語学学習アプリを提供するデュオリンゴ（DUOL）の株価が2月28日の米国市場で大幅に下落しました。最新の四半期決算で力強い成長を示したものの、市場の期待を十分に満たすには至らなかったことが要因とみられています。午前の段階で株価は15%下落して320.09ドルとなり、2024年5月以来、1日の下落率としては最大となりました。なお、27日の取引終了時点で、過去12カ月で93%の上昇を記録していました。
デュオリンゴの成長トレンドとアナリストの見解
レイモンド・ジェームスのアナリストであるアレクサンダー・スクラー氏は、デュオリンゴの評価を「マーケット・パフォーム」としました。株価の下落について、2025年の業績見通しに対する市場の期待が高かったことが背景にあると分析しています。
「われわれは有料会員の増加が今後の成長を支えると考えている。特に、デュオリンゴの最上位サブスクリプションプランであるDuolingo Maxの普及がカギとなるだろう」と同氏は述べています。現在、Duolingo Maxの契約者は有料会員全体の5%を占めています。
第4四半期の決算結果
デュオリンゴは、2024年第4四半期の決算において純利益を1,390万ドルと報告しました。これは前年同期の1,210万ドルを上回る結果です。また、売上は2億960万ドルで、ファクトセット調べのアナリストの予想（2億550万ドル）を超えました。
ただし、売上総利益率は71.9%となり、前年同期の73.1%を下回りました。この点について、シーポート・リサーチのアナリストであるアーロン・ケスラー氏は、「売上総利益率（GM）は、Duolingo Maxの導入による生成AI関連のコスト増加と、デイリーアクティブユーザー（DAU）あたりの広告収入の減少によって前年同期比で1.2ポイント低下した」と指摘しています。
さらに、デュオリンゴは2025年通年で約1.7ポイントの売上総利益率低下を見込んでおり、その多くが上半期に発生するとしています。
ユーザー数と有料会員の増加
デュオリンゴのユーザーベースは引き続き成長しており、第4四半期のデータは以下の通りです。
- 売上：前年同期比42%増の2億7,160万ドル
- デイリーアクティブユーザー（DAU）：4,050万人（前年比51%増）
- 月間アクティブユーザー（MAU）：1億1,670万人（前年比32%増）
- 有料会員数：950万人（前年比43%増）
特に有料会員数の増加は、2023年末の660万人から大きく伸びており、サブスクリプション事業の成長が続いていることを示しています。
2024年通年の業績と2025年の見通し
2024年のデュオリンゴの通年業績は以下の通りです。
- 売上：2023年比41%増の7億4,800万ドル
- 純利益：8,860万ドル
- 総予約数：前年比40%増の8億7,060万ドル
ルイス・フォン・アンCEOは、株主への手紙で「記録的な四半期で2024年を締めくくることができた」と述べました。また、「4,000万人のデイリーアクティブユーザーを突破し、過去最大の純有料購読者数を獲得した。さらに、過去最高の四半期予約、売上、調整後EBITDAを達成し、フリーキャッシュフローマージンは42%となった」と強調しました。
2025年第1四半期の売上について、デュオリンゴは2億2,050万ドル～2億2,350万ドルを見込んでいます。アナリストのコンセンサス予想（2億2,080万ドル）とほぼ一致する水準です。
また、2025年通年の売上見通しは9億6,250万ドル～9億7,850万ドルとされており、アナリスト予想（9億6,550万ドル）と同程度の水準に設定されています。
デュオリンゴの今後の展望
デュオリンゴは成長を続けているものの、市場の期待を大きく上回る成長を示すことができなかったため、今回の株価下落につながったと考えられます。有料会員の増加やDuolingo Maxの普及が今後の収益向上に貢献すると見られています。
また、生成AIの活用や広告収入の最適化が今後の重要なポイントとなりそうです。デュオリンゴは今後も語学学習市場での競争力を維持し、収益の安定化を目指す必要があります。
投資家にとっては、売上成長が引き続き堅調であることや、サブスクリプションビジネスの拡大がポジティブな材料となります。しかし、コストの増加や利益率の低下といった課題も存在するため、今後の業績推移を注視する必要があります。
＊過去記事「AI活用で急成長中！注目すべき米国株5選」