレアアース関連企業であるMPマテリアルズ(MP)にも注目しており、こちらにも「買い」評価と27ドルの目標株価を提示しています。MPマテリアルズの株価もこの1か月で41%上昇しており、セクター全体への関心の高まりを示しています。