米国のコンピューターハードウェアメーカーが、ドナルド・トランプ大統領による新たな関税政策によって深刻な影響を受ける可能性があると、モルガン・スタンレーが警鐘を鳴らしています。
トランプ大統領は4月9日から、アジア諸国に対して高い「相互関税率(Reciprocal Tariffs)」を適用すると発表しました。中国には34%、ベトナムには46%、インドには26%の関税が課される予定であり、すでに課されている関税を加えると、中国製品に対する総関税率は最大で79%にも達する可能性があります。
アップル、デル、HPなどが「最も影響を受けやすい」
モルガン・スタンレーのテクノロジー・ハードウェアアナリスト、エリック・ウッドリング氏は、米国市場で販売されているほぼすべてのハードウェア製品が25%〜54%の関税対象になると指摘しています。これはiPhoneも例外ではありません。
ウッドリング氏は「ハードウェア企業は、こうした関税に対処するための選択肢が極めて限られている」とし、特にアップル(AAPL)、デル・テクノロジーズ(DELL)、HP(HPQ)の3社はアジアでの製造・組立に大きく依存しているため、影響が最も大きいと分析しています。
関税がもたらす深刻なコスト増
同氏によると、今回の関税措置により、アップルは年間で330億ドル以上の追加コストを負担することになり、これは2025年度の営業利益の26%に相当します。また、デルとHPに関しては、関税によるコスト増がほぼ年間の純利益全体と同等になる可能性があるとしています。
アップルとHPはこのレポートに対するコメントを控えていますが、デルの広報担当者は「今回の関税措置の影響を精査中であり、デルは柔軟かつ回復力のあるグローバルなサプライチェーンを活かし、どのような環境にも対応してきた実績がある」と述べています。
関税発表後の4月3日の米国市場の開始後まもなく、アップルの株価は9%、デルは16%、HPは17%の急落を記録しました。
消費者価格への影響と供給網のリスク
ハードウェア企業が対抗策をほとんど持たない中、関税によるコスト増は最終的に製品価格の上昇という形で消費者に転嫁されると見られています。
世界のテクノロジー製品の多くはアジアで製造されており、スマートフォン、パソコン、ゲーム機、大型テレビなどがその代表例です。特にアップルは、中国にある鴻海精密工業(通称フォックスコン)を主要な製造パートナーとして、iPhoneの大半を中国で生産しています。
関税緩和への期待も
ウッドリング氏は、唯一の「明るい材料」として、企業側が関税発効前にトランプ政権と交渉し、関税率の引き下げを実現できる可能性を挙げています。
しかしながら、現状ではその見通しは不透明であり、関税によるコスト増と企業業績への打撃は現実的なリスクとして市場に織り込まれ始めています。今後の政権の動向と企業側の対応策に注目が集まっています。