マイクロソフトが史上最高値更新 エヌビディアとの時価総額争いが激化

2025年6月5日、マイクロソフト(MSFT)の株価が0.8%上昇し、終値は467.68ドルとなりました。これは、2023年7月に記録した従来の最高値467.56ドルを上回り、再び史上最高値を更新したことになります。年初のビッグテック売りからいち早く回復を遂げた企業として、マイクロソフトはその存在感を改めて示しました。

エヌビディアと激しい首位争い、時価総額トップをめぐる攻防

マイクロソフトの株価上昇は、テクノロジー株全体の回復傾向の一環として捉えられています。特に、同社はエヌビディア(NVDA)と米国企業の時価総額首位を争っており、その競争は激しさを増しています。

今週火曜の3日にはエヌビディアがマイクロソフトを一時的に上回って時価総額トップに立ちましたが、5日の終値では再びマイクロソフトが逆転しました。なお、アップル(AAPL)は依然として両社の後塵を拝しており、米中間の関税リスクの影響から株価は軟調です。

アップルの株価は5日に1.1%下落し、年初来で約20%の下落となっています。現在は過去最高値から22%以上も下回っており、「マグニフィセント・セブン」銘柄の中でも回復に最も時間がかかっている状況です。

AI戦略の進展、マイクロソフトの成長加速を後押し

マイクロソフトの株価上昇の背景には、人工知能(AI)分野での取り組み強化があります。5月に開催された開発者会議「Build」において、同社はCopilot AIエージェントに新たな「推論」機能を導入する計画を発表しました。

米投資銀行ジェフリーズのアナリストは、Copilotが「Researcher」および「Analyst」エージェントによって推論機能を強化することで、オープンAIとの技術的ギャップを埋めつつあると評価しています。

特に直近3〜6ヶ月でCopilotの性能が大きく向上しているという声が顧客から多く寄せられており、今後の企業全体への導入加速が期待されています。また、セキュリティやAzure(クラウドプラットフォーム)など、マイクロソフト全体のエコシステムへの好影響も予想されています。

エヌビディアも高評価、ブラックウェル・プラットフォームに期待

一方で、エヌビディアも引き続き市場から高い評価を受けています。ジェフリーズのアナリストは今週、同社を「最も信頼度の高い買い推奨銘柄」のリストに追加しました。

エヌビディアは、AIアクセラレーター市場において支配的な地位を築いており、特に新たに展開しているブラックウェル AIプラットフォームの拡大により、今後は売上総利益率の改善が見込まれています。具体的には、従来の70%前半から75%台までの上昇が期待されています。

5日には株価が1.4%下落しましたが、直近1ヶ月での上昇率は23%に達しており、依然として強い上昇基調にあります。エヌビディアの直近の最高値は1月6日の149.43ドルで、現在はその水準から約6%下に位置しています。

推論AIの需要拡大も背景に

また、AI関連の中でも「推論」分野への注目が高まっていることも、エヌビディアやマイクロソフトの株価を後押ししています。特に中国のAIスタートアップ、ディープシークが発表した高効率モデル「R1」は、推論型AIの需要を一気に押し上げる引き金となりました。

このR1モデルによって、すべてのAIモデルが推論機能を中心に設計される流れが加速しており、それがGPUやAIインフラの需要を底上げしています。マイクロソフトやエヌビディアの最新動向に加え、R1と推論AI市場の展望については以下の記事で詳しく解説しています。

👉 エヌビディア株はさらに上昇か?ディープシークのAIモデルR1と推論需要拡大で追い風

AI分野を軸としたトップ争いに注目

マイクロソフトとエヌビディアの激しい時価総額争いは、AI技術を軸とした企業戦略の成否に直結しています。マイクロソフトはCopilotの高度化によって、既存のオフィス製品やクラウドサービスとシナジーを生み出しており、長期的な成長ドライバーとして期待されています。

一方、エヌビディアはAIインフラの中核として依然強力な地位を保っており、今後のGPU需要の動向が鍵を握ります。両社ともにAI市場の成長を背景に株価上昇が続いており、今後も投資家からの注目を集める存在となりそうです。

*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT

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